#2

第2話 呪い

大真が目を覚ますと既に日は登り 外ではセミが五月蝿く鳴いていた。 「もうこんな時間か~約束は昼だったな、支度するか」 大真は服を着替え、部屋を出て階段を降り居間へ行くと 叔母さんが台所で昼食の準備をしていた。 「あら、おはようたいちゃん♪随分と疲れてたみたいで  数回起こしに行ったんだけど、全然起きてこないから  起きてきたときにお腹すいてたらいけないから、今昼食の用意してたとこなのよ♪」 「おはようございます、すみません遅くなって。」 「気にしないで、もうできるから先に顔洗ってらっしゃい♪」 「はい、ありがとうございます」 大真は洗面所に行くと思いきり顔を洗った。 「はぁ、今日は大変な一日になるんだ気を引き締めないとな!」 鏡に写る自分に向かって大真はそう呟く。 洗面所から居間へ戻るとテーブルにはサンドイッチと牛乳が 置かれていた。 「今日は軽く食べらるサンドイッチと牛乳にしたわ♪」 「叔母さんいただきます」 「はい、召し上がれ♪」 大真はあっと言う間にサンドイッチ数切れをたいらげ、 コップに入った牛乳を飲み干した。 「ごちそうさまでした、とっても美味しかったです」 「お粗末様でした♪たいちゃん今日はこの後どうするの?」 「少し出掛けてきます、地元の友人から誘われていて」 「お友だちも久々にたいちゃんに会えて、嬉しいんじゃないからね  楽しんでらっしゃい♪遅くなりそうだったら電話で教えてね。」 「はい、それでは行ってきます」 「はい、気を付けてね♪」 叔母さんに見送られながら大真は玄関を出る。 約束の時間まで少し時間もあり、駅まではそれほど離れていないので 大真は歩いて行くことにした。 のどかで車のと降りも少なく、人ともすれ違わない。 大真は今住んでいる町とは大きく異なるこの町の雰囲気に 少し違和感を感じていた。 「まるで俺以外誰もいないみたいだな・・・」 そんなことを思いながらも歩いていると、 不意に誰かとすれ違った。 大真は思わず降りかってその人物を見た。 「なんで・・お前が・・・・」 大真が声を出した瞬間その人物は足を止める。 「大真くん・・おかえり・・・」 そう呟くとその人物は急に消えてしまった。 「あれ?あいつ何処に・・・確かにアレは『与域田 乃明』だったよな・・・」 大真が呆然としていると後ろから声がした。 「あっ!大真だ♪」 大真が驚いて振り替えるとそこには、 昨日再会を果たした暮西 日乃空が立っていた。 「私も今家出たとこでさぁ〜駅まで一緒に行こう♪」 「あっ・・あぁそうだな」 「ん?どうかしたの大真」 「いやっ別に、さっきそこですれ違った人が  知り合いに似ててさぁ・・多分気のせいだ。」 「ふぅ〜ん、まっ世の中にはそっくりな人が  3人はいるって言うしねぇ〜さっいこいこ〜♪」 「おいおいっそんなにひっぱんなよ」 ぐいぐいと日乃空に腕を引っぱられながら、 大真は先ほどのアレについて考えていた。 (なんぜあいつが・・日乃空には見えてなかった みたいだし・・・) 「でさぁ〜クラスの女子が男子と大ゲンカして  授業どころじゃなくてさぁ〜って大真ってば  ちゃんと聞いてる?」 「えっ!?あぁ聞いてるぞ、えっとクラスの話だろ」 「なんかさっきから変だよ?」 日乃空は不思議そうな目で大真を見つめる。 「別になんでもないって、ここに来るのも久々で  色々と思い出すことも多くてさ・・少しノスタルジーに  なってるだけさっアッハハハ」 「思い出すって・・子供の頃とか?」 「まぁそんなとこだなぁ、6人みんなで遊び行ったり  夏の宿題やったり、肝試しとかも山の方でやったよなぁ」 「6人・・・5人の間違いじゃない?」 「えっ6人だろ?俺に日乃空、埋、友里、ミヨ  そして・・・」 大真は油断して『与域田 乃明』の名を言いそうになる。 「そして?他に誰かいたっけ・・・ねぇ大真くん!」 日乃空は先ほどまでの愛らしい表情とは違い、 嫌悪感むき出しの目でこちらを睨んでいた。 「日乃空どうした?