異世界を救うヒーロー!になるはずが..。【クラス転移】~帰れるのは数人だけ~のサバイバルに?!

読了目安時間:8分

急展開の教室!そして異世界へ。

 ♢   「ったく、えらい目にあったぜ...。」  俺は今日最後の授業で居残りとなり、小走りで教室へと戻る。  着替えとかもあったから、かなり時間を食っちまった。  階段を上る気にならない、と足が悲鳴を上げる。  今日の七限は体育だった。  指導するのが、先ほど職員室でこっぴどく叱られた担任の矢畑有希先生という事もあり、俺はいつにも増してしごかれたのだった。  彼女は大学を出てから間もないという事もあり、生徒の指導に熱心で、特に授業をさぼる俺には「学校嫌い?」とか「授業わかんないの?」とか、心配して聞いてくる。  まあ、大竹たちのように、純粋に心配してくれていることが伝わってくるので、別に嫌いではないのだが。  あまりに熱心なので、生徒の間で「明日葉は矢畑先生と付き合ってる」とか噂が立ったり、それもあって先生たちまで「変な関係はないか」と疑ったりし出したときは参ったし、逆にこっちが心配になった。    「...で?希子、お前はどうしたんだよ??」  やっとのことで階段を登りきると、ハーハーと荒ぶる息整えながら、その見覚えのある顔に俺は尋ねた。スラーっときれいな両手を後ろに組んで、足をクロスさせ、明らかに誰かを待っているようだった。どうせまた先生ネタでからまれることは分かっていたが、休憩もかねて聞いてみる。  「別にぃ?けいちゃんをからかいたいとかそういうのじゃないし~?」     希子はそう言っていつもの笑みを浮かべる。  「ねえねえ!それで?どうだったの??  二人きりの甘い時間は?!  ひょっとして生徒と教師の関係にあるまじき保健体育の授業をっ...!?」    希子は、お辞儀のような体制で俺を下から見上げる。嘘をつけ、やる気満々じゃんかよ。これは彼女が俺をからかうときにする姿勢だ。上目遣いがかわいくて怒れないのがまた何とも言えずムカつく。     「って、あれ?お前らまでどうしたんだよ?もうそろそろHRだろ?」  そんな調子で廊下をだいぶ進んで、あと少しでF組に着くというところでクラスメイト数名が困ったようにキョロキョロと周りを見回しており、俺が声をかけると、やっと見つけた、って感じで駆け寄ってくる。  塩瀬寿裕、瀬之口太治、皆藤信人の三名だ。  俺が言えたことではないが、彼らはクラス内でも目立つポジションではなく、一年以上の付き合いであるが、正直、名前が合っているかも分からない。  三人とも休み時間に集まってエロゲーとかやっており、女子からの評判もすこぶる悪いのは、隣にいる拝島や、結城からたまに聞く。  そんな彼らが俺を探してるという事は...おそらく学級委員長にでも言われて、呼びに来たのだろう。  「ごめんごめん、遅くなっちゃったよね。ほら、走るぞ希子。教室はあと少しだ!」  俺だって俺なりにめちゃめちゃに急いだんだ、って言いたかったが、彼らは何も悪くないし、ぐっとこらえて素直に従うことにした。  しかし、これで彼らの顔にも明るさが戻ると思ったが、そうでもなかった。  彼らはその場にとどまって、三人でぶつぶつと何かを言い合っている。  「うん?どうしたの??どこか体調でも悪い?」  俺に代わって今度は希子が質問した。  こいつはおちゃらけているところもあるが、やるときはやるし、クラスメイトからの信頼も高く、いわゆる姉御肌みたいな一面もある。  しかし、希子と話すことに自体に緊張しているのか、何なのか、彼らは数秒黙ってから、塩瀬がやっと口を開いた。  「あ、えと、ち、違うんだ。あ、明日葉...ゆ、ゆゆ有希先生は??」  なんだ?こいつらも俺をからかいに来たのか?  そう思って俺は希子の方を向いたが、彼女は首を横に振った。  どうやら関係なさそうだ。  「有希ちゃんなら、十分くらい前に校庭で分かれたけど。たぶんそろそろ来るんじゃないかな?教室で待ってようよ。」    俺がそう答えると、三人はまた何やら話し合いを始めてしまった。  こりゃ長くなるかもな..。そんなことを思っていると、  「---いや、実は教室に変な人が来ててさあ。有希ちゃん呼んできた方がいいかと思ってて。」  そう言って三人の後ろから現れたのは、磯潤平。彼は塩瀬たちとは正反対のタイプで、社交性が高く、女子人気も高い。  「ったく、人一人見つけんのに何分かかってんだよ。」  彼はそう言うと、ポケットに手を入れたまま、足を振り上げ皆藤の腰を軽く蹴った。  「ご、ごめん...。」  三人は怯えたように声を震わせた。  …うっわー、まじごめん。こんなことなら体育着で直行するべきだったなあ...。  俺は心の中で三人に謝ると、本題に入る。  「それって、不審者ってこと?それだったら有希ちゃんじゃなくても、ほかの先生でいいんじゃないっすか?  ってか、急がないとみんなが危ないんじゃ?」    俺はこいつらの言う変な人の定義が心配だったので、一応聞いておいた。誰かの保護者とかだったら赤っ恥だ。...今日はもうすでにかいたけど..。  「いや、別に危なくはなさそうな感じ?どっちかって言うと頭がやばいっていうかさあ。」  「あの!!!」  磯の発言を遮るように、瀬之口が声を張る。  当然、怒ったように磯は彼らをにらみつける。    「あ...。  