鬱情と癲癇

読了目安時間:2分

エピソード:2 / 6

僕の前に、ひとつ大きな光が見えた。 嫌に眩しいその光は、僕を苦しめている。 僕の病気には、いくつかの原因が考えられている。ひとつは虚勢、もうひとつは乖離、そしてもうひとつは人の持つ光だ。 僕はまだ、苦しんだまま歩いている。 どんな顔をすればいいか、分かんないよ。

歪んでいて綺麗な世界

歪んでいて綺麗な世界の挿絵1 僕は、暗い道を歩いている。誰かの呼ぶ声がする。「まだ間に合う。引き返せ」だって。そうかい。でも、僕はこの道を選んだんだ。そう言って、手を握る。暗闇の中、祐稀の姿だけがくっきりと見える。顔は暗くて見えない。 すると突然、祐稀の輪郭が淡く輝いて、激しい光とともに、祐稀の姿が見えなくなった。そして、光は空へと昇っていった。その光は、花火みたいに綺麗だった。 「祐稀!」 僕は空に手を伸ばしながら泣き叫ぶ。そして震えて、目眩を起こして倒れ込んだ。 月が綺麗な夜だった。 目が覚めた部屋は、苦しいくらいに明るかった。また、夢を見ていたようだ。こんなに何度も夢を見ると、どちらが現実か分からなくなってくる。夢でもそれはそれでいいか、と思った。 「ねぇ、大丈夫?」 「うん、大丈夫」 祐稀の優しさは、時に僕を苦しめる。それは、昔から変わらない。相反する感情は、僕をここまで連れてきた。それを、人は成長と呼ぶのだろうか。 僕は街が明るくなって、暗くなって、そんな日々を暮らしているうちになんだか自己が乖離しただけでなく時々光が見えるようになった。小さく点滅しているような光もあれば、大きな光が見えるときもある。 なんだか祐稀も香も世の中も光に満ちていて、僕だけが闇みたいで嫌になってしまうな。僕だけが卑屈なままで、僕だけがバカみたいだ。自分が嫌になって仕方がない。 じゃあ人は闇の中を盲目なまま、歩いていけるのだろうか?いや、無理だろう。暗闇では、天使と悪魔の判断も出来ない。そんなものが必要なのかは分からないけれど。 ああ、だからか。僕にとって他の人が眩しすぎるのは、だからか。あの時不意に出た言葉で僕の何処かが傷んだのも、だからか。 僕は部屋を出てカーテンを開けて、太陽の光を浴びる。朝日が射す。朝日が、僕を差す。 それと同時に振り返ると、祐稀の優しい視線が僕を貫いた。僕の前に大きな光が現れ、しばらくすると光は消えた。頭痛とともに吐き気がした。

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