なんか顔怖いぞ・・」 「大真・・・他の子たちの前でさっきみたいなこと  言わないでよねっ・・・約束だよ♪」 そう言うと日乃空はまた愛らしい表情に戻り 大真に右手の小指を差し出す。 「わ・・わかったよ・・そうだよな  5人だよな・・・ごめんもう言わない」 大真はそう言って彼女の小指に自分の指をかけ 指切りをする。 「ゆ〜びき〜り拳万嘘ついたら針千本の〜ます♪  指切った!」 日乃空は楽しげに指を離す。 しかし彼女の目は決して笑ってはいなかったのを 大真は不気味に感じたのであった。 二人が駅に着くと既に他の3人は集合していた。 「お〜い遅いぞ〜!二人して遅れてくるなんて  どこで何してたんだぁ〜?このこの〜♪」 一番年上の友里が日乃空に絡む。 「もぉ〜からかわないでよ〜友里ちゃん♪  知り合いのおばさんに捕まっちゃって話し相手して  たら遅れちゃったんだよ〜だよね?大真♪」 「あっあぁ日乃空を大層可愛がってるみたいでさぁ  俺なんか蚊帳の外だったしなアッハハハ」 大真は日乃空に話を合わせた。 「そうなら許す!久しぶり大真。お姉さんはまた  こうして全員が揃うことを嬉しく思うよ♪」 「そっちこそ元気そうでなによりだ。  てか後の2人はまさか埋とミヨか?」 大真は友里の後ろにいる埋とミヨに声をかける。 「久ぶりだね、大真くん間に比べると少し背は伸びたかな  えへへっ」 ミヨは照れくさそうに笑う。 「あっえっと・・・斎藤くんわたしのこと  覚えててくれたんだね・・・」 埋はどこかよそよそしく、目すら合わせようとしなかった。 「まぁ難しい年頃だからさっあんま気にすんな♪  じゃあ早速はじめようか〜!」 「始めるって何を?」 「決まってんでしょ?みんな集まって最初にやる  遊びといったら・・・大真タッチ♪」 友里が急に大真の肩に触れる。 「はい!大真鬼〜♪みんな逃げろぉ〜!」 友里の合図とともに他のみんなが一斉に逃げ出す。 「おい、卑怯だぞ〜!」 「範囲はこの駅の中だけ!捕まるか駅を出たら失格〜♪  タッチされて鬼になった人は10数えてから  動き出すこと〜そういうことでよろしく〜♪」 「ったく、昔っから俺ばっか鬼なんだよなぁ〜  い〜ち、に〜い、さ〜ん、し〜い・・」 大真はしゃがみこんで、大きな声で数を数えた。 10まで数え終わり頭を上げると、 あたりには誰もいなくなっていた。 「駅の中で鬼ごっこかぁ〜まぁ童心に帰って  遊ぶのも偶にはいいか。」 大真は少し笑って駅の正面入り口から中へと入った。 昼間なこともあり人も少なく、駅内はガランとしている。 「さてとみんなどこに隠れてんだぁ〜?」 大真があたりを見回していると、遠くの方で 誰かの声が聞こえた。 「あそこか〜しめしめ♪」 その声は少し奥の廊下の方から聞こえてくる。 「仲良くおしゃべりとは溶融だなぁ〜♪」 すぐ角まで行き大真は息を殺して耳をすませる。 「アハハ・・きっと大丈夫だよ♪  大真くん昔から足だけは遅いからさっ」 「そう・・なら捕まらないね・・ハッハ」 どうやら角を曲がった先にいるのはミヨと埋の 2人のようだ。 (よし一気に脅かして驚いてるうちに2人とも タッチしてやる) 大真が角から飛び出そうとしたその時だった、 トントン 後ろで誰かが肩を叩いた。 大真がゆっくり振り返るとそこには友里が立っていた。 「お前!?なんでっ・・・」 「静かにっ!2人に気付かれるでしょ。  着いてきて、駅の裏で見せたいものがあるの。」 友里はそう言うと駅の裏へと走って行った。 大真も友里の後を追ってた。 「それで見せたい持って?」 「これよ、先日私宛に送られてきたの。」 友里は自分のケータイを大真に手渡す。 画面を見るとそこには短いメッセージと 添付ファイルが表示されていた。 「『大丈夫、全部上手くいくから』とだけ  書かれていたから、不審に思ってそのファイルを  開けてみたの。そしたら・・・・」 大真は画面をタップし添付ファイルを開いた。 