天つ乙女と毛獣〜舞台は房総半島、天女となりしある少女の運命と絆の物語〜(#あまおと)

読了目安時間:4分

エピソード:82 / 149

【あらすじ】 中華街でご飯を食べた一同、山下公園に移動して記念写真を撮影することになります。 この記念写真の様子を描いてみました。

【04】山下公園のほとりで~集合写真を撮り、おもひでにふけながら

 中華街の中華料理屋で食事を終えた百合子。  運動がてら中華街から歩いてすぐの山下公園に移動した。  この山下公園は、かつてフランス波止場という船の停泊場があったところを関東大震災の際に埋め立て、復興のシンボルとなる公園に整備した場所である。  かつて日米航路で活躍した氷川丸が係留されていて、目の前に横浜港の景色が広がり、秋になるとイチョウ並木の黄金色の葉を楽しめるためか、若者に人気のデートスポットとして知られている場所でもある。  なお、百合子・紗久良の姉妹が考えたプランでは、この山下公園で港やベイブリッジ・氷川丸などを背景にして4人で記念写真を撮り、景色を楽しむ予定となっていた。  いつもは、離れ離れに暮らしている百合子・紗久良、白竜、紗香たち。その思い出を長く目に見える形で留めておけるよう"写真撮影"のプランが盛り込まれたのだ。  さっそく、百合子たちは、公園の中ほどにあるお花畑をプロムナードに沿って通り過ぎ、海辺を見渡せる岸壁に足を赴かせた。 (まずは、三脚を組み立てないと…)  まず、白竜折りたたみ式の三脚を手慣れた様子で展開。三脚の上に一眼式のカメラを固定して準備を終えた。  その様子は、さながらプロのカメラマンも顔負けしそうなテキパキとした段取りであった。  それとともに、百合子・紗久良・紗香が岸壁の欄干を背にして立ち、ポーズを決めた。  百合子は、両手を脚の方につけ、いつも通りに安房の地をさんさんと照らすお日様のような明るい表情。  紗久良は、幼さやあどけなさが漂う童顔のうえに、顔からこぼれ落ちんばかりの笑顔を表し、両手を胸元で組ませた。  紗香は、生真面目な性格とわかる喜色に満ちた面持ちを描き出し、いつになく明るい気持ちを描き出した。    百合子・紗久良・紗香。母方の祖父母(ヤカミ妃・ヌナカワノメ)で血を分けたもの同士とて、久々に顔を合わせられた嬉しさや喜びの気持ちを表しているようだった。 (みんな、生き生きとしているね…)  彼はファインダーに目を近づけてピントを合わせ、シャッターに右の人差し指をあわせた。  ファインダーに映る生き生きとした3人の姿。白竜はそれを見て脳裏にふと言葉を浮かべていた。  まもなく、 「ゆりちゃん・紗久良ちゃん・トヨタマ、撮るよ」  白竜は、にっこりとした優しい表情を描きだし、百合子に言葉混じりに合図をした。  カメラのセットが終わり、撮影できるかどうか百合子たちに確かめたのである。 「たつくん、大丈夫だわ」 「うち、もう撮れる状態やで」 「兄様、準備整いましたので大丈夫です」  百合子・紗久良・紗香。3人ともに、明るげな気持ちを頬に描き出し、白竜に答えた。  彼女たちもまた撮影を前に心構えをととのえたようだ。  白竜は、さっそく 右の人差し指でカメラのシャッターを切った。その直後、ファインダーに写真が映し出された。 「写真、撮れたよ」  白竜は、カメラを片手に百合子たち駆け寄り、ファインダーに映る写真を見せた。  日に照らされて青々とした色をたたえた海とその上に浮かぶ氷川丸の姿。その景色を背にして、百合子・紗久良・紗香の三人がそれぞれに個性さ漂う明るい表情を描き出していた。    初めに、 「めっちゃええやん、うちらえらい綺麗に写ってる」  紗久良が感極まった気持ちを言葉に表し、白竜に言葉をかけた。 「たつくん、撮るの上手いね。ありがとう」  そして、百合子が嬉しさやときめきの気持ちを胸に抱かせ、語り交じりに白竜をほめちぎった。 「兄様、ありがとうございます」  紗香もまた、ニコニコと嬉しそうな表情を浮かべて兄にあたる白竜に言葉をかけた。  彼の撮った写真。それはまさに、かつてすばる王朝が存在していたとき、百合子がタキリ姫、紗香がトヨタマ、ヨモツ国に寝返りクイーンとなっているイチキ()が楽しげに遊んで言葉を交わし、ミカヅチやヤカミ妃たちと平和という名前の平凡な日常を過ごした懐かしき記憶と重なるものがあり、白竜や百合子・紗香の表情にもそれが現れていたようだ。 「ゆりちゃん・紗久良ちゃん・トヨタマ、ありがとう」  白竜もまた、嬉しくて恥ずかしいのか頭をボリボリとかき、頬をほんのりと桃色に染めて百合子たちに言葉を返した。  彼もまた、嬉し恥ずかしさの中に昔懐かしさをいだき、言葉を返していた。  かれこれ数えて十年ぶりに顔をあわせた百合子・白竜・紗香の3人。いま写真に写る自分たちの姿と幼少期すばる王朝で過ごした懐かしき日々とが重なりあうような雰囲気だった。 【04】山下公園のほとりで~集合写真を撮り、おもひでにふけながらの挿絵1

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