トゥーリとヌーッティ Tuuli ja Nuutti

読了目安時間:2分

ヌーッティ危機一髪

1.十五夜とヌーッティ

「じゅうごやってお団子を食べる日なんだヌー?」  キッチンの中央に置かれた木製の大きな作業台の上に立つ小熊の妖精ヌーッティが、作業台で団子を作っている青年アキに向かって尋ねた。  アキは両手で生地をころころと丸めながら首を傾げた。 「団子を食べる日っていうかお月さまに団子を供えるっていうか、食べるのがメインじゃないんだよ」  うまく返答ができないアキの声は先細りになった。  十五夜に団子をススキや芋などと一緒に月に供えることは知っていても、何故そのような風習が生まれたのかを問われるとアキは答えに窮してしまった。あとでネットで調べてみようとアキは思った。いざとなれば日本にいる祖母に訊くのも手だなと思いながら。 「お月見のときに供えるものだから、お団子はすぐに食べられないんだよ。そうだよね、アキ」  小人の女の子でヌーッティとアキの友だちのトゥーリが、ヌーッティの隣に立ちながら、上新粉の袋をばりっと音を立てて開けた。トゥーリはバットの中に上新粉を少しずつ広げるように振り入れた。  アキはトゥーリの言葉に頷くと、 「供え終えてから食べるんだよ」  そう付け足した。  ヌーッティは出来上がった団子を、よだれを垂らしそうになりながら、しゃがみ込んで見つめている。 「そなえると時間が経ってかぴかぴになっちゃうヌー。今食べたいヌー」  ヌーッティが団子に手を伸ばすと、トゥーリがすかさず作業の手を止め、ばちんっとヌーッティの手を叩く。 「痛いヌー! 食べようなんてしてないヌー!」  ヌーッティは叩かれた手をさすりながらトゥーリを批難の色を湛えた瞳で見つめる。 「この間もそう言っておいてアキのドーナツ食べちゃったじゃん!」  トゥーリは目を細めてわざとらしい仕草のヌーッティを見やる。  その様子を見ていたアキは団子を丸める手を止めて溜め息をひとつ。 「そこまで。あともう少しで作り終えるんだし、喧嘩しない。トゥーリもヌーッティも生地を丸めて団子を作る! はい、やって!」  アキの号令一下、ヌーッティとトゥーリはそれぞれの小さな手で団子を作り始める。  ほどよい大きさのトゥーリの団子に比べてヌーッティが丸めた団子は一口では食べられないほどに大きかった。  こうして十五夜の前日の夜があっという間にふけていった。  それにしても、この時誰が予想をしていたのであろうか。後にヌーッティに降りかかる厄災のことを。

コメント

コメント投稿

スタンプ投稿


このエピソードには、
まだコメントがありません。

読者のおすすめ作品

もっと見る

同じジャンルの新着・更新作品

もっと見る

  • あざと可愛い童顔男子に言ってほしい台詞をまとめてみた。

    何てものを連載しようとしているの(後悔)

    20,800

    275


    2021年6月14日更新

    いやあの自分でもよくわからないのでほんとに中身見なくていいです(遠い目) 見てから後悔しても責任は取りません!責任は負いかねますからね!! 可愛い子が大好きなわたくし、あひなり。が独断と偏見で「童顔男子に言ってほしい言葉」をただただ公開していきます(え、黒歴史?) 創作の時にこの中から自由に台詞を使っても良し(そんな人いない)、シチュエーションを想像して悶えるも良し(そんな人いない)です。 コメントなどで寄せられたものの中からも好き!って台詞は紹介させて頂きますので良ければ書き込んでください(Twitterなどからでも大歓迎です) ほんとくだらないのでポイントとかも全然送らなくて大丈夫です。 その代わりと言っては何ですが、あひなりの画力では表紙の男の子はこれが限界なので描いてくれるという方は…ぜひ!!大募集しています!!あと可愛い台詞教えてください!!!というか可愛い男の子の供給をください!!!(がめつい)

    読了目安時間:3分

    この作品を読む

  • 140SS

    30秒で読める。140文字完結超短編集

    100

    0


    2021年6月14日更新

    Twitterで公開した140文字SSのまとめです。 今まで書いた小説から抜粋・再編したものも含みます。 楽しんでいただけたら何よりです。

    • 残酷描写あり
    • 暴力描写あり

    読了目安時間:2分

    この作品を読む