おいしい悪夢《ユメ》のたべかた

おいしい悪夢《ユメ》のたべかた 第1.5話

ドキドキ!?BATH TIME☆NIGHT!

憑夜から大まかな事情を聞いた後、遅めの 夕飯を食べてから十数分後──── 現在、俺はバスルームの浴槽の中で 湯に浸かりながら頭を抱えていた。 「どうしてこうなったんだ・・・。」 遅めの夕飯を食べ終えてから風呂に入ろうとした所、何と憑夜が一緒に入ると言い出したのだ。 当然、俺は固辞しようとしたのだが・・・、 結局、憑夜に押し切られる様な形で一緒に 入浴する事になった。 いや、内心では満更でもないのだが・・・。 そんなこんなで現在、バスルームには 俺の他に憑夜が居る状況だ。 さて、当の憑夜はというと俺が退屈凌ぎにと浴槽に浮かべたアヒルのオモチャを興味津々といった表情で眺めながらはしゃいでいる。 「むむむ・・・この愛くるしい姿形に つぶらな瞳とこの子はどれをとっても 可愛らしいですね!」 大いに喜んでくれている様で 何よりなのだが・・・ 俺にとっては非常に重要な 問題点が1つだけあった。 「えっと・・・、その・・・、憑夜?」 アヒルのオモチャと戯れながらキャッキャと 無邪気にはしゃぐ憑夜に声を掛ける。 「はい、悠様。何でしょうか?」 アヒルのオモチャを宝物の様に大事そうに 胸に抱きながら憑夜がこちらへと向き直り、 小首を傾げた。 「その・・・だな・・・。前、隠してくれるか?」 そう、憑夜は今、フルオープン状態で俺 と一緒に浴槽に浸かっているのだ。 憑夜は本物の宝石と見まごう程の コバルトブルー色の綺麗な瞳を ぱちくりさせながら小首を傾げている。 何と言うか・・・目のやり場に 非常に困るのだ。 それに【万が一】という事も ありえ無くはないのである。 「ほぇ・・・?そうですか・・・。 では少々お待ち下さいませ〜。」 そう言って浴槽から上がった憑夜は 鏡の前に立つと「ほいっ」と言う掛け声と共に 軽く翳した右手を振った。 すると次の瞬間、憑夜の体がふわふわの バスタオルで覆われた。 「ふぅ、これでどうでしょうか?悠様。」 小首を傾げるながら憑夜が尋ねる。 「あ、うん。OK、OK。」 あっという間の出来事だったので、 少々呆気に取られてしまったが 何とか返答する。 本当は浴槽+バスタオルは マナー上ではNGだがこの状況では 多少の事は目を瞑ろう。 これ以上は俺自身、 理性が保てそうに無い・・・。 バスタオルを身に纏った憑夜が 再び浴槽へと体を沈めた。 「はぁ・・・。温かくて気持ちいいです〜。」 のほほんとした口調で 憑夜が感想を口にする。 そんなのんびりと寛いでいる 憑夜をちらりと見やる。 何故だろうか・・・、先程よりも色っぽさに 拍車が掛かっている様に思える・・・。 水気を含み、しっとりと濡れて雪の様にまっさらな肌に張り付いた白金色の髪(プラチナムブロンド) もさる事ながら、バスタオルで見えてはいけない女の子の聖域(シークレット・ガーデン) が隠れている故だろうか。 そのせいか、余計に想像力が掻き立てられ、健全な高二男子としては色々と卑しい考えが頭に浮かんでは消え、とてつもなく悶々と してしまう。 それにしても──── 「なぁ、憑夜・・・。俺と一緒に 風呂に入ってて、その・・・、 恥ずかしいとか思ったりしないのか?」 さっきから物凄ーく気になっていた事を 思い切って、ストレートに聞いてみる。 よく考えてみれば可笑しな話だと思う。 普通なら裸を見られる事はおろか、一緒に 風呂に入る事も恥ずかしがるはずなのだが。 「あ、えっと。私の世界では混浴が 一般的なので・・・。此方の世界では 違うのですか?」 え?混浴が一般的?マジですかー。 すげぇな、夢の世界って。 「うん、ちょっと混浴はこっちの世界 では一般的ではないかな・・・。」 ぎこちない苦笑いで返答する。 「そうなのですか・・・。成程、 勉強になります・・・!」 答えに満足したのか憑夜が やけに力強く頷いた。 湯に浸かる前に髪は洗っておいたので あとは体を洗うだけだ。 少しゆっくりしつつ、暫く天井を見上げる。 それから数分後──── さてと、体を洗うかな・・・。 そう思って浴槽から上がると、 何故か憑夜も続いて上がって来た。 「ん?どした?」 気になって憑夜に声を掛ける。 