宗教でスローライフを送ろうと思ったが

読了目安時間:5分

エピソード:5 / 8

第一章 金理教?

四話 満子ちゃんのてほどき

 流れに身を任せて満子ちゃんの部屋に連れられた私だが、そこはまさに未知の領域だった。  何せ彼女いない歴=年齢の私にとって、女の子のプライベート空間など想定外なのだから。  とはいえ、満子ちゃんの方はさほど気にしていないというか、とにかく遊子ちゃんから私を一刻も早く引き離したかったらしい。     男と二人きりになることに抵抗感は無いのだろうか。そんなに遊子ちゃんの行動はとんでもない方向に向かうのだろうか。様々な疑問が湧くがとりあえずこんな美味しいシチュエーションを逃す手は無い。私は思考を放棄した。  それにしてもこの部屋は見事に整理整頓がなされていてどこか気品さえ漂う。また女の子特有の何だか良い香りまでするので少し緊張してしまう。満子ちゃんの性格が現れているのだろう。  もしかしたら遊子ちゃんの方はここより汚部屋かもしれないと変な勘繰りさえ浮かんでくる。  それを見透かされたのか満子ちゃんに 「あら、もしかして女の子の部屋に入るのは初めてですか?  言っておきますがこれが普通ですわよ。遊子もああ見えて部屋はちゃんとしていますし、何より部屋も管理出来ない人間からは金運が逃げていきますわ。  我が家ではこれも金理の一つの実践だと幼い頃よりしっかりと教わってきました」  なるほどそう言いうことか。道理で私と金運は相性が悪いらしい。 「それより、先程もまだお疲れの様でしたし一眠りされてはいかがですか?」  そう言って満子ちゃんは自らのベッドを指し、布団を捲り上げてくれた。 「いや、でもここはあなたのスペースでは?」 「貢さん、貴方は大事なお客様ですよ?お客様の様子を心配するのは当然のことではないですか」  そこまで言われてしまってはあえて反論する必要も無い。素直に従った。ああ、美少女満子ちゃんが普段寝ているベッドを共有出来るなんて何といった天国だろう。やはり修練院など行かずこのままここで余生を過ごしたい……。  等と思っている間にすっかり眠ってしまった。やはりよほど疲れていたらしい。  やがて目覚めると何やら違和感がある。何かと思い探ってみると、何と満子ちゃんが同じベッドで添い寝しているではないか!  彼女も私のお触り……もとい確認作業に気づいて目覚めたようだ。 「あれ〜、もう起きられたんですか〜?」  いつもとは明らかに違う寝起き口調だが、これはこれで可愛い。可愛いのだが、今の私はそれどころでは無い。緊張と戸惑いとで頭の中が大混乱だ。もちろん眠気なんて満子ちゃんの添い寝に気づいた時から吹っ飛んでいる。  そういった事情を話すと少し反省したようだが、完全に無自覚で、最初は私……というより遊子ちゃんの襲撃を観察していたようだが(どれだけ信用無いんだ……)、安心と判断するや急に眠くなり、いつものようにベッドに潜り込んでしまったようだ。 「本当にすみません!何かお変わり事は無かったでしょうか?」  そう言われてみれば、私も男なので股間の辺りが膨らんでムズムズする。  それを見た満子ちゃんはたまらず 「これは申し訳ありません。私のせいで余計な欲を溜めてしまったようですね。すぐさま解放のお取次ぎをいたしましょう」  と訳の分からない事を言い出した。  どういう意図かと尋ねると、とんでもない説明が返ってきた。 「先程もご説明しましたように金理教では人間の欲を満たして解放する事を何よりの目標としています。これは金理教の原典たる『新訳みかぐらうた解釈』にも載っています。  貢さんの様子を見れば、今、心身共に欲が溜まっている状態なのは私から見ても充分理解できます。  ですから金理に伝わる【おしこり】によって当該部の興奮状況を鎮めることによって、全身の血流を循環させ、欲に忠実に生きさせると共に心身の平癒もお祈りさせて頂くわけです。  いわば欲との葛藤と精神解放のための回復魔法のようなものだとご理解下さい」  要は私の腫れ上がった股間を【おしこり】とやらで鎮めることによって、私の欲を発散させてくれるようだ。  戸惑う私をよそに早速それは始まった。もちろん今も満子ちゃんの部屋の中だ。  まずは親神・金理王命(きんりおうのみこと)様に向けて四拍手、次に初代教祖・中出締子(なかでしまこ)氏に向けて四拍手。そしていよいよお取次ぎだ。 「欲を〜満たして 解放し給え〜 金理ぃ〜王命〜。  欲を満たして解放し給え 金理王命〜   欲を満たして解放し給え 金理王命〜」  そう唱えながら満子ちゃんは私の股間をくまなくまさぐってくる。これは……気持ち良い。  美少女高校生に触られる光景を目にする度になおさら熱くなる。 「あらあら、ますます酷くなっていますわ」 そう悪戯っぽい言葉を残し、さらに続けてくる。  この【おしこり】は、まず1回目の呪文時に神とのやり取りを行い、2回目の呪文時にその取り次ぎを当該部にお触りで行う手かざしの一種だ。  通常一回の【おしこり】につき2×3の計6回触れられるのだが、童貞の私には刺激が強すぎてたった4回でビクビクと果ててしまった。  金理教万歳!こんな宗教なら天国だ! 「あらあら、本来ならあと2回残っているんですが、どうやら満足されたようですね。身体の具合はどうでしょうか?」 「確かに血流も良くなって疲労回復もしているように感じます」 「それは良かったです。お取次ぎをした甲斐がありました。本来ならお取次ぎ一回につき1万円を頂くところなのですが、今回は私の不注意ですし頂きませんので、どうかこのことは他言しないでくださいませんか?  大事なお客様に失礼があったと知られれば、怒られてしまいますので……」  満子ちゃんはすっかりしおらしく懇願してくる。  これはこれで面白いと思い、ちょっとイタズラ心がくすぐらる。 「どうしようかなぁ。遊子ちゃんに話したらどんな反応するのかな〜」  等と嘘吹いていると、すかさず満子ちゃんから 「【おしこり】一回1万円、乙女の心を弄ぶ不届き心5万円、神聖なる金理教と邪なる天理教を間違えて来た事10万円……無職の貢さん、今すぐ払えますか?」 と微笑みながら囁いてきた。  やはり金理教……怖い。

やはり金にシビアな金理教ですね。 てか【おしこり】代で風俗行けるじゃねぇかw

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