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新年の朝

「さっむ……」 あっという間に新年を迎えた。 外を見ると、見事に雪が降り積もっていた。 今年は初詣にも行けず、こたつの中で過ごすことになりそうだ。 「とりあえずガチャ引くか……課金課金っと」 俺がやっているソシャゲには、福袋ガチャというものがある。 最高レアリティのカードを、課金によって手に入れられるというものだ。 毎年お正月は手に汗握る戦いが繰り広げられる。 「あー!くそっ!持ってるキャラかよ」 課金しようとコンビニに走りたいところだが。 「めっちゃ雪降ってるな……。はあ」 昨日の穏やかな様子が嘘のように、酷い雪が降っていた。 さすがにこの雪では、気軽に出かけることもできない。 「今年はどんな年になるのかな」 スマホを開き、SNSに「あけましておめでとう」と入力しながら俺はそう呟いた。 未知のウイルスが蔓延し、世界中にパンデミックが起こる。 そんな映画みたいな出来事が実際に起こった去年。 この先、この状況がいつ収まるのか全くわからない。 だけどおそらく、完全に元の社会に戻ることはもう不可能だろう。 「たとえ世界がどうなろうと俺は……やりたいことをやろう。夢に向かって。先が見えない中で今できることをやっておかないと、いつか後悔するかもしれない」 現状の生活に俺は、満足していない。 今はしがない派遣社員をしているのだが、正直入る場所を間違えたと思っている。 今の状況で仕事があるだけでもありがたいと思ってるけど、だからってこのまま一生この仕事をして生きていきたくはないし、生きていける気もしない。 長時間の労働や複雑な人間関係に、体がもたない。 たとえどんなに困難が待ち受けていても、自分の好きなことが未来につながると信じて、俺は好きなものを好きでい続ける。 やめることなく、やり続ける。 「今年はもっと頑張らなきゃな!よし。そうと決まれば、今はガチャを回してる場合じゃねえ」 一月一日。 俺はパソコンの画面を睨む。 頭の中に湧いてくるアイディアを、組み立てていく。 自分の創作が、いつか誰かの心を動かすことを信じて。

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