天つ乙女と毛獣〜舞台は房総半島、天女となりしある少女の運命と絆の物語〜(#あまおと)

読了目安時間:4分

エピソード:73 / 149

天つ乙女と毛獣の春章は、この話で一旦区切りとなります。

【04】すばる同盟の結成

 さて、険悪なムードは、芹奈が紗久良の記憶を覗くことで鎮まり、平穏なムードがもどってきた。  そのため。 「新田さん。そういえば、クイーンと何かあったと言っていたけど、もし差し支えなければ教えてくれる?」  様子を伺っていた百合子は、首を傾ける仕草を交え、真剣そうな口調で芹奈に尋ねかけた。 「広瀬さん。実はね、今から数えて3か月前。芹奈が白竜くんと隣町の図書館に行こうと小糸川の河辺を歩いていたの。」 「そのとき、白色の仮面を被り、灰茶色の衣をまとうクイーンが現れたの。そして、ヨモツの存在を脅かすものだと屁理屈つけて、白竜くんの首をしめたり、芹奈のことをやっつけようとしたの。」  芹奈は頭の中から思い出す仕草を交え、クイーンに狙われた状況を百合子に生々しく語った。 「ゆりちゃん、芹奈ちゃんが力を貸してくれて、ぼくも戦士として目覚め、一緒に彼女を追い払うことができたんだよ。」  白竜もまた、真剣さ漂う表情で芹奈の話に一言付け加える形で百合子に語った。  つまり、近隣の小糸川にてクイーンが現れ、自分たちを泣きにしようとした事実を彼女に話した。 「たつくん・新田さん、そういうことがあったのね。」  百合子は、話に耳を傾ける仕草を交えた後、腑に落ちたと思える様子で芹奈や白竜に言葉をかけていた。  そして、 「たつくん・新田さん。私ね、クイーンやヨモツの悪事をどうしたら止められるのか、ヨモツからすばるの国を取り戻すにはどうすればいいのか、いつも考えているのだけれど、なかなか思いつく答えが出てこないの。」 「同じ天女や戦士だからこそ、何か彼女の悪事を止めるアイデアがあれば、教えてもらえると助かるわ。」  百合子は、ほとほとと困ったと思える表情を頬のうえに表したうえで、白竜や芹奈らに意見を求め始めた。  百合子として、クイーンらヨモツの悪行を止め、すばるの再興を成し遂げるための策が思い付かないため、二人に意見を求めたようだ。  すると、 「ゆりちゃん、僕たちでヨモツに対抗する義勇軍のような組織を作るのはどうかな? アフガニスタンで()()()()って義勇軍のような組織があったのと同じようにね。」  白竜は、頭の上にピカッと電球を光らせ、自ら考えついたアイデアを百合子に提案した。  彼の提案したことは、アフガニスタン戦争において義勇組織・北部同盟があったように、自分たちでヨモツ勢に立ち向かう組織を作ることであった。  それに対し、 「たつくん、いいわね。私ひとりだけでは心細いけれど、仲間が集まって一緒に戦えば、大きな力となってクイーンやヨモツの勢力を懲らしめられることだね。それしようよ。」  百合子は口を少しだけ開かせ、うんうんと顔を頷かせて白竜に答えた。  百合子として、組織を作りヨモツに対抗するという白竜の意見に賛同しているようであった。  また、 「元々のヨモツの姫やったわけやし、ハイドやクイーンたちの手の内も分かるやさかいな。その組織うちも参加しますわ。」  紗久良は、あどけない雰囲気漂う明るい表情を顔に表し、百合子や白竜・芹奈らに言葉をかけた。  ヨモツ国シコメ姫だった彼女は、かつて敵側にいたという強みを生かし、白竜の考え出したものへの参加の意志を伝えた。  さらに、 「クイーンたちの考えていることが分かる子が近くにいるのは、心強いわね。芹奈も加わるわ。」  芹奈もまた、喜色満面の表情を頬の上に表しながら、紗久良と同様に意志を一同に伝えた。  最後に、 「ゆりちゃん・芹奈ちゃん・紗久良ちゃん、ありがとう。僕も足手まといにならないよう頑張るよ。」  白竜は、真面目な面持ちと照れくさげな気持ちを入り乱れさせながら、少々頭を下げて百合子たちに語りかけていた。  こうして、芹奈たちのふとした話から”平和を望みすばる王朝を奪還するための天女戦士の組織”が結成されることとなった。  なお、組織の名前は、百合子が紗久良や芹奈・白竜らに提案し、”すばる同盟”と名付けられた。  この名称には、紗久良を除いた百合子・白竜と芹奈の三人がすばる王朝の生まれや育ちであること、いつか”麗しき平和の楽園”と評されたすばるの王朝を再興させるという決意の二つの意味が込められていた。  すばる王朝の王位継承者たるタキリ姫こと百合子が主将、副主将には彼女の従弟であり、幼なじみでもあるミカヅチこと白竜。  タキツこと紗久良・トトリこと芹奈の二人が、主将や副主将の下に付くメンバー構成とされた。  さらに、百合子を通して横浜に住む従妹の紗香・トヨタマや余呉に住む尾花・タマヨリ。  紗久良を通してその親友のみゆき・ヒルメにもすばる同盟への参加をそれぞれ呼びかけた。  いずれの三人も、百合子たちの考えや想いに賛同し、進んで参加する意思をあらわしてくれた。  こうして誕生したすばる同盟は、タキリ・ミカヅチ、そしてトヨタマ・タキツ・トトリ・タマヨリ・ヒルメの7名の天女や戦士が属するものとなった。  のちにヨモツ国より亡命してきた下女のナミ改めウズメなどの天女、一般人の協力者(理解者)として綾子、後に美香を加え、ヨモツ国のクイーン・ミタマやハイドらとの戦いに巻き込まれてゆくこととなる。

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