「この前も聞きましたね。こういう中国ルネサンスを知っていたから雪舟は海を渡ったんですね」
「もちろん雪舟はよく知っていたと思う。台湾の故宮博物院と同じ絵は無論日本にはないけど、同レベルの北宗画が日本にも伝わっている。そういう絵は仏教とも深い繋がりがある。絵の素晴らしが仏教の魅力も語っているわけだよ。つまり、仏教は魅力いっぱいの修行道ってこと。雪舟が禅をないがしろにしたはずがない。禅を脇に置いて専門の職業画家になったなんていう話は、禅はもちろん仏教の魅力を理解していない、理解しようともしていない輩の虚言だと思う。絵と禅の密接な関係がわかっていないんだ。それは『絵』をまったく愛していないってことでもある。本当の絵画の喜びを知らないんだ。でも、雪舟をちゃんと理解している美術史家もいることはいる。関西の私設美術館の女性の先生は仏教や禅のことにも詳しいし、禅の教えと水墨画の墨の潤いを関連付けて述べている。禅画僧の水墨画は一筆一筆に画人の境地を籠める画法だ。雪舟の絵をしっかり見て欲しい。同時代の狩野元信や
*(上)雪舟等楊 (1420~1506)《天橋立図》国宝 紙本墨画淡彩 90.2×169.5㎝ 京都国立博物館
*(中)伝狩野元信 (1476~1559)《雪中山水図》重要文化財 紙本淡彩 177.9×91.0㎝×4幅 京都 霊雲院
*(下)伝能阿弥 (1397~1471)《三保松原図》重要文化財 紙本墨画 154.2×約60㎝×6幅 穎川美術館
雪舟の力強さを粗放と言えば言える。だって雪舟は御用絵師の道を歩もうとしていないもの。ひと目全然ちがう絵になるよね。狩野元信や能阿弥だって牧谿を尊敬していたんだ。よく研究している。だけど、牧谿の一番肝心なところをそぎ落として牧谿を見た目よくしちまったんだ。雪舟のアプローチとは大ちがい。体裁よく見た目綺麗な元信や能阿弥に比べると雪舟の絵は言葉は悪いが汚れて見えないこともない。その汚れがムチャクチャ魅力的なんだけどね。雪舟は身体全体で全人生を懸けて牧谿にぶち当たっていった。雪舟は最後まで自分が禅僧であるという誇りを持っていたと思う。俺は雪舟の最高傑作は《
*雪舟等楊 (1420~1506)《
*雪舟等楊 (1420~1506)《
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柳 憂
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柳 憂
2021年9月25日 15時13分
菊地理
2021年9月26日 18時00分
お粗末様です。 大量のポイントをいただき、痛み入ります。 ありがとうございました。
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菊地理
2021年9月26日 18時00分
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