〜クイーン·ザ·セレブレイド〜

読了目安時間:6分

左上から モルエス·ラル·ロベリー(16才) ランク城の王女。覚悟を決めて長い髪を切る。 ラドルフ·ヌー·クラサ(36才) ランク城の元騎士団長。国を裏切りロベリー王女を殺そうとし止めに入ったバーナを殺害、その後は行方不明。 バルディブ·バーナ(22才) 裏切り者で師でもあるラドルフに殺された。 左下から クリソプ·ジェ·デナ(16才) ラバーグ城王女で姉のプレナを殺した妹。 ビアン·ジタ·チェコ(18才) ゴルドバ城の王女ベルディの妹。 クロム·ピス·チュリン(16才) ローズ城の王女でありロベリーの親友。現時点でどう殺されたかは不明。

プリンセス ―ショート―

宣言

宣言の挿絵1 「ロベリー王女!」  兵も皆で涙を流しヤクナは抱きつく、 「ヤクナ、苦しいです」 「死ぬ御つもりだったのですか」  鼻水もたれている。 「最初は、そうだったかもしれません。しかしいまは、前よりも気持ちが澄んでいて楽です。おかげで決心がつきました」 「決心?」  その言葉に引っかかるヤクナをよそに果物ナイフを返すロベリーの手にはピンクの髪の毛が付いていた。 「これは」 「自分で切りました。見てなかったのですか?」 「いえ······」幼女の頃から伸ばしていたロベリーの髪、母とお揃いと喜んでいたその髪を自分で切るのは相当な気持の現れと読みとった。  だがロベリーはかまわず玉座の間に騎士や兵士たちも連れて来るように命令する。  先程とは一転、まるで何事もなかった様な姿勢に兵たちも内心動揺しつつも同時に頼もしさも感じるほどの立ち姿で顔も丁度よい笑みと雰囲気を醸し出していた。  ロベリーが玉座の間へと歩いていると、 「ロベリーッ!」  お父様、と思わず声を上げ寝ているよう促す。 「何を言うか、急に走って行ってしまったのだから心配するに決まっているだろう」 「それはすいませんお父様、もうご心配には御呼びませんので安心して休んでください」 「······何があった」 「お母様のお墓に、過去の自分を置いてまいりました」 「過去の? あ、ああそうか」  最初に感じていた心配が徐々に薄れ口籠っていると、そこにヤクナと騎士ホマを含めた兵数名が集まりロベリーは、 「お話があります――」  外では王女からの御言葉とすぐに伝えられ、ランクの城下町は一気に商売する者や子育てをしている者たちが慌ただしくなる。 「ただごとじゃない?」 「2国と戦争してまた何かするのか?」 「ローズ城の王女様が亡くなったことかね~」  ここ最近の事でさまざまな憶測が城下町で広がる中、お城玄関前に人は集まり各国の記者も紙と鉛筆を準備し王女の発言にかまえていた。  ランク城の扉が開くと王女の影見えるがそれは国民が知っているシルエットではなく、出て来たのは皆にも親しまれてきた長いピンクの髪をバッサリと切りショートカットで鎧を着たロベリー王女。  固唾を飲む国民に対し登壇したロベリー王女は出て来て早々、 「急遽お集まりいただいた国民の方々、ありがとうございます」  まずは挨拶を交わしこの経緯を話す。 「今日、御存知の方もいると思いますがローズ城の王女で私の友でもあるクロム·ピス·チュリンが亡くなったとの報を聞き大変な衝撃を受け悲しみました」  しっかりと聞こえるロベリーの声、ローズ城の王女と仲の良い事は知っている人には知っているだけにその場の者たちは鎮痛な面持ちとなる。 「それなのに今も戦いは起きています。このままでは、また、大切な方々を失ってしまう······そこで(わたくし)は、決意いたしました」  ロベリーは1度目線を下げて覚悟を決めた様に上げると、 「私、モルエス·ラル·ロベリーはクイーン·ザ·セレブレイドを宣言いたします――」  ギトス城のシリカ王女に続きランク城のロベリー王女までもがクイーン·ザ·セレブレイドを宣言したと大急ぎで書いていく記者達。  この日にオブスーン大陸の国々は大きな衝撃とさらなる波乱の予感が一気にただよいだす······。  記事を目にして驚きと共に思わず玉座から立ち上がったデル·サージ城のオメラ王女、 「そんな、シリカ王女とロベリー王女が······どうして」  ニゲラニ城でも次の戦いの準備をするバイオレット王女に兵から渡されると睨みだし、 「ロベリー王女、奴が宣言······本当か?」  