〜クイーン·ザ·セレブレイド〜

読了目安時間:7分

ギトス城

「わかっておる」と言い歩いて目の前でプログ王が止まったのは、 「プログ王」  ()()()()()()()()()だった。  プログ王は娘と死闘をした彼女にも力を借りようと言うのだ。 「ガーネット王女よ、娘と戦ったそなただがこれも戦争だ。仕方のない事なのかもしれない」  王とてここにいる若い者よりも戦争の恐ろしさと残酷さは知っている。例え相手が戦争した憎い相手でも平和のためには水に流すなど沢山してきた歴史がある事実、それに加え不満もある者や反対する者が1度引き金を引いてしまえば命の奪い合いを始めるのが人間なのだと。 「それでも、あなたにも力を貸してほしい」 「私たちからもお願いします、ガーネット王女」  オメラも例えついさっきまでロベリーを殺そうとした人に頼むのは、もしかしたら変かもしれない。  でもガーネットは王女、殺人鬼では決してないのだとエマリンと共に頭を下げる。  それをバカがとあざ笑うような笑みのバイオレットだったが、 「()()()()()()()()()()()()」 「なんだとっ!」  ガーネットは怪我をしながらも立ち上がり承諾する。安堵するプログ王と喜びハイタッチする2人の王女、だが驚き納得のいかないバイオレットは、 「お前は私と同じ思想だと思ったが、どういうつもりだガーネット王女」  ガーネットの横顔をまるで裏切られた者の様に睨みイラつく姿を横目で見続ける。 「いま答えた通りだ。ランク城に協力する」 「クイーン·ザ·セレブレイドになるのはどうした。諦めたのか?」  プログ王やオメラにエマリンもその事が気になっている様な目線に気づきガーネットは今の気持ちを話す。 「簡単な話だ。私はロベリー王女と互いの想いに命を懸けて戦った。そして私は負けた」  レスタ王女と戦うと読み奇襲までかけ、決して手を抜かず向かって来るロベリー王女を本気で殺るつもりで、自身の信念のもとクイーン·ザ·セレブレイドになるために、とガーネットは語る。  彼女の臆しない目の強さを感じた王と王女達でもバイオレットが、 「フンッ、ようは1度負けたから諦めたと言うのだな、ガーネット王女」 「ガーネット王女······」 「そんな悲観的に見てもらっては困るなオメラ王女」  言葉を無視されたバイオレットが「答えろ」と声を上げ問いかけると振り向いて、 「私には私なりの1()()()()()を出しただけだ」  そう答えたガーネットの目は円卓の間や戦うときの勇ましい目だと皆は感じる。 「クイーン·ザ·セレブレイドとなり神の啓示を聞く資格があるのなら私が勝っていたはず。しかし私は負けた、つまりそれは神がロベリーを選んだと、そう思っただけのことだ」 「な、んだと······」  バカな、とバイオレットは頭の中が白くなる······。  目を閉じフッと笑みを浮かべるガーネット王女は、 「それに、ロベリー王女はなかなかやる。私が命を取ろうとしたのに生きているという事は、なにか策でもあるのだろう?」  オメラとエマリンに目を合わせると2人は頷いた。そんなガーネット王女は勇ましくそして美しいと感じさせるほど潔かった······。  牢屋でガーネットの想いを聞いた3人も納得するとオメラは、 「よかった、ありがとうガーネット王女、でも怪我」 「ああ、包帯を貰い少し仮眠を」 「うっうっ······」 「え······」  と皆が驚くそれは、  バイオレットの涙。  誰もがそんなはずはないと思ったその姿に言葉と身体は止まる。 「では、わ、わたしは······神にみすてられたというのか······うっうっ」  ガーネットの考えを聞き、自身の頭の中で今までの結果、1度目にロベリーと戦いやむなく撤退、2度目に至っては相手に生かされての敗北。  天井を見上げこんなお粗末な結果に話を結びつけて()()()()とバイオレットは感じてしまう、全ては()()()()()()()()()のだと。 「クイーン·ザ·セレブレイドを信じた私よりも、ロベリーが選ばれたというのか」  望んだ者が選ばれるのではない、決めるのは······。  悔しさで涙が止まらない。  それを見ていたガーネットにも少なからず彼女の気持ちが分かっていた。  愛する人、友、家族、国民そして神だろうと選ばれなかったと、捨てられたと想うのは辛いものであると。 