#1

第1話 蘇る記憶

ある日、大真のもとに1本電話がかかってきた。 「はい、斎藤です。」 「もしもし、大真?  中学まで一緒だった丹山友里だけど」 「友里!久しぶりだなぁ元気でやってるのか?  でっどうした、突然電話なんてしてきて。」 「大真・・・アレが見つかったんだって。」 友里の一言で大真は一気に青ざめた。 「数日前に警察がうちに来てね、  色々と質問して行ったの。  その時に『山でアレが出た』って言われてね。」 「そうか・・・他の奴らにも連絡はしたのか?」 「まだ大真にだけだよ。さすがにあの子達には  言えないわよ。」 「だな・・・」 大真が黙っていると友里が 「こっちに帰ってこれる?」 と言った。 「・・・わかった明日そっちに行く。」 「それじゃあ、夕方の17時にあの神社に来て。  ごめん・・ね。」 プープープー 友里との通話はそこできられた。 真夏だと言うのに大真はガタガタと震え 全身に冷や汗をかいていた。 「またか・・・クソッ!」 翌日、大真は電車を乗り継ぎ 中学まで暮らしていたあの町に戻っていた。 「変わってないなぁ〜。まるで時間が止まってる  みたいだ・・・」 大真が駅を出てベンチに座っていると 制服を着た中学生ほどの女の子が遠くから こちらを見ているのに気がついた。 (なんだろ?) 大真は不思議に思い、その女の子の方に 手を振ってみる。 するとその女の子はにっこり笑って手を 振り返してくれた。 (知り合いだったかなぁ〜) 大真はその子に見覚えがなかったので、 なんだかモヤモヤとした気持ちになった。 女の子はこちらに笑顔を向けて駆け寄って来る。 「やっぱり大真くんだ!ビックリしたよ!  なんで戻ってきたの?」 「えっと・・君はぁ・・・」 大真のリアクションに女の子は愕然としている。 「えっ?私のこと忘れちゃったの?  暮西 日乃空!隣に住んでたぁ〜」 「暮西 日乃空・・・あのチビで男勝りだった  日乃空か!えっ別人になってるじゃん!」 「むっ!失礼だなぁ〜。」 目の前でコロコロと表情を変える女の子は、 大真の旧友 暮西 日乃空であった。 学年は2つ下だったがよく遊ぶメンバーの一人だった。 「あぁ〜ごめんごめん、でも髪もロングになってるし  背も俺と同じくらいって成長しすぎだろ!」 「牛乳飲んでた甲斐があったってことだね〜♪」 「いやぁ〜単に遺伝だろ?  日乃空の両親どっちも背が高かったし。」 「それもあるけど〜♪」 日乃空は旧友に久々に会えて舞い上がってる ようだった。 「っで?大真はなんでこの町に戻ってきたの?」 「あぁ〜ちょっと懐かしくなってねぇ〜  夏休みだし遊びに来たんだよ。」 「そうなんだぁ〜♪それなら前みたいに  友里、みよ、埋も呼んでまた5人で遊ぼうよ!」 「そうだなぁ一ヶ月はいるつもりだから、  みんなに声かけといてくれよ。」 「うん!んじゃ塾あるからまたねぇ〜!  日取り決まったら連絡するからぁ〜バイバイ」 そう言うと日乃空は駅とは反対の道に走って行った。 「まさか日乃空に会うとはなぁ・・ハハハ」 大真はベンチに座りなおし、ケータイを確認する。 画面には16時30分と表示されている。 「そろそろ向かうか・・・」 大真は駅から少し離れた神社に向かっていた。 坂道を登り、大きな川が下に流れる橋を渡り 木々の生い茂るその奥に御宮が見えてくる。 「早かったわね、大真。」 「あぁもう来てたのか、友里。」 彼女は門のそばに制服姿で立っていた。 「ここでもよく遊んだよな〜」 「ええ、本当に・・」 友里の顔が急に暗くなる。 「大真、日乃空と会っちゃったんだ。」 「えっ・・・なんでそれを・・」 彼女は大真に自分ケータイの画面を見せて 「さっき連絡が来たの、大真が帰ってきてるから  また5人で集まろってね・・」 「駅で偶然会ってさ、俺もこっちには一ヶ月は  いようと思ってたから、日乃空に頼んだんだ。  もちろんアレのことは話してない・・」 「そう、それならいいんだけど・・。  本題に入るわよ。」 「あぁ、そのためにここに来たんだしな。」 二人は門をくぐり、中の休憩所に入り椅子に 腰掛けた。 「アレ・・・が警察に見つかったんだったな。」 「ええ・・電話で話したと思うけど、警察が  私の家に訪ねてきて幾つか質問していったのよ。  質問の内容はこうだったは、 『学校で仲のいい友達は?』 『あの山には子供はよく入るのか?』 『山の中で見つかったこのヘアピンに心当たりは?』 そして最後にもう一つ、 『与域田のあさんを知ってるか?』  だったわ。」 「・・ヘアピンってオレンジのやつか?」 「ええ、あなたが彼女の誕生日にあげた  オレンジ色のチェックのやつよ・・」 「なんで今頃になって・・・・」 「無論、彼女に関する質問には『よく知りません』と  答えたわ・・ねぇ、今でも後悔してる?」 「・・・・あぁ、後悔しても仕切れないさっ・・」 「1年前のあの日、忘れもしないわ。  ひまわり畑で遊んでた時・・・あの子  あなたに告白したのよね。」 