お兄ちゃんは三匹の猫耳少女をデレさせないと妹を取り戻せない!?

第20話 世界の再構築者⑤

「それじゃぁタカシちゃんの思い出をスズちゃんへ戻す方法を説明するわねぇ」  そう言うツキの顔はなんだか楽しそうで笑顔になっている。  それが逆に何か企んでいるのではないかと心配になってしまう。 「まずタカシちゃんの中にある思い出なんだけどぉ、さっきタカシちゃんが気絶しちゃった時に調べてみたらちょっと厄介なことになっていたのよねぇ」 「気絶しちゃったって、させたのはツキさんじゃないですか」 「あらぁ。そうだったかしらぁ」  この人はどこまで本気なのかわからない。 「で、どう厄介なんですか?」 「スズちゃんへ思い出を戻すためにはぁ、いったんタカシちゃんから思い出を取り出さないといけないから実際に私なりに取り出せないかやってみたのよぉ。人の記憶をいじるって結構危ないんだけどねぇ」 「人が気絶している間に何やってくれてんですか⁉︎」 「まぁ、まぁ。それでねぇ、いざタカシちゃんの中を見てみたらさまざまな人間の思い出がそれぞれ絡み合っちゃってて、もう完全にスパゲッティって感じで私にはどうも解けなかったわぁ」  スパゲッティのような状態。  おそらく、糸のような複数の思い出がお互い絡み合っている状態だろう。  確かにそんな状態の糸をほどくのは大変だろう。 「色々な人間の記憶を覗いたことがあるのだけれど流石は世界の再構築者ねぇ。複数人の思い出も吸収してるからもうごっちゃごちゃよぉ。これを無理に解こうとして思い出の糸を切っちゃったりした日にはぁ、もうタカシちゃんは精神的に人間と呼べる存在じゃなくなっちゃうわよねぇ」 「そ、それってめちゃくちゃ怖いんですけど」 「まぁ。さっきちょっとやってみてすぐ諦めてよかったわぁ」 「ちょっと! 人をモルモットか何かみたいに扱わないでください!」 「あらぁ。私からしたらタカシちゃんはぁ、それはもう可愛い可愛いモルモットちゃんなのよぉ」  そう言ってツキは俺の頰に手を添えようと手を伸ばしてくる。 「お母様! 話を進めてください!」 「あぁ。はいはいごめんなさいねぇ」  ツキは「ちぇ〜」っと唇を尖らせて不満そうに話を続ける。  この人は反省しないんだな。 「もうタカシちゃんの思い出は外部の干渉でほどくことは不可能に近いわねぇ。だから、タカシちゃん自身で解いてちょうだいねぇ」 「え? 俺自身でほどくってどういうことですか?」 「言葉の通りよぉ。記憶の糸をたぐるってことねぇ。思い出は思い出すことで絡まった思い出の糸を整理することができるのぉ。思い出は確かにタカシちゃんの中に存在するのだけれどぉ、それをすぐには細かいところまでは思い出せないでしょぉ? そこを思い出してもらうのがこの作業よぉ」 「わかりました。俺が思い出を思い出せばその思い出の糸は取り出せる状態になるってことですね」 「そうよぉ。ただ、ここでもまだ問題があるのよぉ」 「けっこう問題づくめですね……」 「当然よぉ。世界の再構築者の情報なんてないに等しいのだから手探りですすめていかないといけないわねぇ」 「なんか、ありがとうございます」 「うふっ。お互い目的があるのだからそれに向けて頑張りましょぉ」  そう言うツキは妖怪なのだが人間よりも人間味がある表情を俺に向けてくる。 「それで、俺には何ができるんです?」 「グイグイくるタカシちゃんもいいわねぇ。でも焦らないでねぇ。この問題を解決するためには私の娘人の協力が必要なのぉ」 「やっと私たちの出番ですわね」 「待ちくたびれた」 「あの……何を……する?」  ソファーに座った人は待ちくたびれた様子でぐったりしている。  ちなみにその人は自身で壊したソファーに座っているのだが、その張本人である人が妖術で元の状態を復元している。  妖術、便利すぎだ。 「タカシちゃんが思い出を紐解いたあとは直接スズちゃんにその思い出を返せたら良いのだけどぉ、おそらく一気に全てを思い出すなんてことはできないだろうから断片的にしかスズちゃんに返せないと思うのぉ」 「そうなると、どうなりますの?」 「既に記憶がある状態で部分的な思い出をスズちゃんに注入すると記憶の矛盾が生じて混乱してしまうでしょうねぇ。最悪は思い出の糸を切ってしまった状態と同じ症状が出てしまうかもしれないわぁ」 「一時記憶」 「その通りよぉ。一時的な記憶媒体があればそこに思い出を溜め込んでぇ、全ての思い出が揃った状態でスズちゃんに戻してあげる必要があるわねぇ」 「その……記憶……媒体が……わたし……たち」 「そうなるわねぇ。しかも本人に戻るまでは思い出はエネルギーの性質がありそうなのぉ。そのエネルギーはおそらく世界の再構築者しか顕現できないとは思うのだけどぉ。一時的にこの子たちがエネルギーを保持することになるわねぇ」 「そ、そんなことして大丈夫なんですか?」 「どうなるかはわからないわねぇ」  理屈は確かに分かる。  だが、理性がそれを否定しようとする。  こんな少女たちに、同い年の女の子を危険に晒すなんて。 「わかりましたわ」 「承知しました」 「タカシさんの……思い出……///」  どうしてそんなにすんなり受け入れられるのか自分の頭では考えられない。  この少女たちは妖怪で、ツキとは主従関係にある。  ツキの命令は絶対なのだろう。 「おい、それで本当にいいのか?」 「何がですの?」 「そんな命令されたからってこんな危険な」 「あなたはわかってないですわよ?」 「無知は恥」 「タカシ……さん……わたし……たちは……そうしたい……から……そう……してるの」  そうしたいからそうしている。  まるで死地に喜んで向かっていく兵士たちのように何故そんなことが言えるのか。 「確かに、私たちとお母様には主従関係がありますわ。ですが、なにも嫌々やっているわけではないですのよ? お母様は私たちを生み出してくれた方、その方の期待に応えようと思うことは自然なことですわよ。元よりお母様は私たちを死地に追いやろうなんてしませんわ。きっと勝算があってのことですわよ」 「今回はちょっと五分五分って感じかしらねぇ」  いや、いま俺がツキを見直す流れだったんだけど。  赤髪の少女も拍子を抜かれた顔で佇んでいる。 「でも大丈夫よぉ。あなたたちに何かあったならぁ、わたしがこの命にかえてでも守ってあげるからぁ」  ちょっと心配だが、話を続けることにする。 「ところで、俺が取り出した思い出をどうやって彼女たちに渡せば良いのですか?」 「そうねぇ」  ツキは口元を俺の耳に近づけると人の少女に聞こえないように耳打ちする。 「あの人をデレさせないといけないわねぇ。そうしないとあなたの思い出はあの子たちに共有できないと思うのぉ」 「なっ⁉︎ 」  予想だにしない内容が告げられた。

