これで終わりじゃないよね?

読了目安時間:4分

エピソード:3 / 19

こいつは誰だ?

「神」  それは絶対的な存在であるのに、何故か数え切れないほど出現してきている。「神」は人間が創り出したものなのか? 人はどうしようもなくなった時、誰か、何かに救いを求める。その結果というワケか?  実際は現実にいたのかも知れないが、それを知る術はないだろうな。  しかし、俺はその証明を成せるかもしれない。  何故なら、今俺の目には、暗闇に浮かび上がる真っ白な背広を着た謎の紳士が立っているのがはっきりと映っているからだ。何故かバンダナのような帯状のもので目隠しをしているが、見るからに紳士。俺の底知れぬ主観がそう言っている。  そして、唐突にその男は俺にこう言った。 「君が望んだ「答え」を知る者が私だ」  ――それを聞いた瞬間、急速に知的好奇心が湧き上がってきた。  突然のことに平常心を忘れてしまったのだろうか? しかし、何物にも代えられないこの気持ちは正直だ。 「あんたは一体何者なんだ?」 「ん? 先程述べたはずだが?」 「――ああ、そうだったな。あんたは俺が望んでいる「答え」を知る者だ」 「その通り。なら、分かっているのに何故もう一度聞いた?」 「いや、分かっているというか何というか……」 「確かめたかったから。か」 「……そうだよ」  何だ? この全てを見透かしているかのような物言いは。――これは夢なのか? 「……君は今、自身の置かれている状況を夢だと思ったようだが、これは現実だ」 「これが現実? そんなわけが無い。ついさっき俺は眠りに着いたはずなんだ。考えられるとしても意識のある夢のはずだろう?」  そうだ、俺は今夢を見ているんだ。だってさっきまで寝ようとしていたじゃないか? いつものように考え事を張り巡らせながら、まどろみに落ちるまでを数えていたはずじゃないか? そうする内に、俺は眠ったんだ。  眠った後には、「夢」か「現実」のどちらかが待っている。  これが現実なのだとしたら、今俺の目に見えていなければならないのは自分の部屋だ。でも、目に見えているのは見慣れた天井などではなく、ただ真っ暗な空間と、そこに浮かび上がる得体の知れない人物。  なら、これは現実じゃない。……夢だ。 「私は全てを知る者。君は、この私のような存在を心のどこかで望んでいた。だからこうなった。故に、これは現実だ」 「……俺にはあんたの言っていることが理解出来ないな」  俺の願望が具現化されたとでも言うのか? でもそれが現実だって? ――意味が分からない。 「――そうか。君にはまだ少し時間が必要なようだな。この状況を受け入れるしかないということを知るまで、私は姿を隠させてもらうことにしよう。いろいろと模索してみるといい。しかし、そこには君が望むようなことは何も無いだろうがね」  そう言うと、「答え」を知る者は煙のように消えていった――。 「世の中も捨てたもんじゃないな」  だってそうだろう? 俺は、いつからか考え続けてきた「生きる意味」を知ることが出来るのだから。しかも何の前触れも無く、突然にだ。これこそ都合の良いことだろう。  しかし、さっき全てを知る者が言ったように、これは俺の願望が生み出した産物なのかもしれない。もしくは夢。だということを忘れてはいけない。これらから得られる事柄は、全て都合の良いものであると思うから。――そう、現実とは違う。 「じゃあ現実って何なの?」  なんだ? 頭の中で声を感じる。幻聴か?  ――まあいい。そんなことよりも本当にここはどこだ?  少し落ち着いて状況判断してみると、瞼を閉じたような感じだ。言い換えてみると真っ暗……ってことなのだが、自分の体ははっきりと認識できる。さっきの全てを知る者と名乗っていた紳士も、はっきりとその存在を確認することが出来た。  そして、何より意識がある。俺の五感はフルに活動している。今ならアマゾンの奥地に放り出されても生きていける。――なんていうくだらないことも考えられる。  でもそんなことは出来るわけが無いので、とりあえず俺はケータイを探した。  今の時代、ケータイがあれば何とかなる。世の中にはひと時もケータイを手放したくないなんていう輩もいるくらいだ。110番くらい掛けてみよう。  ――しかし、携帯という物体を確認することは出来なかった。いや、そもそも周りには何も無いのだ。 「くそ、これじゃ何も出来ないじゃないか」 「何も無い」  というのはあまり居心地の良いものじゃない。常に何かに囲まれて生きている俺たちにとっては苦痛でもある。「人は周りに生かされている」と、どこかで聞いたことがあるが全くその通りだな……。 「……ハッ!」  仕方なく、俺は歩くことにした。どこへとも続くと知らぬ暗闇の中を……。

コメント

コメント投稿

スタンプ投稿


このエピソードには、
まだコメントがありません。

同じジャンルの新着・更新作品

もっと見る

  • 真夜中のパ・ド・ドゥ

    妖怪ものです。だいたい男女コンビのお話

    1,200

    0


    2021年5月28日更新

    この世界には、『月』がふたつある──── 私立結豪学園に秘密裏に新設された学科──仮称陰陽科、通称F組。 一部の所謂『視える』人間やアヤカシモノたちが集うこのクラスで、主人公・御影縁《みかげゆかり》は無事『家族』に認めてもらうことができるのか? なぜか主人公に冷たい隣席の男子・寒凪葵《かんなぎあおい》は何を思いF組に入学したのか? 常に主人公と共にいる『影吉《かげきち》』の正体とは? そしてそれらを作者は書き切ることができるのか? 乞うご期待! 一部別所でちまちま連載していたものの転載なので短いし細切れです。カクヨムでも投稿しています。 第0章は番外編のようなもので、本編の過去軸の話です。主人公は基本いません。

