――それはヒト型をしていた。人の形だが違和感があった。顔には鼻がない。あるのは大きな目が１つと大きな口があるのみだ。ヨタヨタ、ヨタヨタ、ユラリユラリと歩く。ぼろ布をまとい、手には刀やオノが握られている。 獲物を前にすると「ニタァ」と口を開け、手にした武器を振り下ろした。腕がびよよよよんと伸びて、獲物の首に巻きつき、締め上げてしまう。目や口や鼻の穴から、触手を忍び込ませて、体を乗っ取っていく。 そうやって獲物を求め、また歩いていく。 狩人たちが見たのは、きっとこいつだろう。 * ニノック奪回作戦は成功した。ニノックの鉱山に閉じ込められていた首長や住民たちの救出も終わり、私は家へ帰ってきた。 私にはいつもの日常が待っている。 畑を見回り、収穫し、加工して市場で売る。 そろそろ余白のページがなくなってきた。つづきは、気がむいたら書こうと思う。 最後にこれだけは記しておこう。 帰り際に、王から「魔法都市の街を治めてほしい」と言われた。その申し出を私は丁重に断ってきた。 化け猫たちを保護した時に受けた心の傷がまだ癒えてない。 それに首長となるとどうしても目立ち、またバッシングの嵐にあうのは大嫌いだった。 今のところは自分の家族だけで精一杯なのだ。 「まぁ、いそがない。気が向いたら、いつでも申し出てくれ」 * 鍛冶職人サイチと護衛のガラは無事だった。 今回使った剣は「鍛冶職人サイチ」という銘が彫り込んである。かつて現役だった頃に作ってもらったものだった。慎重なサイチは私の性格をよく知っていて、「すぐに壊すか、なくすだろう」と予備を多めに作ってくれた思い出の武器だ。
「裏の畑には「モンスター果樹園」がある。」(仮)
読了目安時間：1分
エピソード：23 / 27
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読了目安時間：32分
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坪倉悠真
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坪倉悠真
2021年10月20日 13時40分
あかつき らいる
2021年10月20日 17時42分
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あかつき らいる
2021年10月20日 17時42分
野上
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野上
2021年9月24日 19時03分
あかつき らいる
2021年9月24日 21時33分
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あかつき らいる
2021年9月24日 21時33分
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