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帰り道の語り合い

 夢とか願い事って聞かれた時、大体幸せな事について思い浮かべる。なりたいものやりたい事、到底現実ではありえない事だって  だから、こうやって取り留めなく自分達の願望について話しているのは楽しい。たとえ他人から見て意味のない事だと言われても、私たちが楽しいんだからそれでいいのだ  帰り道の途中、公園でまだまだ話し足りなかった私たちはジュースを片手にベンチに並ぶ。公園の紫陽花は丁度見頃だった。夏休みには何をしよう。そんな会話からどうやってこんな話題に移ったのか話していた私たちもわからないけれど、それがまた可笑しくて、ふたりして笑い合う    あり得ない願い事として1番の盛り上がりを見せたのは、大きな大きな猫に抱きつきたいというものふわふわの毛に大きな肉球、背中に乗ったら歩いてくれないだろうか、いやいやそこは猫、きっとこちらの思い通りになんて動いたりはしないのでは、じゃあ一緒に寝るのでもいい、猫の気まぐれのままに過ごすのはきっと悪くない  そのほかにも大きいプリンだのゼリーだのクリームソーダのプールだなんてのも出てきた。大きいものには夢があるらしい    あとは食べたいもの、テレビやネットで見た事があるだけの何やら高級そうなご馳走や、思わず写真に残したくなるかわいいデザート。遠い地方の名物料理も食べてみたい。でも1番は、いつか物語の中で見たお菓子や料理。名前からして面白いもの、本当にありそうで見つからないもの。似たような食べ物は沢山あるけど、私はまだあの物語の主人公たちと同じものには出会えていない  あとは好きな人、噂話やこちらの勝手な想像で補われたその人は理想や何かで息ができないんじゃないかってくらい飾り立てられる。あんなところがかっこいい、こんなところが優しくて好き。本当にあった事なのに、どこか妄言じみてしまうのはどうしてなのか  どれもこれも、私たちが色めき立つ願望というのは良いことばかりの理想を詰め込んだものである。なにも私たちだってそれを現実に出来るとかしようとか言うつもりではないのだ。ただのお遊び。もちろん半分くらいは本気だったりするけれど。だから悪いところは話さない  いつか何かのきっかけで本当になってしまえばいいのに    

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