「そんなに悔しさか」  涙を流しつつも横目で睨み、 「フンッ、私は15の時から13年間、神の啓示を受けるために生きてきたのだ、若いお前らなぞにっ」 「なら今度はバイオレット王女の目で確かめてみるがいい」  そこに唯一バイオレットよりも年上のプログ王は口を開いた。 「人は最初は親も場所も選べない。善人に生まれれば普通に、悪人に生まれれば悪人に、そういうものなのかもしれない。君と同じように選ばれたくても選ばれない者は沢山いるのだ」 「だからなんだ」 「私もランク城に生まれた時から王になるそういう運命だった。だから時々思う、普通の家族に生まれていれば妻も娘も幸せだっただろうと」 「プログ王······」 「バイオレット王女よ、選ばれなかった事を悔やむよりも、今この場で()()()()()()()我々に手を貸してはくれまいか? クイーン·ザ·セレブレイドになるのかどうかのついでに」  選んでいる、か。たしかにこいつらの目は私を······。 「······それは結局あなたの娘を助けることになる。という計算か。いいのか? ロベリー王女を殺すかもしれんぞ」  その瞬間、牢内が殺伐としたがガーネットは挑発の様に、 「心配せずとも貴女にロベリーは倒せない」  睨みつけるバイオレット。 「ロベリーは、強いぞ。あなたもわかってるはずだ」  睨み合ったまま沈黙する2人。しかしオメラは気づく、ロベリーと命を懸けて戦ったこの方達だからこそ、認めているからこその言葉が出るのだと。  そしてバイオレットは、 「······いいだろう」と見極めるという形で牢を出て4人の王女はそれぞれの想いを胸にギトス城へと向かったのだった······。  ――バイオレットに急かされたが王女達の話を聞いて何故かボロボロなはずなのに力が湧くようで温かい気持ちになる。 「そういうわけだロベリー」 「やっぱりベルディ王女やレスタ王女には気づかれていたのですね」 「もちろん」 「そうだ、そしてロベリー、デナ。シリカ王女と出会い本当の気持ちを喋ってもらうぞ」 「はい」「ああ」  他の王女達とは気持ちが遠く感じた最初とは違い見渡せば近く感じて内心嬉しいロベリー、そしてレスタの言葉で1人と8人の王女はギトス城裏口から入っていった。  裏口を入ってすぐ噴水の音がすると思った時、 「まってっ!」  ロベリーが止めた先には、 「死体······」  騎士が倒れているのを発見し顔を隠すエマリン以外の王女も確認するとベラ王女が膝をつけ顔をよく見た。 「コイツは」 「ベラ王女、知ってるの?」 「コイツは、確か()()()()()()()()()()()()()という男だったはず」 「なぜ、貴女が知っているベラ王女?」  ガーネットがそれとなく質問すると、 「レンプル城とべオレ城は隣国だから、話には聞いていた」 「そのべオレ城の騎士がここで殺されている?」  レスタがそう答えると皆に緊張感が走りながらも先へと進んで行く······。  謁見の間でシリカ王女は玉座に座り、そこから現れるだろう入り口の扉を見つめていた。  すると、 「シリカ王女」  ロベリーとベラ、オメラとエマリンに肩を借りるデナ、可動面頬の女騎士4人が謁見の間に姿を現す。  険しい顔で皆シリカを見上げる。 「ロベリー王女······なぜ······」 「どうかしましたか、シリカ王女」 「いえ」 「ではお聞きします······なぜ、あの時逃げたんですか。ラドルフは私の仇、しかしそれよりも彼はランク城の裏切り者。それをなぜ教えてくれなかったのですかシリカ王女」 「······知らなかったのよ、彼が裏切り者だったなんて」  しらを切っていると思ったロベリー、それは自分よりも王女の経験豊富な人が知らなかったとは思えないため。  会話が一旦途切れるとロベリーの真横に並ぶようにオメラ出て、 「それだけではありません」 「オメラ王女」 「あの鉄仮面の騎士の中にはデルサージの騎士団長であり私を殺そうとしたデモン·サー·プレシャもおりました」 「まだあります!」 「エマリン王女ね」 「私の城の騎士団長候補で私も殺されかけたカイブの姿もここにありました」 「姉を殺した、ラムールの姿もだ」  エマリンに肩を借りながらもシリカを睨み話すデナ。更に一歩前に出るオメラ、 「これだけ各国の元騎士団長がギトスに集った。もう偶然では済まされませんっ!」

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