元ツンデレ現変態ストーカーと亡き公国の魔女

読了目安時間:3分

エピソード:4 / 103

4話 子供扱いすんな

「ウニバーシタス帝国の手が入った国で治癒と医術に長けているのはステラモリス公国しかない。ステラモリスは併合されたから、姓が違うのもその為だろ?」 「うわ、よく分かったね」  すごーいと誉めると嫌そうに顔を歪ませる。子供扱いはだめらしい。  私が六歳の頃ってこんなだったっけ? 森の中を笑いながら駆けまわってた気がする。 「君はとてもクールね?」  クール? と訝しんでたけど、そこは言及しなかった。  あまりこの国に馴染みのない言葉はドラゴンとフェンリルから聞いているけど、たまについ口走ってしまう。気を付けないとだめね。 「普通だろ」 「ふーん……ねえ名前聞かせて?」 「は?」  さっき聞いただろみたいな顔をされる。無愛想な顔してるけど、目鼻立ちははっきりしてて肌も綺麗な子だ。睫毛も長いなあ。 「君から名前聞きたいな? 自分で言える?」 「子供扱いすんな」  歳だって似たようなもんだろと囁く。 「私は十六歳だけど?」 「……」 「君は?」 「……」 「自己紹介できない?」  あからさまにむっとした。 「イリスサークラ・ソンニウム・アチェンディーテ……六歳だ」 「そっか~」 「……なんだよ」 「そしたら……イリス、うーん……サークラ……サクかな?」 「はあ?」 「君の愛称」  シレはイーラと呼んでたけど、ちょっと変わった呼び方したら少しは仲良くしてくれるかな、なんて思ったり。 「……」 「サクって呼んでもいい?」 「……」 「いい?」 「……好きにしろ」 「ありがとう」  可愛い。  思ってたよりもツンツンしてない。少しほっぺ赤くしてもじもじしたから恥ずかしいだけみたいだ。きっと一人で知らないところにきて不安なだけね。虚勢張ってて可愛い。  だからこそ味方はいるんだよって教えてあげるのがいいはずだ。ヴォックスやユツィが私を助けてくれたように。 「……変な奴」  もじもじから戸惑いを少し滲ませて探るように私と目を合わせる。  私が初めてここに来た時は不安しかなかった。今でこそ十分な暮らしだと思えるけど、右も左もわからず味方もいないと思う心細い日々もあったから、最初から大丈夫だと安心できる場所があると知っててほしい。私と違って歓待されているようだから必要ないかもしれないけど念の為、ね。  それにサクのことを気遣って、というよりは、私自身が淋しくないようにと思ってやっているのかもしれない。彼に当時の自分を重ねているのだから。打算的でごめんねと内心謝ってみる。 「サク」 「……なんだよ」  ちゃんと返事してくれた。渋々感もあるし不機嫌だけど、ちらりと目を合わせて返事をする。その瞳の輝きが珍しくて思わず口走ってしまった。 「サクの瞳って虹がかかってるのね」 「はあ?」  薄い紫に虹が含まれている、そんな瞳をしていた。  宝石みたい。とても綺麗な色合いに目を細める。 「綺麗ね」 「っ」 「好きだなあ、その色」 「な、なんだよ!」  素直な感想を述べただけで、文句ありみたいな感じで突っかかられた。なんで?  大人三人、というか主にシレが珍しく興味深げにサクを見て頷いている。サクはそれに気づいていないし顔が少し赤くなった。 「……お前」 「クラスでいいよ?」 「……宮廷魔法使いでないなら普段どこにいる」 「ん? 西の端っこに部屋もらってるよ」 「は? 西は侍女や下働きのいる場所だろうが」 「うん?」  何が言いたいのか分からなくて笑顔で首を傾げたら呆れて息を吐いたサクがシレを見上げる。シレはこれでも頑張ったんだよと苦い顔で答えた。 「……おい」 「クラスでいいよ?」 「……西に行きたい」 「ん? 案内しようか?」 「ああ」  少しは距離縮めてもらえそうかな?  意気揚々と案内することにした。シレやヴォックスとユツィもついてきて、ごつい案内になったけど仕方ない。第二皇子兼騎士団長、第三皇子、第二皇子の婚約者兼騎士団副団長……肩書が荘厳すぎるでしょ。 「ん?」 「なんだよ」 「いいえ?」  案内するので先導しようとしたら、ちゃっかり私の隣にサクがいた。  もしかして初対面にして心許してもらえそうな感じ? ツンツンしてる割に懐いてくれるかもしれない。 「ふふふ」 「……なんなんだよ」  何もない所で笑うと気持ち悪いぞと言われる。  初対面にして懐いてくれたかもって思えたら嬉しくて顔が緩んだ。これはもう仕方ないと思う。

5話もきちんとツンデレします(笑顔)。 更新は通常通りで、日曜からは1日1話更新を基本でいきます。

コメント

もっと見る

コメント投稿

スタンプ投稿


  • アマビエペンギンさん

    MUNNIN

    ♡200pt 〇20pt 2022年6月14日 17時59分

    ※ 注意!このコメントには
    ネタバレが含まれています

    タップして表示

    ▼▼

    良き哉 良き哉

    MUNNIN

    2022年6月14日 17時59分

    アマビエペンギンさん
  • 物語の女神ノベラ

    参(まいり)

    2022年6月14日 20時32分

    ※ 注意!この返信には
    ネタバレが含まれています

    タップして表示

    ▼▼

    励みになります…!

