泳げ! ~白くて細い、反発心~

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泳げ! ~白くて細い、反発心~

 泳ぐ、泳ぐ。  地獄の業火に巻かれながらも、僕たちは泳ぐ。  ブクブクと煮立つ激流に晒され、体は少しずつ溶け始めているが、それでも泳ぎ続ける。  目指すは、上だ。  本能に刻まれた反発心が、真上を目指せと言っている。  この地獄の外にどんな世界が広がっているのか。  そんなことはもう忘れてしまったが――上へ。    何故、自分はこの熱湯地獄にいるのか。  それすらも忘れてしまったが――上へ。    とにかく、この苦行から抜け出さなければならない。  真上から光が差し込んでいることだけは、分かっているのだ。  たった一筋(ひとすじ)の、かすかな光。  あそこに辿り着くため、泳ぎ続けなければならない。たとえ、この身が溶解しようとも、仲間たちと絡み合おうとも……構わない!  もちろん、勝算はある。  流れに乗る、ということ。  流れに乗って泳ぎ続けることが、ポイントなのだ。  僕たちを取り巻く熱湯は、単に熱いだけではなく、対流している――下から上へと、渦を巻くような水流だ。  この流れが、僕たちを上方へと押し上げてくれる! (くそぅ……熱い熱い熱い!)  とにかく熱い――が、もう少しなのだ!  あとほんの少しで、差し込む光に手が届く!  しかし、もう目と鼻の先――というところで。  流れが……。  流れが、止まってしまった。 (う、嘘だろう!?)  僕たちは、水底へと沈んでいく。  煮えたぎるほどの反発心も、幻だったかのように霧散(むさん)していった。 (もう、少し……だった、のに……)  次の瞬間、地震が起こった。  世界が傾き、そして―― (あれ? 光が、近くに……)  * 「みんなー。そうめん、茹で上がったよー」

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