やがて世界の終わりに君を撃つ【第二章連載中】

読了目安時間:12分

26.ココア/聖夜の殺人鬼

 ‡  その日、瑞木依緒は誰もいない部屋で目覚めた。珍しいことではない。同居人がいる確率は半々くらいだ。ただ、がらんとした十三畳のワンルームは、タイマーで起動した暖房の効きも悪く肌寒い。殺風景な部屋の景観のせいかもしれない。もう少し暖色系の家具をおくべきだった。  虫の知らせというのだろうか。良くないことが起きている気がした。普段は寝起きの悪い依緒だが、こんな日は目が覚めた瞬間から頭が冴え渡っている。奇しくも生家で嫌というほど叩き込まれた習慣が生き残っているのだろう。不可視の未来などあってはならない。過去も現在も、未来すらもその手に握っていなければ気が済まない。気の狂れた一族だった。 「……がっこう」  どれだけ大人びていたところで依緒は小学五年生の女児である。小学校に通い、社会に順応していなければならない。しかし、一拍置いてその必要のないことに気付く。壁のカレンダーを一瞥して小さなため息。今日から冬休みだ。ついでにクリスマス・イヴでもある。街はたいそう賑わっているのだろう。あの家から出て、クリスマスが世間において大きなイベントであることを知った。その楽しみ方だって。  しかし、今の依緒は聖誕祭などに興じている場合ではない。 「エイ? いる? どうせいるんでしょう。殺されたのは()()()()()()だけ。つまり、私にとっては元の木阿弥ということ……」  沈黙は答えない。ワンルームの空気はぴくりとも動かない。停滞した冷たさが息を潜めている。それなのに、依緒はあたかも誰かの話を聞いているかのように眉を顰める。口を尖らせる。目を伏せる。首を傾げる。相槌を打つ。ここには依緒にしか聞こえない声があり、意思が存在する。 「そうよ。けしかけたのは私。……あら? それはどうかしら。あなたが悪いのではなくて? ツークツワンクだって、いずれは駒を動かさなくてはいけないのだから。私が代わりに進めてやっただけ」  手櫛で髪を梳かしながら、依緒はキッチンへ向かう。フローリングの床はひんやりと冷たい。寝巻きと一緒にそろえたスリッパはどこかへ行ってしまった。身の回りの整頓は苦手だった。  ケトルで湯を沸かし、二つ並んだマグカップのひとつを棚から出した。今度は別の棚からバンホーテンのココアの缶を出して、蓋に手をかける。 「……うるさいわね! ココアくらい自分で淹れられるったら。粉を溶かすだけじゃない……あっ」  蓋を開けようと力を込めた手からココアの缶がすっぽ抜けた。缶は高いアーチを描き、ココアパウダーは美しい扇を成してキッチンマットに落下する。 「……」  依緒は憮然としてその残骸を眺めた。 「…………ま、こういうときもあるわ」  缶を拾って中に残ったココアを確かめる。ちょうど一杯分ほど残っていた。 「ほらね。日頃の行いが良いのよ、私。帰りの会でも先生に……。うるさいったら。あとでちゃんと片付けるわよ。はあ? あとでって言ってるじゃない」  散らばったココアを避けながら、今度は冷蔵庫から牛乳を。まだ開けたての牛乳だ。これがフラグであった。勢いよく牛乳を注ぎ、お約束のように派手なこぼし方をした。飛び出た牛乳はカップを飛び越えメラミンのキッチン台へ天の川を作る。 「……」  依緒は首を捻った。 「……………………まあ、こういうこともあるわよ」  布巾で牛乳を拭き取ると、その布巾をそのままシンクへ投げ込む。あとで洗おうと考えているのだろうが、今にその存在を忘れてしまうだろう。 「ああもう! 人の頭の中で大声出さないで! まったく、生きてても死んでてもうるさいんだから……」  ココア。牛乳。砂糖を忘れていた。依緒は細心の注意を払って陶器の容器から砂糖を掬った。今度こそこぼすわけにはいかなかった。こぼさなかった。依緒はひとり満足げに笑顔を浮かべた。ふふん。俗にいうドヤ顔であった。これまたお約束とばかりに砂糖と塩を取り違えているわけだが、気付くよしもない。 「……なあに。どうしてココアを淹れるだけであなたと()()()必要があるの。そんなに軽々しく使う力ではないでしょう。だいたい、そんなことしたらただでさえ複雑な因果が収集つかなくなるわよ。……クソ、マジでうっせぇな」  繰り返すようだが、どんなに大人びていても瑞木依緒は小学五年生の女児である。 「私? 私はどっちでもよかったのよ。教団を避けられさえすれば。私が生きている限り、イツキはあなたを完全には殺せない。イツキは私を殺せない。苗代沢を使って殺せるのはあなたのアバターだけ。そうでしょう? ……だから、あなたのだーいすきな苗代沢()()の記憶を巻き添えにしないためにも、さっさとイツキを殺せばよかったのよ。……はあ? 嫉妬? どこが? 