そして何処からか町で姉殺しのデナは記事を拾い、 「あいつが······」  各国の思い様々に自国を護る準備と逆に戦う準備等々をしはじめ戦いの序章となっていく······。  厳冬へと日が進んでいくオブスーンはシリカとロベリーの宣言から1日、 「くっ!」 「気持ちが前に出すぎです!」 『剣と槍の部屋』にてロベリーからヤクナは練習相手を命じられていた。昨日の宣言で戦いに行くと思いきやロベリーは騎士ホマにある件を頼み戻ってくるまでは城の兵と少しでも強くなるため相手をしてもらう。 「気持ちが前に······」  深呼吸し落ち着かせ、 「ふっ!」 「よろしい、先程よりも鋭いですよ」  ロベリーの気持ちの中は既に次の戦いに備えて集中し、ひたすらヤクナ相手に剣を振るい続けるのだった······。  ――シリカ、これがあなたの答え?  ロベリー王女、あなたは自身の復讐に取り憑かれてしまったの?  2人の王女のクイーン·ザ·セレブレイド宣言にべオレ城のオネリア王女は、これはまずいと急いでギトス城に向かい、 「これは、ベオレ城の」  扉の番兵が驚くが、 「あいさつは構いません、シリカ王女に会わせなさい」  少しきつい口調は焦りから。  しばらくすると謁見の間にへと誘われオネリア、 「シリカ······」 「オネリア······」  槍を持つ鉄仮面の騎士3人と、玉座に座っているシリカ。 「あれはなに? どういうことなの、答えてっ」 「記事に書いてあるとおりよ、私はクイーン·ザ·セレブレイドを宣言したの」  悲しそうな眼でオネリアを見つめるシリカ。 「宣言って、どうして」  記事には『許せないとシリカ王女がクイーン·ザ·セレブレイド宣言。朝、堂々とギトス城のシリカ王女は壇上にあがり演説を始め、亡くなったチュリン王女と最後に交わしたことを語りだす。シリカ王女はそんな若き彼女を天が裁きを下すのならと自身がクイーン·ザ·セレブレイド宣言しオブスーン大陸の全国民と亡きプレナ王女とチュリン王女のため勝ち残る事を誓った』 「······それじゃあなたは戦争を起こすと言うの?」  ゆっくりと瞳を閉じ、 「その可能性も、あるわ」 「シリカッ!」  再びゆっくりとまぶたを開き、 「聞いてオネリア、このまま決意しなければ今度は私が死ぬかもしれないのよ」 「どうしてよ?」 「神の、()()だからよ」  真顔で語るシリカに呆れるオネリアは、 「神の()()? チュリン王女は本当にそんな事で亡くなったって言うのシリカッ」  静かにうなずくが納得のいかないオネリアはさらに問い詰める。 「どうしてよ、あんなに若くして両親を亡くし、それでも王女としての使命を果たそうとしていた子がなぜ裁かれなければいけないのっ」 「貴女はローズ城には行ったのかしら」 「いいえ、断られた。今は戦争の警戒の為、亡くなったチュリン王女の葬儀は自国だけでやるって」 「世界が見えていないのはあなたの方じゃないの?」  その言葉を皮切りに話し出す。 「神の天罰、あなたにはおかしい事なのかもしれない。でも、世界中は今、警戒してる」  シリカ、と小さく口ずさむ。 「こんな騎士を配備しても神ならば裁くのはたやすい事······そしてもしあなたの言うとおり誰かの仕業なら、きっとチュリン王女の様に私を殺そうと来るはず」 「あなた、まさか自分を······」 「分かってオネリア、この世界のためにも国民のためにも私は死ぬわけにはいかないの」  このあともシリカの決意は固く話は平行線。 「――シリカ、あなたが何を言おうと戦争することだけは納得できないわ」 「オネリア······」  オネリア王女は立ち上がり、城を出る最後まで「戦争はいけないわ」と言い続けギトス城を出た。  それともう1つオネリアは思う、シリカは自身をお取りにしようとあの宣言をしたのではないかと······。  思いが錯綜するオブスーン大陸、だが日の出は戦いの夜明けの様に照らす付け火となる······。

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