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  • エルフアーチャー

    津嶋朋靖(つしまともやす)

    ♡100pt 2019年9月6日 17時33分

    どうやってデレデレさせるのかなw 楽しみです。

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    津嶋朋靖(つしまともやす)

    2019年9月6日 17時33分

    エルフアーチャー
  • ラティナ(うちの娘)

    むもむも

    2019年9月6日 21時40分

    ポイントとコメントありがとうございます! なんだか複雑な状況ですが、とりあえずタカシが3人の猫耳少女をデレさせないと実の妹スズは救えない!という状況ですw 3人はそれぞれ性格もバラバラで難易度高い?ですがタカシは3人をどうやって攻略するのか!? 乞うご期待ください!

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    むもむも

    2019年9月6日 21時40分

    ラティナ(うちの娘)
  • 女子高生

    あきみず

    ♡80pt 2019年9月3日 20時19分

    ママいい性格してますね! これからどうなるのか楽しみです!

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    あきみず

    2019年9月3日 20時19分

    女子高生
  • ラティナ(うちの娘)

    むもむも

    2019年9月3日 22時17分

    ポイントとコメントありがとうございます! ツキをお褒めいただきありがとうございます! ツキはタカシを世界の再構築者として?好いていますが、本当にそれだけなの?ってところはあったりしますw さて!いよいよ3人をデレさせないといけない展開になりました! 今後を乞うご期待ください!

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    むもむも

    2019年9月3日 22時17分

    ラティナ(うちの娘)
  • ひよこ剣士

    渡邊裕多郎

    2019年8月25日 12時06分

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    応援しています

    渡邊裕多郎

    2019年8月25日 12時06分

    ひよこ剣士
  • ラティナ(うちの娘)

    むもむも

    2019年8月25日 13時55分

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    ありがとうございます!

    むもむも

    2019年8月25日 13時55分

    ラティナ(うちの娘)