何が? キモいんですけど? ウザ。次生き返ったら即ブッ殺すから。殺す。は? 死ね」  さらに、瑞木依緒は反抗期真っ盛りである。  かちんと音がしてケトルのランプが消える。湯が沸いたようだ。依緒はぶつぶつと文句を言いながらケトルに手を伸ばす。その取っ手を掴もうとした瞬間、依緒の手がピタリと静止する。それだけではない。全身が時間でも止められたようだ。  その不自然な静止は一秒にも満たない。そのあとはごく滑らかな所作でカップに湯を注ぎ、ココアを完成させた。香り立つココアを前に逡巡し、苦い顔をしてそのまま中身をシンクに捨ててしまう。 「……はあ」  床に散らばったココア、牛乳を吸ったままの布巾、たった三日で荒れたワンルーム。空き巣にでも入られたような様相だ。それらを順に見回し、依緒はがっくりと肩を落とす。  ただし、その依緒は、数秒前の依緒とは別の依緒だ。 「依緒? 聞いて──ないな。ということは、当分戻れないか。はあ……」  布巾を洗い、部屋に埋もれていた掃除機を引っ張り出す。掃除機は小学生の体では重労働になるほど深いところに埋まっていた。一昨日に依緒がどうしても鍵盤ハーモニカを弾きたくなって収納をひっくり返した跡だ。その鍵盤ハーモニカは今、なぜか浴室に放置されている。 「どうしたものかなぁ……」  ツークツワンクは解除され、失われた事実は変わらない。記録された過去は取り消せない。変えられない。変えられるのは未来だけ。 「…………」  取り消せないのはキッチンマットの繊維の奥に入り込んだココアも同じこと。また買い直すしかない。()がやらなくてはいけないことは山積みだ。  ‡  ぼんやりとした絶望と輪郭のない喪失感が己に対する不信を募らせている。 『──確実に殺したと思うんですけどねえ』  電話の向こうでイツキが不満そうに言った。俺はピアスの片割れの石を夕日透かしながら、それを話半分に聞いている。家の中でこいつの話を聞きたくなかった。そもそも、電話を取るべきではなかった。 『先輩がいたおかげで、化物は人間としての縛りを受けていたじゃないですか。ということは、人間が死ぬ条件で殺せるはずなんですよ。偶然とはいえ、ヘッドショットですよ。死んでるでしょう』 「へえ。それで?」 『……それが、ボクがウチの連中総動員させても死体も痕跡も何も上がらないんですよ。おかしいでしょう。先輩、何か知りませんか。手がかりを持ってたりしませんか』 「俺は何も」ピアスをポケットに突っ込む。「知らないし、持ってない。ついでにあんたの話も聞きたくないかな」 『ふふっ。嫌われたなぁ。あのときだって、まさか海に落とされると思ってなかったし。……理由を聞いても?』 「胡散臭いから」  イツキは電話の向こうで乾いた笑い声を上げた。 『ご冗談を。理由、自分でもわからないんですよね?』 「そういうところが嫌われるところなんじゃないかな。友達いないだろ」 『はい。いませんが困らないです』 「わかった。もう切るよ」 『ちょっ』ここでイツキが初めて慌てた様子になる。『あのっ──えっと、ご、ごめんなさい。ごめん! 先輩。切らないでください。困ってるんです。ボクは、えーっと、先輩に手伝って? ほしくて。本当は、あそこであいつが死んだのは事故なんです。あんな()()()殺し方しちゃいけなかったんです。いや完全にボクのやらかしなんですけどね! あっはっは』 「ふーん」  ベランダから見える景色は夕星も顔を出した赤と青のせめぎ合い。そろそろ買い物にでも行こうかな。 『何ですか、あれですか、先輩、怒ってます? なんで? 怒る理由ないですよね? どうせ何も覚えてないでしょ。だったらいいじゃないですか! たった一年とかそこらの付き合いの化物、先輩の大事な人生から排除できてよかった〜くらい思いましょうよ。覚えてないのをボクに当たら』  通話を切った。 「…………」  買い物に行かないと。  近所の商店街をスルーし、フラフラと駅に向かった俺は理由もなく電車に乗っていた。あてもないのに繁華街の方へ向かっていた。そこはお世辞にも治安が良いとは言えない、どちらかといえば歓楽街寄りの地区だ。目抜き通りはすっかり日が落ちた今でもネオンの灯りで昼間のように明るい。そういえば、初めてイツキに会ったのもこの辺りだった。  見えない力に引き寄せられるように歩きながら、俺はここ一ヶ月の出来事について順番に思い出していた。その結果として思い至ったのは、「超常や怪異の類は紛れもなく実在する」ということ。やけにすんなり受け入れられた。そうじゃないと説明がつかないことが多すぎるというのもあるが、神秘症の現象群を現実にするにあたり障害となっていたものが取り払われたように感じた。 「……誰を忘れたんだろうな」  ポケットに突っ込んだままのピアスに触れて確かめる。