大真はその日のことを思い出していた。 決して忘れることができない、彼女の記憶を。 「俺があの時YESって言ってれば、未来は  変わってたのかな・・・」 「・・・結果はどちらにしても同じだったと思うわ。」 「ごめん・・・ごめんよ・・乃明・・。」 大真は頭を抱え、ただ泣くことしかできなかった。 旧友であり自分に恋心を抱いていた与域田 乃明を 救えなかったことが悔しいあまりに。 「今日はもうこの辺にしときましょ。  そのうち大真のとこにも警察が行くと思うは、  その時は口裏合わせてよね。  あのことは5人だけの秘密なんだから。  約束よ・・・それじゃ私は帰るわ・・またね。」 そう言うと友里は振り向くことなく神社から出て行こうとする。大真はとっさに彼女を呼び止める。 「おい!埋は・・・埋はどうしてるんだ?  あいつは元気なのか・・・・」 「ええ、元気みたいよ・・会わない方が  良いと思うけど・・・それじゃ」 彼女はそれっきり何も言わず帰ってしまった。 「会わない方がいい・・何かあったのか・・・」 大真を言いようのない恐怖が襲った。 気がつくとあたりは暗く、ケータイの画面には 18時07と出ている。 「いけない、早く家に行かないと!」 大真は急いで親戚に家に向かった。 歩きだったせいもあり、家に着く頃には 汗でびっしょりだった。 ピーンポーン♪ 「はーい!副島です。」 「遅くなってすいません、斎藤大真です。」 「あら、たいちゃん!ずいぶん大きくなったわねぇ〜  玄関空いてるから入ってきてちょうだい。」 「はい、お邪魔します。」 玄関をあけると、中から夕飯のいい匂いが 漂ってきた。 「お邪魔します。」 「そのまま上がっちゃって♪  すぐにお夕飯にするからぁ〜」 居間にいくとテーブルにこれでもかと たくさんの料理が並べてあった。 「おう!大真来たか〜。また大きくなった  みたいだなぁ〜ガッハハハ!」 新聞を読んでいるおじさんがこちらに気づき、 笑って迎えてくれる。 「遅くなってすみません。  今日からお世話になります。」 「なんだ?随分他人行儀だぁ〜かたっくるしい  挨拶はいいから、お前も座れ座れ!」 「はい!」 「はぁ〜い、お待たせぇ〜たいちゃんの大好きな  ハンバーグ♪お口に合えばいいけど。」 「いただきます!」 「しかし、珍しくお前から電話があったもんだから  てっきりなんか事件でも起こしたんかと思ったぞ。」 「もぉ〜貴方ったらたいちゃんはそんな子じゃ  ないでしょ!夏休みだから遊びに来ただけよ♪  ねぇたいちゃん。ハンバーグおいしい?」 「ええ、とっても美味しいです。  せっかくの夏休みなんで久々にこの  町に遊びに来たんですよ。」 「そうかそうか!まぁゆっくりしていけばいいさ。  でも、あんまり羽目外すんじゃないぞ〜」 「はいはい、お説教いいですから。」 「ガッハハハ♪イカンイカンつい仕事の癖でなぁ〜」 「今もあの交番に勤務されているんですか?」 「あぁ〜今やあそこの所長よぁ〜ガッハハハ!」 おじさんとおばさんの話を聞きながら大真はさっきの 友里の言葉を思い出していた。 (埋はあの後学校に来なくなったし 卒業式ですら会えなかったからなあ〜 この一ヶ月の間に会えればいいだけどな) 「ん〜?どうした大真、ボケーとして  さてはお前彼女ができたなぁ〜なんだそうか  お前ももうそんな年頃かぁ〜ガッハハハ!」 「いえ、宿題が山のように出たんで  そのことでちょっと考え事を。」 「高校は楽しいか?こっちと違って  知り合いも少ないだろうし、なんか悩みごとあったら  俺に話せよ。」 「ありがとうございます。」 「まぁ今日は食って風呂入ってささっと寝たらいいさ」 おじさんはそう言って笑った。 夕飯を食べ終わり、風呂から上がるとおばさんから 2階の部屋に案内された。 「ここ使ってね。前まで家のバカ息子が  使ってたんだけど、今はもう寮生活で滅多に  帰ってこないのよ。服も借りちゃっていいから。」 「ありがとうございます。」 「じゃあ何かあったら下にいるから声かけてね。  おやすみ〜♪」 「おやすみなさい。」 バタン 大真は荷物を適当な場所に置き、 そのままベットに横になる。 ピロリン♪ 不意にケータイが鳴る。 「ん?あぁ〜日乃空からメッセージが来てるな。」 大真はメッセージを開き内容見る。 『今日は会えてラッキーだったよ♪  あの後他の3人に連絡したら全員OKしてくれたよ!  明日の昼に駅前に集合ね〜♪  そんじゃおやすみ〜♪(´ε` )』 「みんな集まるのか・・・埋も来るのか?」 友里の言葉が妙に引っかかってたのもあり、 大真はすこしだけ不安だった。 「今日はもう寝よう明日は色々と大変な日に  なりそうだなっ・・・」 窓の外からは虫やカエルの鳴き声がかすかに 聞こえている。 「帰ってきたんだなぁ・・・」 そう呟くと大真は布団に潜りそのまま寝てしまった。 つづく

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