「無敵転生 ――全チート、フル装備。」 この異世界で、ハーレムマスターに俺はなる!

第55話 カチコミ

「以上の理由をもって、この者、サクライ・グンマを、辺境伯エフレン・モレノ・ナバーロサリオに対する不敬罪によって、死刑とする――!」  辺境伯の声が滔々(とうとう)と広場に響き渡り、集められた群衆からはぱちぱちと、どこかやるせないようなまばらな拍手が聞こえてくる。 「それでは引き続いて、罪人の処刑を執り行う――!」  辺境伯の言葉とともに、グンマさんが広場の真ん中に作られた高さメートルほどの石舞台の、最前列へと引き立てられていく。 「……まったく駐留騎士団のボンクラどもめ……直前に長々と大捕り物をしよったせいで、こんなにも時間が押してしまったではないか……」  ナイアの手引きもあってギリギリすんでのところで間に合うことができた俺は、舞台上での一連のやりとりを取り巻く群衆たちの最後尾で見やりながら、一度大きく深呼吸をした。 「行くか――!」  そして――、 「スポコン系S級チート『鳥人(ちょうじん)ブブカ』発動――! 舞い上がれ、フライ、ハイ――!」  助走をつけて中空に飛びだすと、俺の身体はまるで重力を無視したかのように高々とメートルを優に超えて飛び上がった――!  棒高跳びで世界記録を35回も更新し、畏敬の念を込めて『鳥人』と呼ばれたアスリートの力を模した、飛び上がることに特化したS級チートだ――!  さらに―― 「スポコン系S級チート『エアウォーク』発動――!」  中空で続けてS級チートを発動。  伝説的なバスケットボール(N B A)プレイヤーの得意技を冠したそのチートは、その名の通りまるで「空を歩く」ように前へ前へと、20メートルの群衆を一足飛びに飛び越えて、俺の身体を舞台へ向かって押し進める――!  つのS級チートによる超特大の大跳躍――!  その終わり際、着地の寸前――、  剣を持った処刑人が(ひざまず)いたグンマさんの横に進み出て、その首に剣を当てるのが見えた。 「すまない、ご老人。どうか、悪く思わないでくれ……」  そうつぶやいて、剣を振りあげる――。  それとほぼ時を同じくして、舞台の端へとギリギリ着地した俺は、 「スポコン系S級チート『音速の貴公子(アイルトン・セナ)』発動――!」  着地して乱れた体勢を、全筋力を総動員して強引に持ち直し、世界最速と言われたFレーサーも顔負けの超ロケットスタートを敢行する――!  そして一歩目から一気にトップスピードに乗ると、 「おおおおおおおおお――――――っ!」  一瞬にしてグンマさんたちへと肉薄し、抜刀した――!  キン――――っ!  甲高い音とともに処刑人の剣が跳ね飛んだ。  両者の間に間一髪、滑り込んだ俺が日本刀(クサナギ)で跳ねあげたのだ――!  くるくると回転しながら舞い上がった剣が、 「ふひ――っ!」  辺境伯の目の前にドスンと突き刺さった。  突然の乱入者を前に武器を失ってしまった処刑人は、何が起こったか分からず混乱しながらも、どうにかこうにか這うようにして逃げ離れていく。 「――ふぅ、なんとかギリギリ間に合ったな――悪い、グンマさん、遅くなって」 「マナシロさま、どうしてここに――」  信じられないと言った顔のグンマさんだが、 「どうしてって、それはもちろんグンマさんを助けに来たんですよ」  言って両手を後ろ手に縛られたグンマさんの戒めを、日本刀(クサナギ)で切って解いた。 「い、いけません、マナシロさま。こんなことをしてはなりませぬ。そのお気持ちは何よりもありがたく思います……しかし孫娘たちのためにもどうか、どうか今だけはご自重ください――」  懇願(こんがん)するように、深く深く頭を下げるグンマさん。  でもさ――、 「悪いけどグンマさん、そいつは無理な相談です――」 「無理を承知でお頼み申しておるのです。どうか分かってくだされ……ワシのたってのお願いでございます……この通りでございますじゃ……」  だって俺の答えは、もうとっくに出ているんだから――。 「グンマさんは孫のためっていうけどさ。グンマさんが死んだらウヅキとハヅキが悲しむじゃないですか。二人が心に大きな傷を負う――そんなの俺は、絶対に許せないんだ」  グンマさんがはっと眼を見開いた。

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