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自動車教習所で泣いていた彼女を助けたら学年アイドルがグイグイ来るようになった!?

読了目安時間:5分

6 高速教習・彼女とドライブデート

 強制名前呼びイベントとか、ちょっと恥ずかしい昨日の出来事から一夜明けて今日は日曜。自宅で早めの昼食を摂って教習所へと向かう。午後イチの高速教習を受けるためだ。今日俺には一つの期待があった。高速教習も野々原さんと一緒だといいなと。  果たして、配車のカウンターに野々原さんは現れた。彼女に見えない角度で小さくガッツポーズをしながら、昨日の名前呼びは流石に唯ちゃんの前だけだろうと『野々原さん』てあいさつをしようとしたら 「こんにちは、あ、アキくん。今日もよろしくお願いします」  先に名前呼びされてしまった。俯いたことによってサラサラと前に落ちる髪の間からチラッと見えた耳が真っ赤だったが、これも夕日の……って、そんな訳ないよな。  照れるなら名前で呼ばなきゃいいのに。と、思いつつも 「こちらこそよろしく。く、くるみ」  と、彼女に倣ってしまった。俺も顔が熱い。俺たちは一体何をしているのだろう?  くるみと一緒の高速教習は控えめに言って最高だった。  昨日怒っていたくるみも今日は機嫌が直ってるし、公園での一件が良かったかな。  ありがとう唯ちゃん、唯ちゃんの転んだ痛みは無駄にはしないからね。  本来教習時限的には2時限らしいのだけど、遠出になるので1時限の余裕をプラスして3時限連続だ。もちろん3時限も運転を続ける訳にもいかないので、1時限の余裕の分は分割してパーキングエリアとかで休憩を取る。    半日近くのドライブ(ではないけど)にデート気分になってることはくるみには絶対内緒だけど。  お互いに名前呼びしながらご当地キャラのキーホルダーを一緒に見ていた俺たち。あ、なんか呼び方に馴染んできたかも? 俺もくるみも結構自然にお互いを呼んでるような気がする。  俺たちのやり取りを見ていた微妙な年齢の教官が、 「カップルで教習所に通って来てるのかい?」  と、話しかけてきたので慌てて 「いえ、俺たちそんなんじゃ「いいの!」」 「いいのいいの」  と、手を振って「違う違う」とジェスチャーしながら 「友達やカップル同士が一緒に教習受けたいって希望に柔軟に対応してるからウチは」  いや、そっちじゃなくてね。「そんなんじゃ」って言ったのは間柄を否定したかったというか、いや否定したい訳でもないけどさ。  くるみは何も言わずニコニコしている。否定しないの? いや、嬉しいけれども。  それと「いいのいいの」と朗らかにしてたのに今小さく舌打ちしなかったか? アンタ!?  教習所へ戻る途中の最後の休憩。道の駅の休憩スペースに並んで座る俺とくるみ。  教官は集合時間だけ告げてどこかへ消えて行った。10分かそこらなのにどこ行くの?   「あーまた明日からギア付きですね」  と、くるみが苦笑いする。  そう、昨日のセット教習も今日の高速教習も全員オートマなのだ。昨日のゆるふわお姉さんも原簿の色がオートマ限定だったしね。  明日と言うか次の時限からはまたギア付きだ。俺もクラッチとか忘れないようにしなきゃ。それほどまでにオートマは楽だ。 「私、お父さんの仕事手伝いたいんです」  オートマが楽なのに、女の子がわざわざギア付きを運転する理由……以前のことがあってその話題には触れないようにしていたのだが……くるみが話始める 「お父さん、花屋をしてるんです。それを手伝いたくて」  なるほど、そうだったのか。花屋にある小さなトラックをくるみは運転したくてギア付きで頑張ってたんだな。乗用車はほぼオートマだけど商用車、特にトラックはまだまだギア付きが多いと聞く。  かく言う俺はと言えば「男だったらマニュアル」とかどうでもいい理由だったりする。それに、限定付けるといざという時にとか、あるかどうかもわからない「いざ」のために限定を付けなかったがたぶんオートマしか運転する予定はないんじゃないかな。  でも、その理由だったら何故先日のような反応になるのか、悪いことではない筈なのに。 「ってことは自宅が花屋さんなの?」 「いえ。()()母の実家である幼稚園の近くに住んでますし、お父さん…いえ父の花屋は元々駅前のコンビニの……」  と、言いかけてハッとする。 「ご、ごめんなさい。こんな自分語り始めちゃって」  いや、大丈夫と言おうとした時、 「じゃ、そろそろ行くよ~」  と、遠くから声が掛かってしまった。  帰宅する電車の中で先ほどまでのことを反芻する。  自分の父親のことを話す時「お父さん」から「父」と言い直されたことにちょっと距離を感じて寂しくなってしまったこと。  母方の親戚と同じ苗字であることから何か事情があるのではないかと推測されるのだが今の自分では踏み込めないし、踏み込んでいい訳でもないだろう。  だが、それを差し引いても今日は楽しかった。楽しかったのだが、  そもそも俺はくるみとどうなりたいんだろう?  この先、教習所でたまたま会うことがなければ、今日が最後だったかも知れない。連絡先を交換しなかったのが悔やまれるが、思いついたとしてそれを言い出せた気がしない。  幼稚園に行けば会えないこともないとは思うが、それこそストーカーの所業だよな。  それに、来春からの進路は? とか、そういやどこの高校かも知らないことに気付いた頃に、自宅から学校からも最寄りの駅に着いた。 何やってんだよ俺は…と、自分にイラつき毒突きながらホームに降り立って「(あ、シャー芯切らしてたんだった。買って帰らなくちゃ)」と、思い出した。  文房具屋に寄るのも面倒だし、駅前のコンビニで買って帰るか。と、思った時に『駅前のコンビニの……』と、言いかけたくるみの言葉をふと思い出した。  まさかな、とは思ったものの、何とはなしにコンビニの隣の店を見るとハンコ屋だった。今時ハンコなんて100均でも売ってるし、商売になんのかなぁなんて余計な心配をしながら更に隣を見ると……花屋だった。    教習所の最寄り駅の駅前にあるコンビニの近くには、昨日肉まんを買う時に見た限りじゃ花屋なんてなかった筈。まあ地元の駅前のこのコンビニも、しょっちゅう利用してても隣がハンコ屋だなんて今日初めて認識したくらいだから、当てにはならないが。  いやいや……と、頭を横に振りながらその花屋に目を向ける。 「え?どう言うことだ……」  そこには『円谷生花店(つぶらやせいかてん)』と書かれた看板が掲げられていた。

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