すみませんさっきから声をかけてたんですけど反応がなかったので...。」    「..はあ、まあいいよ。で?」    時間を気にしてるのか、磯もそこまで突っかからずに質問した。  「あ、あの..有希先生がいなかったので、僕らもほかの先生を探したんですけど、  せせせ、先生どころか、F組以外の生徒も誰もいなくなってて....。」  うん?  正直最初は、彼の言っている意味が分からなかった。しかし思い返してみれば、ここに来る間、希子に会うまでだれ一人としてすれ違わなかったような..?  いくらHR前とはいえ、いつもトイレに行く人とか、結構いるはずなんだが。    ここで、俺は、はっと異変に気が付いた。  おそらく希子も、明らかにおかしいソレに気づいたのだろう、すぐそばにあったE組のドアに手をかける。  --急いでいたからか、全然気が付かなかったが、音がしないのだ。  いつもなら、うっとおしく感じる、騒がしい生徒のしゃべり声がしない。  机や、椅子をずらす音がしない。  歩く音が聞こえない。  --俺たちが発する音しか聞こえない--  <ガラガラ、ガララッガララララッ-->  ◆  「……嘘だろ...。」    磯がそう漏らしてしまうのに無理はない。  E組の教室の中には、人っ子一人いなかった。  --いったい、みんなどこに...?  その場にいた六人は皆、同じ事を思ったことだろう。  「----邪魔だから、一旦消えてもらったんだよ。」  <っっ!!?>  一瞬で体中の血液が氷付くような感じがした。  おそらく男性のものだろうが、それにしては中性的な声。  驚いて声のする方、後ろを振り向くと、そこには不気味な笑みを浮かべた男が立っていた。  肌の色は化粧をしているように真っ白だ。それにより、正確な年齢は分からない。  中肉中背で、黒いスーツのようなものをまとい、格式高そうなハットを被っている。  中世ヨーロッパの貴族の様な印象を受けるが、しかし、どことなく雰囲気がこの世のものとは思えない。  人間なのは確かだが…、何処か遠い別の場所から来たような……。  そう、まるで、  「異世界から来たみたいな……」  思わずそう呟いてしまう。  男は驚いたように、眉を上げ、大きな口を開け、白い歯を見せた。  「そうなんですよ!理解が早くて助かります。  君は……さっき部屋に居なかった生徒だね?  良かった、これで本格的な説明が始められます!  さあ、皆さんも、行きましょうか!!」  男はそう言って手を大きく広げた。  瞬間、床が発光し、ファンタジーの世界でよく出てくる魔法陣の様なもので覆われた。  <??!>    急展開過ぎて頭が付いていかない。  恐らくこいつが、磯たちの言う不審者なんだろう。  さっきはつい言ってしまったが、異世界?魔法陣??マジかよ、冗談だろう?  俺は急いで希子の腕を掴んだ。  彼女だけでも何とか守らなくては。  しかし、確かにあった彼女の柔らかい感触は、瞬間、感じることができなくなった。  数秒たち、磯たちも姿を消した。  その場に残ったのは、俺と、謎の男のみ。  頭が回らない、どうすればいいんだろうか?  俺はただただ、男の顔を凝視していた。    「あれ?君はまだなんですね。  おかしいなぁ、魔法陣の不具合ですかねぇ…。  ああ、安心してください。  彼女には先に行っていただいただけです。  他の子達も先に送ってしまいましたから、あとは君たちだけだったんです。  心配しなくてもすぐ会えますって、だから睨まないで…。」  一体こいつは何者なんだろうか?  俺の活動停止しつつある脳がやっとの事でそう考えると、まるで人の心が読めるかのように、男自らと目的について語り始めた。  「皆さんあちらの世界で説明を受けていただく予定でしたが、まあ、いいでしょう。簡単に言うとですね…」    ❛まず私は、お察しの通り、この世界とは別の、異世界から来ました。  ❛その異世界では、魔王軍によって人々の生活が脅かされております。  ❛こちらの世界の人間が、謎の男が住む異世界へと移ると、常人を超える様な能力を手に入れるケースが報告されております。  ❛君達は、私達の劣勢の戦況を立て直すべく、助っ人として選ばれたのです。  ❛なお、辞退は認めません。  「まあ、魔王を討伐出来たら、数人は帰れるのですし、ここは一つ、穏便に。」    ………数…人?  「あれ?これはさっき言いましたよね?  あなた方には五、六人のグループに分かれていただいて、魔王討伐任務を完了したチームのみを、こちらにお返しすると。  ああ、君はその時居なかったんでしたっけ?  いけませんねぇ、遅刻は。でも、そういうのって、結局自分に帰ってくるんですよねぇ。」    「---ってあれ?  もう行っちゃったんですか。  私なりに気を遣って言ったのですが、最後まで聞いてくれましたかねぇ?」

 第二話です!導入で友情を、面白く描いたつもりの一話と比較して、急展開に物語を進めたつもりです。  しかしながら、見返してみて、まだまだどうでもいい描写に時間を使ったりしちゃってるかなと。稚拙な部分は隠せませんが、とりあえず、無事に主人公たちを異世界に送り出すことができました!☆ミ  次回からはバリバリ異世界物語にしていくつもりです。  よかったら読んでくださいね。  けいちゃんより

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