三国列女伝 劉備の娘

第9話 紅い瞳の少女!(9)

 封は、何やら言い争う声で目が覚めた。すでに夜も深い。ろうそくの灯の下で、大人の女性と竺が口喧嘩していた。 「では、見ず知らずの少女を運命だからと言って拾ってきたのですか! この城を何とお考えです!」 「領主、陶謙さまから頂いた城です!」 「頭を打ったわけではない正気なのに、何故そのようなことを勝手にお決めですか!」 「お姉さまの一存で何とでもなりましょう! 陶謙さま側付きなんですよね!」  あのー。  姉妹喧嘩に、封は口出ししようと挑戦した。おずおず、声をかけるが、2人は無視である。 「それはそれ、これはこれ。ついでに、劉備さまをお困りにさせたとか。曹豹がぼやいていましたよ!」 「困らせる意図はありません! 私も封も、劉備さまの家臣になるのですから!」 「はぁ? どこのチンチクリンが劉備さまの家臣ですってぇ?」 「チンチクリン言うな! 見た目だけ美人のお姉さまに言われたくないでーす!」  あのー。  封は少し声を大きくした。掴みあいの喧嘩に発展しようとしていた、2人は封に気づいて手を離す。  封は申し訳なさそうに、頭をさげて礼をした。 「あたしは飢民の子です。確かに状況を考えると、あたしには一生かかっても縁のないところにいます。お姉さん、どうか妹さんを怒らないでください。あたしは夜明けにはここを発ちま……」 「ダーメ! そんなことしたら、劉備さまに私、嫌われちゃいます! 絶対、ここを出ないでください!」 「へ……?」 「それに綺麗な赤い瞳ね。封さんと言ったかしら、末永く妹を大事にしてあげてね。それと劉備さまとお会いさせていただけたら嬉しいんだけどー」  麋のお姉さん、麋密(ビミツ)。貴女も劉備の虜だったんですか。  何だか封は、釈然としなかった。エロ河童の思い通りに事が運び過ぎていないかなーと思うのだ。  困った顔をしていると、麋竺は嬉しそうにピョンピョン跳ね回った。勝訴、と言わんばかりの勝ち取った顔をしている。  封は、頭が良く物腰の低かった竺の変わりように、ちょっと困惑が増した。  でも、ようやく素の彼女を見ることができた。

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