教育に悪いーセクサロイドと小学生ー

色葉家

 河原に座り込む若い男がいた。きりっとしたツリ目に端正な顔立ち、ボロボロのグレーのスーツに金色の髪、ふかふかした青い耳あて。片足が足首から下が無く電子機器がむき出しになっていることから、ロボットということがわかる。 「もう一歩も歩けない……」  男子小学生5人組が近づいてきた。どこかで拾ってきた棒で男をつつく。 「あ!こいつロボットだ!」 「足が壊れてる!」 「ばらしてみようぜ!」  男は弱々しく言った。 「や、やめてください……」  そこへ、ところどころ汚れたワンピースを着た女の子がやってきた。茶色いセミロングを雑におさげにしている。金色のタレ目の瞳が光る。 「なにしてんの」 「うわー!楓だ!」 「逃げろー!」  男子小学生たちは逃げていった。女の子は男に話しかけた。 「きみ、ロボットなの?」  男は元気よく答えた。 「はい!そうなんです。新品なんですけどなかなか売れなくて販売店から捨てられてしまって。足も壊れてしまい途方に暮れてました」 「私のお母さんもロボットなの。うちに来る?行くところないんでしょ」 「え、お母さんがロボット?それってどういう……でも!助かります!ありがとうございます!」  女の子は男の手を引き近所の小さい和風一戸建てにやってきた。ドアを開けると、奥の部屋から、銀色の腰までの長い髪、長いまつげの美しい女性が現れた。青い大きな瞳が印象的だ。エプロンをつけている。 「(かえで)、遅かったじゃない。夕飯出来ているから食べましょう、あら……あなたは?」  女性は不思議そうに男を見た。  女の子はしたり顔で言った。 「河原で拾ったの」  男は元気よく言った。 「はじめまして!私はロボットです!名前もまだない新品なんですけど、捨てられてしまって……お嬢さんに拾っていただきました」  女性は女の子に語りかけるように、厳しさも交えながら言った。 「楓ったら変なもの拾ってきて。うちでは飼えないよ。河原に捨ててきなさい」  男は慌てて涙ながらに訴えた。土下座して頼み込む。 「そ、そんなぁ僕にできることなら何でもしますから、この家においてくれませんか、お願いします」  女性は投げやりに質問した。 「それで、あなたは何ができるの。どんな用途のロボットなの?」  男は胸を張って答える。 「僕はセクサロイドです」  女性は吐き捨てるように言った。 「楓、河原に捨ててきな」 「あの……えと……アルバイトとかしますから!」 「風俗で働いて稼いでくれるの?私も風俗で働いているんだけどね」  男はしどろもどろになった。 「えっとそれはちょっと……僕新品ですし……初めては好きなひとが良いっていうか……」 「ずいぶん世の中なめてるセクサロイドだね」  女の子は女性のエプロンをひっぱった。 「ねえねえお母さんなんの話?」 「楓は気にしなくていいんだよ。もう、セクサロイドなんて教育に悪いでしょ」 「すみません」 「私も人のことが言えないけどね。良いよこの家においてあげる。ただし条件がある。昼間はコンビニかどこかでアルバイトして家計を助けて、夕方から楓の遊び相手になってほしいの。私は夕方から仕事入っちゃうことが多いし昼間は充電しているからね。頼めるかな」 「分かりました!これからよろしくおねがいします!」 「名前を決めなきゃね。楓、どんな名前がいい?」  女の子は元気よく答えた。 「千鳥(ちどり)にする!歩き方が変だから!」 「こ、これは足が壊れているからですよ!」 「千鳥君ね。私の名前は色葉折鶴(いろはおりづる)、この子は色葉楓(いろはかえで)、あなたの名前は色葉千鳥君」 「はい!」 「足の故障直してあげるから工房に来なさい」 「何から何まで、ホントありがとうございます!」 「アルバイト先早く見つけるのよ」  こうして、色葉家は3人家族となった。

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