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アルストラ外伝~ナナイメモリーズ~

読了目安時間:2分

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 ラジオからニュースが流れる。小国同士で起きた戦争が終わって暫く立つが、行き場を無くした孤児の増加が問題になっているという内容だった。  そのニュースを聞きながら今日の予定を考えるナナイ。エンプレスを駆り、何処かへ行こうかと考えたが、ナインセラフがいる。彼女を置いておくわけにはいかない。  ちらりと彼女の方を見ると、ずっと立ったまま朝食を眺めている。 「……座りなさい、ナインセラフ。一緒に食べましょう」  言われるがまま座ったナインセラフはナナイの動きを模倣し、たどたどしい手つきでトーストを持ち、小さく口を開いてトーストを食べる。  サクリ。  小さな音と共に、口に含むナインセラフ。 「口を動かす」  ナナイに促され、ナインセラフは咀嚼を始める。  しかし何時飲み込んでいいのかわからず、静かにトースターを口の中に入れたままだ。  ナナイはナインに見せるようにしてトースターを食べる。真似をするナインがトースターを飲み込んだ。 「……どうだった?」 「……これが『美味しいご飯』なのですか?」  やはり感情はおろか、五感の理解も浅い彼女にはまだ難しいか。知識よりも先に、感覚や情緒を学ばせなければならない。手帳を開き、教えるべき項目を書き加えていくナナイがふとナインセラフを見る。  無表情でトースターを口に入れ、咀嚼して飲み込む動作を繰り返しているナインセラフは、困惑しているかにも思えた。  無気力な訳ではない。表現する手段を持ち合わせていないだけで、彼女は与えられた使命に準じて、必死に学ぼうとしているのだとナナイは気づいて、ああっと声を上げる。 「……教える側が先に凹んでどーする!」  教えられるものがあれば答える。なければ一緒に学ぶ。  伊達に千年生きてきたわけじゃない。何年かかろうと付き合ってやろうじゃない。可愛い妹の為ならば!  ナナイが自分の頬を叩いて喝を入れた瞬間、ナインセラフの顔が真っ青に変わる。 「……? ……!?」 「どうしたのナインセラフ? まさかのどに詰まらせたの!?」  ナナイは慌てて水を注いだコップをナインセラフに渡すも、彼女はコップを見たまま動かない。 「どうしていいのか、わからない子に渡しても意味なしッ!!」  自らの過ちに気づいたナナイがコップを奪い取り、水を無理やり飲ませて流し込ませる。  反射的にせき込むナインセラフ。彼女の背中をさするナナイ。  シンアクターが簡単に死ぬとは思わないが、万が一ナインセラフに何かあれば家族たちに申し訳が立たない。  ホッと胸を撫で下ろした直後、島内を哨戒しているミニオンの警報が屋敷に届く。 「今度は何ー……?」  音と光のシグナルでナナイに訴えるミニオン。何かが浜辺に流れ着いたらしい。  朝からなんて騒々しいのか。 「行くわよナインセラフ」 「わかりました」  ナナイはナインセラフを引き連れ、浜辺へと向かった。

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