ちゃんと入っている。失くすわけにはいかない。ピアスホールのない俺の耳に容赦なく突き刺さっていたほどだ。きっと誰かは、俺にこれを遺そうとしたに違いない。  大切なひとだったはずだ。俺はその人を失わないためにとかく尽力したのだろう。しかし、結果としてそのひとは死んでしまった。人智を超えた存在であるにも関わらず、抗い難い暴力の果てに、宵ヶ峰イツキに殺されたのだ。  そんな筋書きを頭の中に描いていると、こんな結論に思い当たった。それは不明瞭でありながらも鉛のように重い絶望感に合致する。  ──つまり、俺のせいなんじゃないか?  俺が宵ヶ峰イツキと関わらなければ。きよちゃんを助けるためだったとはいえ、あいつに協力を仰がなければこんなことにはなっていないんじゃないか? どうしてあんなに焦っていたのだろう。急かされていたんだろう。そうして俺は選択を誤ったのだ。ここは分岐ルートの果てのバッドエンドで、泣いても笑ってもエンドロールは止まらない。  ひとり暮らしの我が家には、料理スキルの壊滅した俺が買うはずもない調理器具や調味料がいくつもあった。食器もセンスよく揃えられていて、冷蔵庫には覚えのない作り置きが残っていた。洗面所には基礎化粧品が一揃え置いてあったし、俺に遺されたピアスは繊細なつくりをしている。  そして俺は気付いてしまった。俺が失ってしまったひとの正体について。このどうしようもない絶望感について。我が家に残された痕跡から推測するに、そのひとは── 「…………か……彼女だったんじゃ……?」  その場で立ち尽くしフリーズすること三十秒、暢気な風俗のキャッチをスルーして首を横に振った。違うな。彼女がいたらきよちゃんになびかなかっただろうし。しかし、彼女じゃなければ何だったんだろう。おふくろ?  ふと目抜き通りの横道、ぐんと闇の深い路地から血相を変えた男女数人のグループが飛び出してくるのを見た。大学生くらい。ゼロ次会で早々、修羅場でも発生したんだろうか。しかし二、三瞬きして、その様子が尋常でないことに気づく。  その全身の所々に血を被っている。 「どうしよう」「もう無理だって」「ふたりも」「()()通り魔だって」「まだ繋がらないの」「ケーサツ呼んで! 誰か!」震える叫び声が歓楽街の喧騒に呑み込まれていく。  俺はいつの間にか走り出していた。そこに行かなくてはならない。何ができるわけでもないが、血の匂いの濃い方、光が拭えなかった闇の吹き溜まりへ。呼ばれているような気がした。その上でかくのごとく問われていた。 『本当にいいの?』  モノクロの少女が電信柱の陰にうずくまっている。 『引き返せなくなっちゃうよ』  ひび割れた室外機の上に腰掛けている。 『次は悪魔に興味を持たれてしまうかも』  廃業した居酒屋の窓から顔を覗かせている。 『それなのに、そうやって自ら囚われにいくんだね』  明滅する電灯の下にぽつねんと照らされている。 『ありがとう、チカ──苗代沢、千佳(かずよし)くん』  濃密な血の匂いの中、少女は厳かに告げた。 『……──悪意と信仰の物語へようこそ』  モノクロの少女が夜に融けて霧散する。帰属する夢幻に還っていく。そうして俺は悪意にまみれた現実に戻ってくる。  この光景はなんの冗談だろう。  ここは行き止まりだ。袋小路だ。その突き当たりにかつてはスナックでも構えていたのだろう。割れた看板が転がっている。  屍と一緒に。  血溜まりは一つ。死体は二人分。出血が多すぎて一つの巨大な血溜まりを形成しているのだ。どちらも首か腹あたりを切られたのだろう。即死ではない。もがき苦しんだ後があった。  暗がりにもう一人いる。  その人は死体のすぐそばで紫煙を燻らしていた。俺に気付いたのか、移動する血溜まりを踏む音がいやに鮮明だった。そうして明滅する光が届き、その顔を照らし出す。はっと息を呑む。  その現実離れした容姿端麗を見たことがある気がした。 「──神の権能を何だと思う?」  冬の夜によく似たアルトの声が尋ねる。長い前髪の向こうで、バーミリオンの瞳は星のように瞬いた。 「破壊と創造、生命の構築。死と再生。顕在化する神秘の結晶──」  しばらく言葉を止め、俺の反応がないと見るや、その人はつまらなそうに足元の砂利を蹴飛ばした。上着のフードを目深に被り、固まる俺の側を通りすぎて行く。 「大丈夫。まだこれからだから。ちゃんと認めさせる。わたしが本物の神様だって。ここにいる理由があるのだって──……」  去り際のそれはまるで幼い少女のような物言いだった。俺はおもむろに後ろを振り返った。彼女の足取りを追おうとして茫然とする。袋小路の一本道からその人は霞のように消えていた。  十二月二十四日、聖なる夜のこと。世間を騒がせる殺人鬼が理を超えた()()()であることに、俺はまだ気付いていない。  