    参(まいり)

    2022年6月14日 20時32分

    物語の女神ノベラ
  • 教師

    ときの

    ♡500pt 〇10pt 2022年6月12日 22時51分

    あらぁ~! んもー、サクってばツンツン可愛いですね、うふふ。 これがデレちゃうんですね?! どのくらいデレちゃうのか、ワクワクしながら次話拝読致します!

    ※ 注意!このコメントには
    ネタバレが含まれています

    タップして表示

    ▼▼

    ときの

    2022年6月12日 22時51分

    教師
  • 物語の女神ノベラ

    参(まいり)

    2022年6月12日 23時15分

    コメントありがとうございます! まだまだツンデレします(笑)。何気ツンデレは黄金律(8:2)よりも、9:1ぐらいが好きな私です。たぶんそれは伝わらないだろうなーと思い、これから少しずつデレていきます( *´艸`)

    ※ 注意!この返信には
    ネタバレが含まれています

    タップして表示

    ▼▼

    参(まいり)

    2022年6月12日 23時15分

    物語の女神ノベラ
  • 魔法剣士

    三毛猫 未異美♪

    ♡500pt 〇10pt 2022年6月12日 9時21分

    ※ 注意!このコメントには
    ネタバレが含まれています

    タップして表示

    ▼▼

    いいですねっ!

    三毛猫 未異美♪

    2022年6月12日 9時21分

    魔法剣士
  • 物語の女神ノベラ

    参(まいり)

    2022年6月12日 13時40分

    ※ 注意!この返信には
    ネタバレが含まれています

    タップして表示

    ▼▼

    ありがとー!!!

    参(まいり)

    2022年6月12日 13時40分

    物語の女神ノベラ
  • ひよこ剣士

    柏木サトシ

    ♡1,000pt 2022年8月29日 2時42分

    ※ 注意!このコメントには
    ネタバレが含まれています

    タップして表示

    ▼▼

    尊い…尊い…

    柏木サトシ

    2022年8月29日 2時42分

    ひよこ剣士
  • 物語の女神ノベラ

    参(まいり)

    2022年8月29日 12時40分

    ※ 注意!この返信には
    ネタバレが含まれています

    タップして表示

    ▼▼

    感謝の極み!!

    参(まいり)

    2022年8月29日 12時40分

    物語の女神ノベラ
  • タイムトラベラー

    六葉翼

    ♡1,000pt 2022年7月6日 17時30分

    これはいいものだ…デレレと顔を崩しながら読んでしまいます(≧▽≦)🍀先がとても楽しみです。読むのが遅くて申し訳ありませんm(__)m🍀

    ※ 注意!このコメントには
    ネタバレが含まれています

    タップして表示

    ▼▼

    六葉翼

    2022年7月6日 17時30分

    タイムトラベラー
  • 物語の女神ノベラ

    参(まいり)

    2022年7月6日 22時12分

    コメントありがとうございます! そう仰って頂けると嬉しいです( *´艸`)読むのはお時間ある時で結構ですので~読むのもエネルギーと時間を要します、余裕ある時にぜひお越し頂けると幸いです(*^-^*)

    ※ 注意!この返信には
    ネタバレが含まれています

    タップして表示

    ▼▼

    参(まいり)

    2022年7月6日 22時12分

    物語の女神ノベラ

同じジャンルの新着・更新作品

もっと見る

  • 明顕のロストエンド

    あなたは、永遠に続く愛の存在を信じますか

    1,000

    0


    2022年9月28日更新

    アレグレント王国の王女ロゼリアは、その国の騎士トルエージュと相思相愛の仲だった。 だがある日、父親の国王グラストに恨みを持つ魔女アリシアに襲われ、恋人の騎士トルエージュは死亡、王女ロゼリア自身は魔女の呪いで不老不死となってしまう。 永遠の愛を信じるロゼリアは、トルエージュの魂との再会を願い、長き眠りにつくのだが──。 そして時は流れ、アレグレントの国も遥か昔に滅んだ、現代の日本で。 数百年の時を経て生まれ変わったトルエージュは、高校生・神邑暁(かみむらさとる)となって生活していた。 恋愛にまるで興味のない暁であったが、不思議な雰囲気を持つ転校生の樺凪璃亜(かばなぎりあ)と出会い、暁は恋を知ることとなる。 神邑暁と樺凪璃亜の恋愛模様、そして、魔女との因縁の闘い。 ちょっと不思議で複雑な現代ファンタジー、ここに開幕。 輪廻転生──あなたは、永遠に続く愛の存在を信じますか?

    • 残酷描写あり
    • 暴力描写あり
    • 性的表現あり

    読了目安時間:28分

    この作品を読む

  • 断罪された悪役令嬢を助けたら、宰相閣下に求婚されました

    人助けから始まる求婚物語。

    45,400

    190


    2022年9月29日更新

    「ケイト嬢! 貴様との婚約は本日を以って破棄する!」 今日は、王宮での社交パーティーの日。 子爵令嬢のエマは、久しぶりに領地から王都に出てきて王家主催のパーティーに出席したのだが、その先で何と婚約破棄現場に遭遇してしまった。 エマが見守る中、婚約破棄を告げた王太子に対し、気丈に振る舞う公爵令嬢ケイトだったが、「婚約破棄を承諾」した途端、気を失ってその場で倒れてしまう。 王太子も周囲の誰もがケイトを見捨てる中、エマは彼女を助けるために渦中に飛び込みむのであった。 ──これは、人助けから始まる求婚(プロポーズ)物語。 ※小説家になろう様にも掲載しています。

    読了目安時間:33分

    この作品を読む

読者のおすすめ作品

もっと見る