時は進み、五月二九日の土曜日となった。 この日は、午前中のみの授業のため、百合子は妹の紗久良、そして京都で再会した白竜、そのガールフレンドである芹奈とでお互いにハンバーガーレストランに集まり、勉強会をすることになった。 まず、授業を終えた百合子は、紗久良と待ち合わせる予定となっていたため、校門の前にある一本の桜木の下に足を赴かせた。 この時、 「授業終わったから、たつくんに会えるわ。」 百合子は久々に幼なじみの男の子である白竜に会えるという喜びなどの気持ちを胸に膨らませ、足を前に進ませていた。 桜木の下には、妹の紗久良が両手で通学鞄を持ち、早咲きの紫陽花を背景ににっこりとした表情を顔に浮かべて佇んでいた。 まさに、妹として姉の百合子のことを心から敬い、一緒にいられるという喜びの気持ちに満ちていた。 はじめに、 「お姉さま。うち、ここにいるで。」 紗久良は、丸い満月を思い起こさせる柔和な様子を頬や言葉に表し、百合子に呼びかけた。 「紗久良。ごめん、待たせたわ。」 百合子もまた、太陽みたいに明るい表情を交え、紗久良に手を振りながら言葉をかけた。 そして、百合子は紗久良と手を固くつなぎ、白竜たちの待つハンバーガーレストランに向けて歩みをすすめ始めた。 まず、 「紗久良。高瀬さんとうまく付き合えているの?」 百合子は、姉貴らしい優しげな気持ちを顔に表し、ゆっくりとして聞き取りやすい語りで紗久良に尋ねた。 彼女として、紗久良がみゆきと仲良くできているかどうか気になり、確かめようとした。 それに対し、 「お姉さま。みゆきちゃんのことやけど、同じ天女同士やからうまく付き合えているで。」 「こないだは、ビーチバレーの部活の練習でレシーブやトスを教えてもらったんよ。」 紗久良は、あどけなさ漂う顔のうえにニコニコとした明るい気持ちを描き出して百合子に答えた。 彼女の語りからは、親友であるみゆきと仲良くできていることを手に取るようにして理解できた。 「紗久良。それなら、心配しなくてもいいわね。」 百合子もまた、胸をなで下ろしたかのような様子を顔という名のキャンバスに表した上で、紗久良にやさしげな語りで言葉を返した。彼女たちの語り合う姿は、まさに同じ母親の血を分けた姉妹に相応しい雰囲気を感じさせた。 渡鍋学院を出た百合子と紗久良の二人は、坂を下って西坂田の交差点を直進、内房線を跨ぐ陸橋の先にあるハンバーガーレストランに赴いた。
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けーすけ@AI暴走中!
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けーすけ@AI暴走中!
2021年8月30日 0時03分
安房 桜梢(Sakura✿Awa)
2021年8月30日 6時31分
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安房 桜梢(Sakura✿Awa)
2021年8月30日 6時31分
涼寺みすゞ
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涼寺みすゞ
2022年5月9日 17時31分
安房 桜梢(Sakura✿Awa)
2022年5月9日 22時45分
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安房 桜梢(Sakura✿Awa)
2022年5月9日 22時45分
ルン
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ルン
2022年2月14日 15時33分
安房 桜梢(Sakura✿Awa)
2022年2月16日 8時07分
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安房 桜梢(Sakura✿Awa)
2022年2月16日 8時07分
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