ロー・ファンタジー。

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  • 化学部部長

    三日月桜華

    ♡2,000pt 2021年5月5日 17時08分

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    お疲れ様です

    三日月桜華

    2021年5月5日 17時08分

    化学部部長
  • うどん

    朱坂ノクチルカ

    2021年5月5日 22時17分

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    励みになります…!

    朱坂ノクチルカ

    2021年5月5日 22時17分

    うどん
  • ひよこ剣士

    夜明

    ♡1,000pt 2021年4月28日 17時50分

    ココアーーーッ!!! 案外抜けている依緒ちゃん可愛いです。ココアを作るだけでこんなに苦戦しているうえに普通に失敗しているのかわいい……。 苗代沢に平穏なクリスマスは訪れない。とんでもないクリスマスになりそうでハラハラです……メリークリスマス!

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    夜明

    2021年4月28日 17時50分

    ひよこ剣士
  • うどん

    朱坂ノクチルカ

    2021年4月28日 23時13分

    ココアを作るたびに一缶無駄にする依緒ちゃん… 生活能力皆無の依緒ちゃん… 鍵盤ハーモニカをお風呂に持っていく依緒ちゃん… かわいいですね。苗代沢くんは無事新年を迎えられるのでしょうか。メリクリ!

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    朱坂ノクチルカ

    2021年4月28日 23時13分

    うどん
  • れびゅにゃ~(シャム)

    革波 マク

    ♡1,000pt 2021年4月27日 6時59分

    これはミソノさんを模倣したドッペルゲンガー殺人鬼ということなのかしら!?(解釈違いならすみません)衝撃的でありながら苗代沢くんの記憶になったりするのかしらとか色々、展開を妄想してしまいます。粉末のココアをこぼしたらものすごく悲しいですよね(そこ)

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    革波 マク

    2021年4月27日 6時59分

    れびゅにゃ~(シャム)
  • うどん

    朱坂ノクチルカ

    2021年4月28日 0時52分

    応援ありがとうございます! さてさて、ようやく新しい局面に入れました。殺人鬼さん、何者なんですかね…。一体どの立場で何をしようとしているのか… 実はほかとはもろもろ外れた位置にいたりして…。……。 こぼしたココアに乾杯!

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    朱坂ノクチルカ

    2021年4月28日 0時52分

    うどん
  • ブルーマーメイド

    希乃

    ♡100pt 2021年5月1日 23時05分

    邪法少女じゃないですか……!えっ、そうですよね!「邪法少女」を読んだばかりだったのですぐに分かりました……!

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    希乃

    2021年5月1日 23時05分

    ブルーマーメイド
  • うどん

    朱坂ノクチルカ

    2021年5月1日 23時52分

    ご、御明察…! あれやこれやが繋がっています。気付いていただけて嬉しいです!

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    朱坂ノクチルカ

    2021年5月1日 23時52分

    うどん

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