異界心理士の正気度と意見 ―いかにして邪神を遠ざけ敬うべきか―

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不定の狂気

当時現場にいた者の証言。 「堤防でね。ヨットハーバーの脇。子供と歩いていた。  その時は船を持っていたんだけど、もう乗れないな。怖くて。  海が爆発したみたいに、丸く盛り上がって……海底火山かと思ったけど、近いでしょ。そしたら、それが生き物だってわかって……いや、生き物だって言っていいのかな。  ビルみたいな……それほどじゃないな。お台場にガンダムの実物大あったでしょ? あれよりちょっと大きいくらい。  それが生き物だって思ったのは、タコとかナマコとか、魚でもないそんなのの中間の皮膚を見たからで……その時、もちろん自分の他にもいっぱい見た人がいるんだから、そっちにも聞いてほしい。じゃないと何を見たかなんて言えないでしょ。  覚えている範囲でいい? ええ、見たことは見ましたよ。思い出したくはないけど、忘れられない。いや、違う。あれはやっぱり見ちゃいけなかった。ねぇ、わかるでしょ?  あれは神とか、それに類するなにかだと思います。人間みたいに意思があって、でも、大きくて、怖い……。見ること自体が罪になるんです。だって、そこからみんなおかしく……。ああ、怖い。だって……そこからみんなおかしく、んは、なった。嘘だって人多い、けど、見たし。  見ちゃいけなかったのに。見た。みんなおかしくなった、て、しまったのはナマコをあんまり食べないからで、わたしは、ナマコが好き、大好きだったから、食べてて、あんまりおかしくならないで済んだんです。でもみんなはおかしいのが普通だから快適なんだろうな。いつもわたしが感じているような不安感、ね、てのひひらとかあしのううらに汗をすごいかくんです。みんなもナマコを食べれば、正常になるでしょう。でも最新式の科学ならナマコの遺伝子をみんなに注射してなんとかなると思う。でも、今は違法だって先生が。法律を改正してナマコを配らないといけないんだ!  落ち着けって? 落ち着いていますし、論理的にしゃべっています。休むべき? 失礼な。インタビューはそちらから言ってきたことで……」 (某病院精神科にて2018年511日収録)

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