声の神に顔はいらない

グループって仲間なの?

 なんかどツボにはまってる気がする。私が……じゃない。私達のレコーディンに付き合ってる、私達『トゥモローエナジー』の立役者。その人が私達のイメージと、そしてグループの方向性をきめて曲を書いてるその人がいくら歌っても納得してくれない。  ブースの向こうで難しそうな顔をしてるその人が見える。そしてその場にいる人達が集まってる。その中には里奈とカナンも参加してる。私も向こうに参加して直接言いたいことはある。  けど、私はここでスタンバってるのが仕事だ。あの人だって私達のこと、100パーセント以上に引き立たせようとしてるはず……多分ね。  どうやら私、あの人にあまり気に入られてないみたいな? 風の噂だけど、ほんとうはこのグループ、里奈とカナンとそして別の声優で予定されてたらしい。  いや、本当かはしらないけど……でもそんな噂を聞いたことがある。なんか心なしか私に振られるパートが少ない気もするし……でもそれは声優としての人気度とかを持ち出されたら文句なんて言えない。だから、私は小さな不満は我慢してきたんだ。  でも今回のこれは……ね。暗に私では彼の曲を表現できない――と言われてるようなものじゃないだろうか? (ふざけるな!)  ――だ。だって私には何の非もない。私は何度も何度も練習して完璧に歌えるようにしてる。その自負がある。カナンを支えるバックグラウンドのコーラスだってぐっと歯を食いしばって仕上げてきた。  なのに「何か違う?」だぁ? いやさ、確かにクリエイターの人達にはあるこだわりなだけかもしれない。  その可能性はある。けど、聞いてしまった雑音が、私に余計な疑念を生み出してるのかも知れない。 「はぁーふぅー」  私は大きく深呼吸をした。落ち着け私、自分に落ち度なんてない。落ち度なんて…… (本当にそうだろうか?)  そんな考えがよぎる。だって私はまったく完璧にやってると自負してるが、これが第三者目線だと、私があの人の要求を満たせてない奴になるのでは?  何せこの問題は曖昧だ。なのに答えは向こうが所持してる。あっちの方が偉いからである。そして周囲は偉い方の顔色をうかがうものだ。  悪いなんて言わない。私だってお気楽な立場に入れるのなら、偉い人の側につく。そういうものだし…… (それが賢い生き方だもんね)  そう思いつつ、私は静に拳を握る。都合いいけどさ、自分に対する理不尽は許せないタイプだから。 「芽衣、ちょっといい?」  そう言ってカナンがブースに入ってきた。文句でも言いに来たの? とか思ったから、収録中って事を言って出て行かせようと思ったけど、カナンの方が早かった。  私の事、手を引いて無理矢理連れていく。 「少し失礼しますね」  カナンによって私はブースから連れ出されてしまった。

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