夜も更ける頃、家に帰るのに自転車で二人乗りをしていた。 僕は自転車を漕ぎ、彼女は後ろでお姫様座りで横を向いていた。 夜の静かな上り道を、サビの音が微かに聴こえるママチャリで進んでいたのだ。 そして丁度、丁字路のところにある電柱に付いた街灯の下を通った時だった。 ビュウッと一陣の風が吹いた。 春先とはいえ夜は少し冷える。 少し震えると、彼女が僕の腰に腕を巻き付けて力を込めて捕まった。 柔らかい肌と温もりが服の上からでも伝わってくるようで、心が少しだけ高鳴るのが分かった。 「あ、あのさ……」 僕は少し照れてしまって、この嬉しさを言葉にできず、そして彼女も何も言わなかった。 すると突然、ドサッと何かが落ちた音がした。 彼女がカバンでも落としてしまったのかと急ブレーキをかけた。 「カバン、落としたの?」 僕は問いかけた。 しかし、彼女は反応して来ない。どうしたのかと後ろを振り返った時だった。 僕は躊躇わず彼女に口付けをした。 まだ柔らかく温かい感触がした。
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巻き爪たろう
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巻き爪たろう
2020年5月12日 0時31分
陽向 舞桜
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陽向 舞桜
2020年4月17日 17時53分
からくりメガネスト
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からくりメガネスト
2020年4月10日 1時24分
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