「これって・・・人の・・・首かっ・・・」 ファイルを開くと一枚の写真が表示された。 そこに写っていたの二人分の生首だった。 血まみれで無造作に地面に転がり、その上顔の皮は両方 剥がされていたのだ。 「うっ・・ぷっ・・ぶぇええおぇえっ・・ゲッホゲッホ」 大真はあまりの光景にその場に嘔吐した。 「ゲッホ・・こっ・・こんなメール一体誰が!」 「差出人は不明、でもさぁこの写真よく見てごらんよ。  ほら、この後ろの方・・・」 大真は手で口を押さえながら彼女の指差す とこを見る。 「・・・こっこの後ろの・・石碑は・・・」 「そうこれはただのイタズラで送られてきた  グロい写真じゃない、この写真が撮られた場所は・・・  あたしたちが昨日会って話をした・・・  あの神社の裏手の方なのよ・・」 大真の顔は言葉を失った。 「そして気になるとこがもう一つ、この端のほうで  見切れている黒くて四角いの・・これなんだろ?」 大真は言われるがままに彼女の言う写真の端に視線を落とす。そこには黒くて四角いものが見切れている。 しかし、大真にはそれが何かすぐに分かった。 それは彼の叔父がよく、自慢げに見せてくれるもの だった。 「警察手帳・・・」 「ってことはこの生首って・・・警察の人たちってこと?」 「そう言えば友里、この前電話してきた時  家に警察が来て色々質問してったって言ってたよな・・  その時家に来てた警察の人って何人だった?」 友里は小さな声で「二人だった・・・」と答えた。 長い沈黙の末に大真は口を開いた。 「未だに続いてるんだな・・アレの『呪い』は・・」 「・・終わりなんてないのよ、アレに関わろうと  する人が現れる限りね・・」 二人はその後駅の中に戻り、何事もなかったように 鬼ごっこをしみんなと遊んで過ごした。 「よし、今回は大真とあたしの勝ち!さぁさぁ〜  負けたものたちよ罰を選ぶがよい♪」 友里の自作したアミダくじを負けた日乃空、ミヨ、埋の 3人はそれぞれ選んでいく。 「うぅ〜まさか大真があんなに足が速くなって  いたとはぁ〜」 悔しそうに大真を睨む日乃空。 「やっぱり運動は苦手だなぁ〜えへへ」 「触られた・・・斎藤くんに・・・」 頭をかきながら残念そうに笑うミヨ。 その後ろで触れられたことへの動揺を隠せない埋。 「はいじゃあ結果は〜日乃空ちゃんは二人のジュースを  おごる♪ミヨちゃんと埋ちゃんはお菓子をおごる♪」 「はぁ〜お小遣いがぁ〜」 「なるべく高くないものでお願いっ」 「触られた上に・・お金まで・・・」 3人は甘んじて罰を受けることになった。 「埋って昔より俺との溝深まってないか?」 「好きだった人が卒業していなくなったかと思えば、  いきなり帰ってきてってそりゃ戸惑うでしょっ」 「そりゃそうか・・」 みんなと解散した後大真は行きとは違い 友里と一緒に帰っていた。 「っで・・大真はどうするの?」 「・・俺は・・この町でやり残した、  自分のやるべきことを終わらせる・・あのとき  やるべきだったことを・・・」 「そう、ならあたしも手伝うわ。  でもやるなら、慎重にね。  特に日乃空には注意しなさいよ。  あの子は・・・」 「今日来るときにあの子に約束させられたんだ。  俺がうっかり子供の頃の話のときに  『6人で遊んだよね』なんて言ってしまってさ、  そしたら日乃空が鬼の形相でキレて俺に怒鳴ったんだ。  そしてこう続けたたんだ。  『他の子たちの前でさっきみたいなこと   言わないでよねっ約束だよっ』って・・」 「それはまずったわね・・あの子ことよ、  きっとすぐに大真のやろうとしてることにも  気付くわ。」 「あぁ、でも・・これは俺たちの手で終わらせないと  いけない・・5人の手でなっ」 二人は互いの想いを打ち明けながら歩いた。 夕日はあたりを赤く照らし、 その光に照らされた田んぼの水は 血のように赤く染まっていた。 つづく

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