「裏の畑には「モンスター果樹園」がある。」(仮) 

読了目安時間:2分

エピソード:27 / 27

第27話 時には昔話を

 最近、昔のことをよく思い出す。戦い続きだった毎日のことや好きだったあの人の事も。あれからずいぶんと経つが、元気でいてくれているのだろうか。もう一度、会えたなら。私は。  私はきっと、告げるんだろうな。  あの時の想いと今の私と、仲間の事や、面白い同居人 (人ではないが)のことも。  ――そう。かなり昔に、私にも……  昔、好きな人がいた。その人とともに行動したくて、同じギルドに入って、毎日が楽しかった。今でも忘れられないギルド名をまだ覚えている。そのギルドに入れたことを誇りに思っていた。火力が強かった。火力とは戦士たちのことである。風力が少なく、魔法職が珍しい時代のことだ。  そのギルドに誘ってくれた男性が好きだった。彼は戦士だった。 彼にはあだ名があった。「ノンちゃん」というかわいい呼び名である。私は彼をその名前で呼んでいた。彼は私のことを「ヒナ」と呼ぶ。ひよこのように純粋で真っ白な心を持っているとおもうからだ、と後日聞いた。会話をするのが楽しくて、いっしょにダンジョン攻略や殺人集団 (以下、PK パーティ・キラーの略 )を撃退したり、撃退がミスって全滅した日々を忘れられない。  ミーニスタという生物がいる。ふだんは二本足と尻尾で体を支えているこの動物は、乗ることができるペットだ。通称「ミスタ」は、鍛えることも可能だった。深紅色のミスタを連れて、良く鍛えに行ったものだ。私は、当時かなり珍しいと言われた魔法職をしていた。回復魔法をペットにかけてやりながら、修行に励んでいた。  やがて年月が経つにつれ、一人去り、また一人去り、とギルドマスターが辞めていき、ギルドは解散してしまった。私もその頃は忙しくて、気がつくのが遅かった。久しぶりにギルドハウスへ赴くと、すでに家はなく、更地になっていた。残った仲間とも連絡がつかなかった。それからは、一人(ソロ)で過ごした。そんな寂しさを抱えたまま、表面上は「楽しいよ」と虚勢を張っていた。だから今の同居生物たちと出会い、かれらのことを放置が出来なかった。 * 「さみしそー! どーしたのー?」  化け猫ミルが普通サイズの猫の姿で私の足元へやってきた。 「少しね。昔を思い出していたよ。秋だからかねぇ」 ふぅん? と首をかしげて、ひとこと 「にゃあ」 猫の鳴きまねをした。まるで猫なのに人語を理解し話せて、人間に化けることもできる。  ……そう、私は自分が寂しかったから「仲間」が欲しいと思っていた。  だから、()()()()()()彼らを保護したのだ。

「裏の畑には「モンスター果樹園」がある。」は、ここで終わりです。 ここまで追いかけて読んでくださり、ありがとうございました。

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