「あ、悠様、お背中お流し致します!」 これまた予想外の返答が返ってきた。 「え、あ、いや・・・。ええっと、自分で やるから平気だよ・・・。」 何とか固辞しようとするが、憑夜の手には 既にモコモコに泡立ったボディータオルが 握られていた。 あ、逃げられないのね・・・。トホホ・・・。 ガックリと肩を落としながら観念して 憑夜に背中を預ける。 「では・・・失礼します〜。」 憑夜の声が聞こえるやいなや、背中を 泡立ったボディータオルが這い回る。 ん、これはなかなか・・・。 余分な力を掛けずに丁寧な手付きで 一生懸命に背中を洗ってくれている。 「どうですか?気持ち、良いですか・・・?」 若干、不安げな声音で憑夜が尋ねてきた。 「うん、気持ちいいよ。ありがとな。」 ちらりと背後を振り返って礼を述べる。 「それなら良かったです・・・。 あ、前の方も・・・」 はにかみながらサラリと凄い事を 言ってのける憑夜。 「ま、前は自分でやるから平気だよ! 大丈夫だからタオル貸してくれ!」 大慌てで返答する。 憑夜からタオルを後ろ手に受け取って 大急ぎで前を洗ってシャワーを浴びる。 「ふぅ、さっぱりした・・・。」 安堵の息を吐いていると、憑夜が 風呂椅子を抱えながらぺたぺたと 足音を鳴らして俺の前にやって来た。 「ん?どしたの?憑夜?」 不思議に思って問い掛ける。 「あの・・・、悠様。私の背中も 流していただけますか?」 憑夜が上目遣いで呟いた。 なんですと?え?俺が背中を流すの? 憑夜はそんな俺の心境などつゆ知らず、 風呂椅子に腰掛け、バスタオルを はだけさせながら背中を隠していた白金色の髪(プラチナムブロンド)を肩にかけて雪の様にまっさらな 背中を露わにした。 目の前に露わになった憑夜の背中は思わず 生唾を飲み込んでしまう程の美しさだった。 「じゃ、じゃあ・・・いくぞ〜・・・。」 恐る恐る、泡立てたボディータオルを憑夜の 背中にそっと当てる。 「ん・・・、何だかヘンな感じです・・・。」 背中にボディータオルを当てられた 憑夜が艶っぽい声を上げて 体をビクッとさせる。 「へ、平気か?」 不安になって憑夜に声を掛ける。 「んっ、へ、平気です・・・。」 体を捩りながら、憑夜が返答した。 あの、どう見ても平気そうには 見えないんですが・・・。 「ど、どうぞ・・・私の事は お気になさらず・・・。」 耳まで真っ赤にしながらうつむき加減で 憑夜が続きを促す。 むむむ、そう言われましても・・・。 仕方なく、憑夜の背中に再度泡立てた ボディータオルを這わせる。 僅かに指が憑夜の背中に触れる。 うぉっ!すべすべしてるなぁ・・・。 柔らかいし・・・凄い、綺麗だ・・・。 初めて触れた女の子の肌の感触に 驚きつつも気を取り直して憑夜の背中に ボディータオルをゆっくりと這わせる。 「んっ・・・!はぁ、んくっ!ふぅん・・・っ!」 ボディータオルがまっさらな背中を這う 度に憑夜がその幼い容姿からは到底、 想像出来ない様な艶めいた嬌声を上げる。 「お、お〜い。だ、大丈夫か?」 流石に心配になって一時中断する。 「んっ・・・、はぁ・・・。 はい・・・大丈夫です・・・。」 いやいや、顔は赤いし、息も荒いし・・・ どう見ても大丈夫には見えないん だけど・・・。 取り敢えず、シャワーで憑夜の背中に付いた 泡を洗い流して一息つく。 「ふぅ、落ち着いたか・・・?」 「はい、お陰様で・・・。ご心配を お掛けしました・・・。」 しゅんとした表情で憑夜が謝罪を述べる。 「あ、いや・・・。まぁ、落ち着いたの なら良かったよ・・・。」 俺は今でも心臓が口から 飛び出そうだけど・・・。 「ふぅ・・・、だいぶ落ち着いて来ました・・・。」 バスタオルを体に巻きつけて居住まいを 正した憑夜が胸をさすりながら 安堵の息を吐いた。 「さてと・・・そろそろ上がろうか?」 あれからだいぶ時間も経ってしまったので 湯あたりしない内に出た方がいいよな・・・。 そう思って洗面所へと続くドアに手を掛けた瞬間、憑夜が突然俺の腰に抱きついて来た。 「ふぉあ!?@&,+rて2げ%!?」 あまりの衝撃に思わず地球外の 言語が出てしまった。 「にゃ、にゃにを・・・!?」 マズい、声まで裏返ってしまっている。 「ま、まだ前の方を洗って頂いて おりません・・・!」 