〜クイーン·ザ·セレブレイド〜

読了目安時間:5分

3つの宗教

「はい、もうすっかり鉛のようなだるさも消えています。御迷惑をおかけしました。それで何かありましたか?」 「はい、クイーン·ザ·セレブレイドの事を調べさせていた調査団が帰って来まして」  えっ、と気にかけていた事もあり玉座に急いだ。  久しぶりに椅子に座ると5名の兵士が跪いていたので早速話を聞いてみることに、 「ロベリー王女、我等5名の兵士が任を努めている間に2度目の戦争に参加できず大変ご心配をしておりました。さらには裏切りのラドルフ元騎士団長、私の先輩でもある騎士バーナの件は悔しくても悔やみきれません」  礼儀正しく、強そうな彼の名を訊くロベリー、 「申し遅れました私は騎士パメイ·ラ·ホマ、この1週間あまりにクイーン·ザ·セレブレイドの件を調べて参りました」  髪は短髪で左眼の方におそらくは剣で切られたであろう傷跡が、 「では騎士ホマとその兵士の結果をお聞きします」  クイーン·ザ·セレブレイド、それはこの世界における宗教クイーン教の聖書に書いてある12の王女から選ばれた1人の女性が神の啓示をうけ終止符をうったとされる物語。 「そこは知っています。むかしお母様に読んでもらったから」 「私たちはこの聖書を調べていると、他の宗教も調べることになり」 「他の宗教、ですか?」  その名は女王の剣を(つるぎ)とセレブ教。  ロベリーには耳にした事がある程度で中身は全く知らない宗教である。 「それで、その女王の剣とセレブ教がどういう関係なのでしょう?」  はい、と続きを語るとそれぞれの2宗教が出す聖書にも似たような文章があるという。 『女王の剣 最後の聖剣』  ――昔、このオブスーン大陸に国が無く部族間による領土の争いが延々と続いていた。  そんな中、  終わりの見えない争いに光明の灯火が光る。  時として先頭に立つ男達による死。  この時代、男は前線に出ていて先頭に立つ者だった。  死亡すると次の男、また死亡すると次の男、  とにかく男、と繰り返していたが遂に部族の男が全て亡くなってしまう。  残った者は女性と幼い子ども、  それぞれ考えた12の部族達、  結果、  強き女性を新たなリーダーとすることで再び争いを始める。  しかし結局、同じような事の繰り返しかと誰もが思った。  生き残った最期の二人の決着がついたとき、  その女性の前に神が現れ勝ち残った1人の彼女に聖剣を渡すと消えっていった。  女性や子どもたちは神に選ばれしそ彼女をクイーン·セレブレイドとしてこの地に名を残したのだった······。 『セレブ教 最後の章 女性と女神』  ――オブスーン大陸、その昔国が無く部族たちによる領土の戦いは幾度なく続いていた時代があった。  まるで終わる事のない戦いに疲弊する部族民に異変が起こった。  偶然か必然なのかリーダーである男性が戦いにより次々と亡くなる。  男性が前に出るのは当たり前でリーダーであったが、死んでは次の男性また死んでは次の男性と虚しく繰り返し······部族の男性は消えていく。  そうなれば当然残るのは母や女性と幼い子ども、  絶望に暮れる12の部族達、だが1人の女性が剣を自ら持ち新たなリーダーとし再び戦う事を誓う。  女性同士でもやはり人、  次から次へとリーダーの女性は亡くなっていき同じようなデジャヴのように繰り返すと皆思った時、  最期の2人が決着をつけると女神が姿を現しその女性の願いを叶えるという。  女性の願いは永遠の戦いのない平和、  その願いを叶え女神は微笑みながら姿を消す。  泣いて喜ぶ全ての人々はその女性に、  クイーン·オブ·セレブレイドと永久に語り継ぐのであった······。  皆で1度読み終える。似たりよったりだな、とヤクナは率直に思った。 「3つの聖書の1番の共通点といえばやはり『12の部族の戦い』ですかな」  12の部族、それはこのランク城を含めた国々の数とあっている。 「そうですね、あと気になるのは3つの聖書でも12のリーダーが戦い残ったのが最後1人の女性、というところです」  その文章を読んだとき頭にはプレナ王女とバイオレット王女が鮮明に浮かぶ。  彼女たちも恐らくこの影響を色濃く受けているからこそ今でも存命のバイオレット王女はこれを信じて疑わないのだろう。  それと、とヤクナが付け足すのは、 「何なんだ? このクイーン·セレブレイドとクイーン·オブ·セレブレイドとは、クイーン·ザ·セレブレイドと似ているが」  ややこしいと額に手を当てた。  すると騎士ホマは口を開き、 「はい、私もそう思いましてそれぞれの教祖に訪ねたのですがどちらも結論は自分たちが正しいと言うばかりで話にならず、我々は再び独自に調べたところ」  彼らは教祖に聞いても答えないため3つの宗教の歴史を調べる事にした。 「およそ150年前、クイーン教は教徒が減り続けていた事があったそうです。原因は不明ですが、その中から離脱した者が女王の剣を創設」 「150年······」 「まだです。さらにそこら約50年後、再びクイーン教を抜けた者が今度はセレブ教を設立したのです」 「むむ、3つの宗教は元は1つだった様なものだな」  歴史は分かった。しかしロベリーが腑に落ちないのは、 「どうしてプレナ王女、バイオレット王女、それとガーネット王女はこの神話にそこまで」 「もしかしたらなのですが」  騎士ホマ目をつぶり語る。 「歴史を調べていると気になる点がありまして、それはクイーン教がここまで生き残れたのは2つの王国に関係しているとまでは分かったのですが、それがどこの王国かまでは分かりませんでした」 「2つの王国って······ラバーグ城とニゲラニ城?」  ロベリーがボソッと口にする。 「確証はありませんがもしかしたら」  歴史とは深く簡単には真実にはたどり着けない。でもこれは宗教による戦争でもあり、プレナやバイオレットはこの神話を実現させようとしているのは濃厚であろう。  だが疑問はまだ残り、ガーネット王女もクイーン·ザ·セレブレイドの信者のような方だったとするとビスカ城は3つ目の王国なのか、プレナ王女を妹のデナがなぜ殺すのか、それは宗教に反するのではないかなど新たなる謎が思い浮かんできりがない。  今回もたらされた情報により大きく事が動くわけではないがプレナやバイオレットの思惑が少しだが分かった気がした······。  しかしまた日が昇る頃、神への冒涜とみなされたのか立ち直ったばかりのロベリーに天罰が落ちたような衝撃を受ける事となる······。

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