RELACION 〜有力貴族の居候となった少年とその数奇な人生を〜

読了目安時間:2分

エピソード:53 / 108

野盗狩り②

 野盗集団の対応は迅速だった。  ライアを捕捉した若い男が短剣を引き抜き、近くで座り込む老人の元へと向かう———が、これを今度は加減無しの電撃で撃ち払う。その後も同じく人質を取ろうとする行動が相次ぐものの、中距離から確固撃破されていく。  騎士ならばともかく、まさかリング持ちが救出に現れるなど、誰一人とて想像していなかったのだろう。彼らの不運さは同情ものである。  どん。どん。どん。と、巨人の足音のような轟音が響く中、登笈(とおい)もまた、影薄ながら野盗の一人と相対していた。 「っんだよ、お前ら……意味わっかんねぇ……」  痩せぎすの男だった。乱雑に剥ぎ取られた毛皮と乾いた血のついた上着で全身は確認出来ないが、頬は()けていて、首も細い。短剣を握り締める手の甲には骨も浮かび上がっているほどに。  憎々しそうにこちらを睨み付ける彼は、登笈(とおい)の身なりや顔を見て、唾を吐き捨てる。 「意味が分からないのは僕の方だ。何でこんなことをする。脅して、奪って、それで何が楽しい」 「意味だぁ? それこそ知らねぇよ。くっそ。お前、んの綺麗なツラからして貴族だろ。なーんも苦労しねぇで、正義ぶりやがって」  男は額を押さえて、前髪を乱雑に握りながらそう言った。登笈(とおい)が貴族で、だから自分達の苦しみなど分かりようもないと。 「はっ。あの雷野郎もそぉだろうが。餓鬼のくせに騎士気取りで、みんなを苦しめる盗賊を成敗ってか。なめやがって」 「……くッ!!」  ガギッ。と、金属と金属とが削り合う不協和音が響いた。  切りかかって来た短剣を刃の根元の方で受け止めて、登笈(とおい)と野盗が剥き出しの剣気をぶつけ合う。 「おいおい怒んなよ……その通りだろうが。生活に困ってねぇから、んなことが言えんだよ」 「そりゃ———僕は恵まれてる方かもしれないけど、それとこれは違うだろっ!!」 「はっ、分かんねぇなぁ。(ちっ)せぇ頃から(なーん)もしなくても(めし)が出てきてたような奴に、どうこう言われたかねぇんだよなぁ!!」  勢いそのまま、短剣による突きと振り下ろしが交互に襲い来る。野盗の連撃(れんげき)を刃渡りのリーチで強引に弾きながら、反撃の機会を待つが———残念なことに、男を大きく上回るほどの技量を登笈(とおい)は持っていない。  積もった雪が足を奪い、グリザリオから習ったステップも逆に下半身を疲れさせるだけだ。どうしても一度攻められれば防戦一方となってしまう。 「ネサラだってそうだ。貴族や一部の富裕層(くそ)が良い気になってっから天罰が(くだ)ったんだよ!!」 「ッ———……」 「(ちげ)ぇなら何か言ってみ———」  一迅(いちじん)。野盗がその言葉を言い終えるより前、赤黒い液体が足元の白を暗く染め重ねる。ついでに落ちた手首から先に何の感傷も持たず、登笈(とおい)は剣についた血を払ってから、狼狽(うろた)える男の腹を思い切り蹴り飛ばした。 「……あぁ、もう」

読んでいただき、ありがとうございます。 質問があれば是非ともお書きください。今後の展開のネタバレにならない程度に回答させていただきます。 長文でも一言でも何でも感想お待ちしています。筆者にエネルギーをください!!

コメント

コメント投稿

スタンプ投稿


このエピソードには、
まだコメントがありません。

同じジャンルの新着・更新作品

もっと見る

  • STORY TELLER -女神編-

    私はそんな運命絶対に認めない……

    18,456

    120


    2022年5月29日更新

    ある日、自分に特別な力が宿ったら… その力をどのように使いますか? もしも世界の運命を知ることができたなら、 あなたはその運命に従いますか? それとも、運命に抗いますか? これは異世界と現実世界を舞台に、 特別な力を持った4人の少年少女が、悩み、葛藤し、決断しながら、運命を切り開いていく物語 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 茶々丸と申します。 STORY TELLERの第二部、-女神編- 執筆スタートしました。 第一部を読んでいない方でも楽しめるよう書いているつもりですが、もちろん第一部を読んでいただいた方が、より楽しめると思います。 第一部、かなりの長編となっておりますが、読んでいただければ幸いです。 現在は不定期更新ですが、できる限り早くあげていきたいと考えております。 色々なご意見、ご感想お待ちしております。 これからよろしくお願いします(^^)

    読了目安時間:2時間46分

    この作品を読む

  • Eighteen Years' War

    硬めのファンタジー戦記ものです

    109,012

    2,350


    2022年5月29日更新

    コルネー王国の新米指揮官レファールは、赴任早々隣国の大軍による攻囲を受けることになった。 小さな小村の占領から、二か国間の本格的な抗争が始まり、それが近隣国も巻き込んだ争いへとつながっていく。 だが、それすらも五つの王国と七つの勢力による長きに渡る戦乱の、ほんの序章に過ぎなかった。 ※チート系無しのファンタジー戦記系ものです。 ※タイトルは変わるかもしれません(汗

    読了目安時間:15時間2分

    この作品を読む

読者のおすすめ作品

もっと見る

  • この世の果てで誰もが幸せになれる世界を探して

    誰かと幸せを探して

    17,600

    100


    2022年5月29日更新

    この世界は悲劇である。 誰かが救われれば、誰かは救われない。 誰かが幸せになるならば、誰かが不幸になる。 世の中はそうしてバランスをとってできている。 自分が幸せになるためには誰かが不幸になるしかない。 そういうことは学校では教えてくれない。 繰り返すがこの世界は悲劇でできている。 革命は血を流して起こっている。 平和は戦いの後で成り立つものだ。 誰かが笑っているそばで誰かが泣いている。 誰かが楽しそうにしている横で誰かが泣いている。 歴史は悲劇でできている。 現代を生きる我々が美化しているだけだ。 「ならば今を生きる私には何ができる?」

    読了目安時間:39分

    この作品を読む

  • 幻想小匣~140字ピッタリの世界~

    綺麗な世界に不穏の雫を一筋垂らす140字

    27,300

    260


    2022年5月29日更新

    綺麗だけれど不穏の雫を一筋垂らしたような物語を、140字ピッタリで紡ぎます。 残酷な童話風のダークファンタジーが多めです。 毎回ではないですが、BLやGL、人外、異形化、状態異常などの描写もあります。

    読了目安時間:5分

    この作品を読む