憑夜が「ぷぅ」と頬を膨らませながら 小さく抗議の声を上げる。 女の子の体を洗う・・・。 しかも前の方・・・! そ、それだけは絶対に回避しようと 思っていたイベントなのに〜・・・! 背中ならまだしも────って そういう訳でもないけど・・・! ちらりと憑夜を見やると相変わらず俺の 腰に抱きつきながらしゅんとした表情で こちらを見上げている。 ぐ、ぐぬぬ・・・っ!そ、そんな顔をされたら 断りづらいじゃないかぁ・・・! ────ええい!ままよ! 覚悟を決めて腰に回された手をそっと離して くるりと憑夜の方へと向き直る。 「じゃ、じゃあ、洗うから こっち向いて座って。」 そう言って憑夜を風呂椅子に座らせてから 俺ももう1つの風呂椅子に腰を下ろす。 右手にボディーソープをたっぷりと 染み込ませて泡立てたボディータオルを 握りしめて。 いざ、いざ、いざ!尋常に勝負! まずは首周りからゆっくりと洗ってゆく。 ちょうど、うなじに差し掛かった辺りで 憑夜が小さく身動ぎをする。 どうやら、少しくすぐったいらしい。 それから右腕、左腕を洗ってゆき、 いよいよ難関の場所へ。 むむむ・・・!これは・・・! 何と言う事だろう!ほんとに今、 気付いたが俺の見立てならCからDは あるんじゃないかコレ? てっきり、ぺたんこかと思っていたが、 どうやら着痩せするタイプらしい。 幼い容姿とは少し懸け離れた女の子特有の 【それ】に思わず魅入ってしまう。 「あの〜・・・。悠様・・・?」 憑夜の声で我に返り、作業再開。 そっと憑夜の体にボディータオルを 這わせてゆく。 「ふっ・・・!んんッ!はぁ・・・ふあぁっ!」 先程、背中を洗った時と同じくその容姿からは 想像出来ない様な艶めいた嬌声を上げる。 既に俺の頭の中は軽いパニック状態だ。 なんせ、女の子の体を洗うなんて 生まれて初めての経験なのだ。 これでパニックにならない方が凄い。 その後、何とか憑夜の全身を洗い終え、 シャワーで憑夜の体中に付いた泡を 洗い流す。 何だか、どっと疲れた・・・。 風呂から上がって、ドライヤーで髪を 乾かし、寝間着に着替えようとした所で ふと、頭の中で疑問が湧いて来た。 「そういえば、憑夜。寝間着どうするんだ?」 今の時期は夏だ。あのバクを模したパジャマ ではいくら冷房を入れていても暑いだろう。 「あ、その点は心配いりません。・・・ほいっ」 そう言ってバスタオルを纏った憑夜が 先程と同じ様に翳した右手を軽く振った。 すると次の瞬間、憑夜は裸身に纏っていた ふわふわのバスタオルの代わりに薄手の 白黒ストライプの半袖シャツを 身に纏っていた。 「これでよし、です。」 え?何、今の?さっきのバスタオルといい、 魔法か何か? 俺が訳も分からず困惑していると、 憑夜が軽く補足をしてくれた。 何でも今のは夢の世界に住む住人全員が 扱える(ちから) らしく、普段身に纏っている服を 自身の想像力によって変化させるというものらしい。 よく見ると両袖の部分に小さなバクの模様が プリントされていた。 という事は今、憑夜が着ている服はあのバクを模したパジャマを変化させたものという事だ。 疑問が解けた俺は歯を磨いた後、憑夜を 抱きかかえて階段を上り、自分の部屋に向かった。 それから数分後──── 「あー、俺なら平気だよ。そこのソファーで 寝るから。憑夜がベッド使っていいよ。」 「ダメです!ちゃんとした寝床できちんと 睡眠を取らないとお体に毒です!」 俺達は部屋に着いてから、どちらが ベッドを使うかでちょっとした 問答を繰り広げていた。 それから十数分にも及ぶ問答の末、 結局2人でベッドを使う事になった。 「はぁ、今日は1日疲れた・・・。 んじゃ、おやすみ。憑夜────」 言いかけた所でふと隣を見るとすやすやと 寝息を立てて既に憑夜は眠っていた。 「ん、ゆうさまぁ〜。えへへ〜・・・。」 一体、どんな夢を見ているのだろうか? 少し気になったが、憑夜を起こさない様に そっと腕の中に包み込んで俺は目を閉じた。 (あぁ、今夜は良く眠れそうだな・・・。) そんな事を思いながら俺の意識は次第に 静かな夜の帳の中に溶けていった。 第2話に続く────

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