    読了目安時間:27分

    この作品を読む

  • ❖ 忌能力者の死面楚歌 ❖

    死力の限りを尽くして、命乞いを始めよう。

    9,700

    40


    2023年2月6日更新

    『 あたりまえ 』の幸せに気付く、おかしな家族の物語。 現代を生きる道理では説明のつかない、人知を超越した存在【 怪異 】 その存在は、空想、伝承、或いは都市伝説として、この世界に息づいている。 人々は、その存在を前にすると、口々にこう叫ぶ。 【 怪物《 バケモノ 》 】とー。 例え、それが、【 特異体質を持っただけの人間 】だとしても、 人知を超越した力を持ってしまえば、結果的には同じことである。 そう……この世には、怪異と呼ばれる、脅威の存在とは別に、 特別な力を持っただけの人間も、稀に生まれることがあるのだ。 そういった特別な人間は、怪異にも人間にも属すことは出来ない。 あらゆる者から忌み嫌われ、【 忌み子 】と呼ばれる存在となる。 人に捨てられ、実験体にされ、表世界で生きることを許されない。 そんな孤独を死ぬまで強いられる者たちが、この世界には存在する。 主人公【 不死月 灰夢( しなづき かいむ ) 】も、 生まれながらにして、不老不死の力を持った忌み子の一人である。 灰夢は、そんな自分の体を縛る不死の呪いを解くために、 『 使えば最後、その者は反動で死に至る 』と言われる、 不可能を可能にする魔導書【 死術 】を探して生きている。 そんな灰夢が、自分の過去と同じ境遇の子供たちを、 会得してきた死術を駆使して、死に物狂いで救い出す。 『 大丈夫だ。俺はぜってぇ、死なねぇから…… 』 これは、そんな影に潜む ” 彼ら ” の、今を生きる物語……。 連載再開いたしました!(∩´∀`)∩ 読みやすい内容となっておりますので、 是非この機会に一章だけでも、お試しください。 くだらない日常に、ちょっとしたスパイスを…… あなたの日々に、少しだけでも笑顔が届けられますように。 至らない点も多くございますが、 何卒お楽しみくださいませ。 大神刄月より。 Twitterも、よろしくです! 【 https://twitter.com/okami_haduki 】 ※ この物語は、投稿サイト 【小説家になろう様・カクヨム様】でも掲載しております。

    • 残酷描写あり
    • 暴力描写あり
    • 性的表現あり

    読了目安時間:48時間30分

    この作品を読む

読者のおすすめ作品

もっと見る

  • 女子高生白河なずなは女子小学生がお好き!

    女子小学生のことが好きな女子高生の日常

    195,100

    4,254


    2023年2月5日更新

    女子高生である白河なずなはかわいい女子小学生が大好き! 最近一緒に暮らし始めた妹の柑奈を溺愛している その妹や、たまたま出会った女子野球チームの女の子を通じて、小学生の知り合いが徐々に増えていく かわいい女の子に囲まれて、今日もなずなは幸せです! //カクヨムにも投稿しています //表紙イラストはRyuka様(Twitterアカウント:@Ryuka1229)2020年08月20日更新

    読了目安時間:13時間17分

    この作品を読む

  • ウサギ印の暗殺屋~13日の金曜日~

    少しダークな、組織もの現代ファンタジー

    597,495

    2,090


    2021年1月14日更新

    日本にある複合企業《P・Co》。その末端に、《Peace×Peace》――略して《P×P》という、ファッション部門の事務所がある。 通常業務は、服飾商品の開発と販促営業。その裏で、変則的に本社から送られてくる特務……主に、暗殺業務を請け負っている。 幼少期、とある組織の人体実験によって“蛇人間”になった潤は、《P×P》で副所長を務めていた。 所長は男女問わず複数人の“カノジョ”がいる、バイセクシャリスト。 長身細身の紫頭や、怪力女や、その怪力女に盲目的に恋をしているクールビューティー(?)な後輩女子や、怪力女と犬猿の仲の美形白髪頭や、その相方のモブ顔や―― そんな愉快な仲間たちの、少しダークで、時折くすりと笑える日常。 そんな日常に現れる、潤の複製少年と少年愛好家の女。 食べたり飲んだり笑ったり怒ったり喰べたりする、ちょっとハードな日常の一部分。 ◇◆◇ ブックマーク、コメント、スタンプなどを頂けると跳んで喜びます。 ご新規読者様、大歓迎です! ※作品の一部に、LGBT(性的少数者)、虐待、暴力、残酷な表現が含まれます。 苦手な方はご注意ください。 本作はどちらかというと、女性向け(らしい)です。 ※小説家になろうからの転載です※ 2017年12月27日に完結した作品です。 (なろう版とは間違い探しレベルで違う箇所があります) ※挿し絵も自作※ なろう版より、挿し絵も増えています。 ※※※※ ありがたいことに 「セシャトのWeb小説文庫 a la carte dans Novel up」 https://novelup.plus/story/127083484 にてご紹介していただいております。 作品募集もされているので、作品紹介に興味のある方は是非覗いてみてくださいね!

    • 残酷描写あり
    • 暴力描写あり

    読了目安時間:8時間33分

    この作品を読む