ワールドリセット|恋人と人間関係が毎日入れ替わるセカイ

10月7日(火) 朝 自室 【衝撃】

 二つの世界が判明してから日目。  今日はA世界のはず。  15分にセットしていたA世界の目覚ましがオレを起こすのは分後。  なので時間はまだ10分。  少し早く起きてしまったのは、アナザーソウルの動きが気になっていたからだ。  昨日、綾瀬はアナザーソウルが絵依と別れ話をしていると予測していた。  もしその予想が当たっていれば、このA世界のスマホにメモが残されているだろう。  オレは恐る恐るアナザーソウルが残したメモを確認した。  そして、愕然とする。  コンクリートの塊で頭を叩かれたようなズドンと重い衝撃を受ける。  多少の想定外のことは覚悟していた。  だけど、これは多少じゃすまない。  連日のショックに、頭が真っ白になる。  なんだ……これは…… |これから書くことは嘘でも冗談でもない | |落ち着いて読み進めて欲しい | |昨日、絵依と別れ話をした | |それが火種となっているのか |朝、国府宮駅のホームで |絵依と美音がケンカをしているはずだ | |電車がホームに入線する直前に |二人は取っ組み合いになり |ホームから転落するだろう | |そうなる前に、二人のケンカを止めろ | |ケンカを止めるのが難しいのなら |せめて二人を助けろ | |オマエにしかできないことだ | |早く、駅に向かえ!!  そこでメモは終わっていた。  アナザーソウルは予言をメモに残していた。  時計を見る。  25分。  残されていたメモが本当かどうかなんて考えている余裕はない。  オレは急いで階段を駆け下りて外に飛び出し、絵依の家のチャイムを押した。  インターホンから絵依のお母さんの声が聞こえたので、絵依がまだいるか確認する。  すると10分くらい前に出たとのことだった。  家を出るのが早すぎる。  別れ話をしたオレと顔を合わせたくないから、早く家を出たのだろうか?  ……嫌な予感がする。  オレは家に戻り、すぐに着替えて国府宮駅へと向かった。  駅に着いたのは35分だった。  オレは急いで駅の階段を駆け上がりホームへと向かう。  すると…… 「申し訳ないですけど、先輩のことはずっと好きではありませんでした!」 「あいにくね、わたしも同感よ!!」  アナザーソウルの予言は残念ながら正しかった。  何が、どういうキッカケで、どちらが先に仕掛けたのかわからないが、結果としてケンカが始まったことに違いなかった。  ただ、ケンカが始まってそんなに間もないのだろう。  辺りにいる他の客は二人の方に視線は向けているものの、止めている人は誰も居なかった。  そんな二人に一人の女子生徒が近寄っていく。 「やめなさい、二人とも!!」  綾瀬だ。 「こんなところでケンカするなんてみっともないわ。せめて駅の外でやりなさい!」  ホームから転落することを知っているのなら、もの凄く的確なアドバイスだ。  もしかしたら綾瀬のスマホにもアナザーソウルからのメモが残っていたのかもしれない。  そうでなければ、小宮が最寄り駅の綾瀬がここにいるはずがない。 「綾瀬さんは関係ないでしょ!」 「余計なお世話です!!」  ところが、綾瀬の仲裁は逆効果だった。  二人は余計に興奮してしまっている。  非常にマズイ!! 「一度、この娘とは白黒つけないといけないって思っていたのよ!」 「それはこっちのセリフです!!」  綾瀬の登場で火が付いてしまった二人は、とうとう互いの両腕を相手の肩に乗せて組み合ってしまう。  その拍子に二人は駅のホームの端までもつれ合い、落ちそうになっていた。  そして同時に電車が入線しかけていた。  アナザーソウルのメモ通りになってしまっている!  オレは咄嗟に二人を助けるために走り出す。  落ちそうになっていた二人の腕を掴み、ホームの内側へと引っ張る。  間一髪セーフ。  ……だったが、二人をホームの内側へ引っ張り上げる力の反作用が発生し、オレの体はホームの外へと向かった。  しかし、オレは必死に踏ん張った結果、なんとかギリギリ踏みとどまることに成功した。  ……はずが、丁度その時、まさに国府宮駅を震源地とする巨大な地震が発生した。  激しい縦揺れのせいでオレはバランスを崩し……ホームから転落した。  その時、綾瀬がオレを引っ張り上げようとこちらに走って向かってくる。  綾瀬は体を乗り出し手を伸ばすが……その瞬間オレは強い衝撃を受け、意識がプツリと途絶えてしまった。

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