「裏の畑には「モンスター果樹園」がある。」(仮) 

読了目安時間:2分

エピソード:1 / 27

裏の畑には「モンスター果樹園」がある。

第1話 モンスターが実る木

 今日は快晴。  どうやら今年も家の裏の畑にモンスターが実ったようだ。  さっそく化け猫ミルが木に登って、美味しそうに食べている。今年も、この季節がやってきたかと嬉しくなる。さぁて、今日はどの色のスライムを捕まえてきて、どう調理しようか。考えるのも楽しみの一つである。  昨年の冬に「スライムが実る木」を9本植えていて良かった。毎年、この季節()になるとオヤツが交互に実るんだから。  ――それはオレンジ色のスライム。子どもの手のひらぐらいの大きさで、ほんのり甘くて、中央に大きな種がある。種は発酵させてお酒になるし、実を強酔白酒(ホワイトリカー)に、角砂糖とともにつけてもいいし、ジャムにしてもいい。蜂蜜と煮込んでコンポートにもできる。自家製の小麦で作るパンの生地に混ぜ込んでも美味しい。  ギラッギラの太陽の下で何やら畑の奥が騒がしい。 「おいら見てくるよ」 「ぼくも見てくるよ」  最近、意思疎通が出来るようになった化け犬ジョンとチロが、家の裏の畑に向かった。我が家にはシッポが3つある化け猫ミルと、額に角がある化け犬ジョン、チロが住み着いている。化け猫ミルが言うには「屋根裏には白い蛇神様が住み着いている」らしい。私は直接、見たことはない。  部屋の中がやけに暑い。室温計を見ると、見事にびよよんと伸びていた。 「あねさん、あつすぎでっせ」  仕方ない。窓を開けて風を入れるしかない。少しだけ涼しい風といっしょに「風邪」も入ってくるから、あまり開けたくはないのだが、部屋の中で高温死だけにはなりたくない。  その数分後。 「うんめぇー」 「うんめぇーー!!」  風が声を運んでくる。その声を聞き、昨年の暮れに種をまいておいた「うんめぇ」が成熟したと知ることができた。この「うんめぇ」の実は生で味わえないから、加工するしかない。  そろそろ塩漬けにしておいた赤始祖鳥(れっどしそちょう)と一緒に「うんめぇの実」も漬け込むとしますか。  この料理の本には珍味のページがあり、そこには、こう書かれてある。  ――この世で最も美味なのは「(あお)きスライム」であろう。スライムの木に調合した特別なポーションを定期的に与えると、まれに実ることがあるらしい。  その珍味とされているスライムが大量に実ったので、友人らにおすそ分けしておいた。食べ方はそれぞれ、刺身、天ぷら、煮つけとあるが、お勧めは刺身だろう。  (あお)の始祖鳥を刻んで、サラダにしても美味しい。サラダのドレッシングはカボッチュソースである。これはカボッチュという果実の汁がベースで、くしゃみ発生種をつぶしたものと、豆蔵(まめぞう)さんという液体のハーモニーである。  ――これがうまいんだ。  あ、しゃぶしゃぶでもおいしいよ!  

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