こうしたことを受けて、④の大きな出来事の発生には、登場人物が合流することになる大きな話の流れがここで具現化することになる。これが三つのうちのタイムライン「ストーリーという出来事」そのものとなり、先ほど話した「メインイベント」という潮流となる。この項目は山場の中では中間ほどの標高を持ち、やがてエベレスト級の山場を表出させるための手段としての第二段階としての大規模な事件となる。つまり、主人公をも巻き込む登場人物たち、またはその世界観に見合ったすべての生きとし生けるものに対する大問題、または危機だ。ハリウッドでは世界の危機として描かれることが多い。 この「メインイベント」は何が、または誰が引き起こすのか? それは基本的には敵役となる登場人物による目論みや陰謀、企みなどの顕在化を意味するが、同時にその世界観の変遷や変動も意味することがある。ストーリーを何かしらの形で変化させながら一つの結末へと持っていくためには、主人公にとって不利な立場を取るサイド、つまり、敵の目論みの進行が先行した方が主人公としてもストーリー上で動き出す動機を生じやすくさせることができるからだ。ストーリー上で起きた問題を解決するには、敵の目論みを逆転させるための主人公の動機付けが必要になるからだ。逆に言えば、敵の目論みが表出化しなければ、主人公に現状を打開するための動機付けが生まれずストーリー上で起きた問題、つまり山場の収束に事欠くからである。どちらにせよ、ストーリー上の問題となる山場は敵サイドが引き起こす役割であり、それを逆転させるための打開が主人公、またはそれに付随する味方サイドの役割となる。言ってしまえば、敵とはトラブルメーカーであり、主人公はそのソリューション役を買って出ることになるわけだ。 そうして、問題の解決方法を探す旅に出た末に導き出された真相の露呈となる展開が⑤の出来事の発端の解明である。ここでは、主人公の旅路が一つの到達点として描かれることになり、ここで出来事が起きた真相と主人公の関連が顕現することになる。つまり、なぜ主人公がストーリーの流れに席巻されてまで関わる必要があったのか、その本当の理由がここで明かされるのだ。その関連性が白日のもとにさらされることになって、そこで改めて、状況打開のための主人公の新たな決断と行動が決定づけられることになる。 そこに主人公の動きが生まれた時、ストーリー上の流れを収束させる具体的な解決方法が実行に移されていくことになる。これが⑥の決断であり、問題を解決するために最終的に敵と対峙する宿命を持つことになる。 ここまで来ると、ストーリーとしての構造に組み込まれるからくりは明白になり、あとは主人公と敵の対立の果てに待ち受けるクライマックスを描くのみとなる。ただし、この⑦の事態の収束は主人公にとって最大の危機となる場面が描かれる局面でもあり、今までのすべての伏線が明るみに出て、終わりへと向かうための衝突がストーリー上における最大の山場となって一気に収束していくことになる。つまり、問題を起こしたすべての要因をひとまとめにして解決するために、主人公と敵の決着がつけられることになるわけだ。この問題の収束には三つのタイムラインのうちの一つである「キーポイント」が状況打破のためのカギとなる。要はこれが敵に主人公を打ち勝たせるための、いわば武器としての役割を担う。
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