俺がゲイだってことは絶対に秘密にしておいて

読了目安時間:4分

エピソード:11 / 51

今までで一番グッときたよ

「送ってくれてありがとう。またな」  住んでいるマンションに着いた後、部屋の中にまで入ってきた圭に玄関先でお礼を言って別れようとする。 「何か忘れてない?」 「何だよ。まさか金とる気か?」  圭が何を言いたいかは分かっている。  だが、あえて話を逸らそうとすると、圭は不服そうに眉を寄せた。 「そうじゃなくて、さっきの告白の返事だよ」 「あれ告白だったの?」 「告白だよ。拓海さんが好きだって言ったじゃん。広輝さんに気持ちを伝える気がないのなら、俺じゃダメなの?  拓海さんは広輝さんのことが好きかもしれないけど、俺だって拓海さんのことをずっと見てたし、好きだったよ。拓海さんの好みの男になれるように頑張るから。だから、俺と付き合って」  まっすぐに俺の目を見つめてきた圭と視線を合わせることが出来ず、視線を泳がせる。 「気持ちは嬉しいけど、お前の気持ちには応えられない」  視線を合わさずにそう答えると、がっと勢いよく両肩を掴まれて、自然と目が合う。 「何で? 俺のことが嫌いなの?」 「……嫌いなわけないだろ。好きだよ」 「だったら、何でダメなの? 広輝さんが好きだから? それとも、俺が年下だから?」 「それもあるけど、」 「けど?」 「お前はさ、俺とキスしたりセックスしたり出来ないだろ。お前が言ってくれてる好きっていうのがどんな感情なのかイマイチ分からないけど、付き合ってるのにキスも出来ないなんて嫌だし」  錯覚なのか、メンバー愛を恋愛感情と誤解してるのか。何なのか分からないけど、ノンケの圭が男の俺とキスしたり、ましてやセックスなんて確実に出来ないだろう。  そう思ったのだが、目の前の圭は俺の肩を掴んだまま、呆気に取られたような顔をしている。 「拓海さん何言ってるの? 出来るっていうか、したいに決まってるじゃん」  少し高い位置にある圭の顔を見上げると、そのまま唇が重なった。  驚いて目を見開き、圭の胸を押したけど、びくともしない。それどころか、何回も唇で唇を挟まれるうちに、力が抜けてきてしまった。力が入らなくなった俺の腰を圭が片手で支える。  気がつくと、俺は圭にしがみついていて、目を閉じて続きを求めていた。    そのうちに圭の舌が口の中に入ってきて、どうすればいいのか分からなかったけど、柔らかい舌に触れられると気持ち良くて、無意識に自分の舌を絡ませてしまう。  キスの経験は当然ある。  だが、こんなキスを———全部奪われるようなキスを俺は知らない。  熱のせいかキスのせいか、頭も口の中も身体も半端なく熱い。身体の中心はすでに痛いくらいに張り詰めていて、熱を解放したくて仕方なかった。ぐっと腰を引き寄せられると、圭の中心も硬くなっていることが分かり、ますます身体が熱を持つ。    たまらなくなって身体を押し付けると、圭の手が俺の服の裾から入ってきた。直接肌に触れている手はキスをしながらどんどん上がってきて、胸の先端を指先で引っかかれる。  ————ダメだ、これ以上はまずい。  それに触れられた瞬間にようやく我に返り、強く圭を押すと、ようやく唇が離れていった。 「……お前な。いきなり何すんだよ」 「さっきの、どう考えてもキスする流れだったじゃん」  呼吸を整えながらどうにかそれだけ伝えると、悪びれもせずにそんなことを言ってくる圭をにらむ。   「だからって、いきなり舌入れてくるやつがあるかよ」 「拓海さんもその気だったくせに」  そう言われると反論出来なくて、ぐっと口をつぐむ。 「俺が本気だって分かってくれた?」  青みがかった髪をさらりと撫でられ、いたたまれなくなって視線をそらす。 「なんとなくは……」 「なんとなくってひどいな。拓海さんが良いなら、俺はこの先もしたい」  廊下の先に視線をやった圭が何を意図してるかを察し、さすがにそれはまずいと首を小さく振る。 「分かった。拓海さん風邪引いてるし、今日は諦めるよ」  今日はって、何だよ。また続きがあるってことか?  ああ、ダメだ。ちゃんと考えなきゃいけないのに、頭も身体も熱くてまともな考えが浮かんでこない。 「悪い、圭。今日はもう帰ってくれないか。休みたい」 「うん、体調悪いのに長居してごめん。 急がないから、さっきの告白の返事考えておいて」  たしか俺は、はっきり断ったはずなんだけど。だが、ここで言い返したらまた面倒なことになりそうだったので、ひとまず分かったと頷いておく。 「それにしてもお前、いきなりわけわからないことまくし立ててくるし、前の車にぶつかりそうになるし、いきなりキスしてくるし。今までにされた告白の中で一番、」 「一番?」 「情けない告白だった」  グッときたよ、という本心を直前で呑み込み、別の言葉を伝えると、圭はがっくりと肩を落とす。 「おつかれ」  肩を叩いてやると、顔を上げた圭は俺を引き寄せ、軽く唇を重ねてきた。 「ゆっくり休んでね。じゃあ、また」  それだけ言って、圭はドアを開けて部屋から出て行った。  ……なんなんだよ、あいつは。  圭に触れられた唇が、身体が、どうしようもなく熱い。  可愛い弟みたいな存在だったはずなのに、いつのまにあんなエロいキスするようになったんだよ。  昂った熱を一度解放するか、それともこのまま寝てしまうか。這ってベッドに入った後も、しばらく俺は悩む羽目になった。

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