創作に使える(かもしれない)! (エセ)科学のメモ

海に沈んだ超大陸

 超大陸はいわゆるオカルトの類ではありますが、実は科学的な側面も多くあり (と私は感じています)、かつ創作においては鉄板ネタでもあります。  科学が進んだ現代にいる私達からしてみれば、海に沈んだ大陸なんて話は鼻で笑って終わりになるでしょう。  ですが少なくともそれらの話はこれまでに多くの人々が信じ、その結果として現代まで残っているのです。  そして現代に生きる私達は、それを笑うことは出来ません。なぜならば当時は科学の進み具合は勿論のこと、一般常識まで含めて全てが異なるからです。  またそれらの話が現代まで残ってきた理由の1つには、当時を含めて政治的な意図が絡んでいる場合もあります。  なにせ「何かしらの天変地異によって海に沈んだ」「そこにあった文明は滅んだ」のですから、支配者達からしてみれば本当にあったかどうかなど関係無しに、自分達の正当性を主張するいいネタになり得たのですから。  少し話が逸れてしまったので戻しますが、この超大陸は科学的な面もあります (あくまでも当時のレベルのですが)。これから紹介する3つの超大陸のうち2つは、何かしらの根拠を持って存在したという説に至っているのです。  今回はそのような面に焦点を当てたメモとします。 *** ①アトランティス大陸  様々な創作物で扱われている、最も有名な超大陸ではないでしょうか。  また現実にもその痕跡は幾つか残っており、最も大きいところでは大西洋の英語「Atlantic」ですかね。  アトランティス大陸は前述の通り、現在のヨーロッパとアメリカの間、つまりは大西洋にあったとされています。  先程は「超大陸を作り話とは書きません」としておきながらですが、実はアトランティス大陸は割と「作り話」な雰囲気が濃厚ではあります。  最初に語ったのは、かの有名なプラトンです。彼が語ったところによると、 ・アトランティスはポセイドンの血を引く王家による文明が栄えた ・強大な帝国を築いたが、調子に乗った結果ゼウスに戦争での敗北と滅亡という罰を下された。 ・現在のヨーロッパの方へと攻め込んできたが、アテナイ (当時プラトンがいた場所)の民はなんとか勝利し、その直後にアトランティスは海に沈んで滅亡した  という話だそうです。もうこの時点でだいぶ政治的な臭いがプンプンですね。それもあってか、この話はプラトンの弟子であるアリストテレスなども含めて、大半の人々は信用していなかったそうです。  ですがやはり当時ですら人間の本質は変わらないのだなと思わされますが、「プラトンが言ったのだから真実に決っている」と考える者もおり、そのような人々によってこのアトランティス大陸の伝説は受け継がれていったそうです。  この時代からしばらくの間、アトランティス大陸はしばらく息を潜めます。なにせヨーロッパではキリスト教が主体の世界になっていきますから、プラトンなど古代ギリシアの話は総じてタブー扱いです。  それでも「アトランティス大陸が沈んだ話」と「ノアの方舟」を結びつけるなどの主張を元に、時たま囁かれたりはしていたようです。  アトランティス大陸が再び表舞台に登場したのは、アメリカ大陸の発見がきっかけでした。  聖書によるとノアの方舟で語られる大洪水を生き残った人類は、ノアと3人の息子達、そしてその妻達だけでした。そしてノアの3人の息子達がそれぞれヨーロッパ、アフリカ、アジアに渡って子孫を残して今の世界が出来上がってとしています。  ところがどっこいアメリカには先住民がおりました。また南に下っていけばアステカなどの文明も存在します。これでは聖書の世界観が崩れてしまいます。そこで当時はほんの僅かな期間ながら、アトランティス大陸の民の生き残りがアメリカ大陸に渡って文明を築いたとしたのです。  またスウェーデンが強国であった頃には、スウェーデンの学者が「アトランティス=スウェーデン」という説を主張して、それについて書いた本をニュートンやモンテスキューと言った人物が評価したそうです。  ナチス・ドイツがアーリア人の故郷がアトランティスであると主張したこともあったそうです。  このように証拠も何も無い「滅びた文明」であるが故に、その時の自分達 (自国)に都合のいいように解釈を行い、正当性を主張するために様々な形でアトランティス大陸の存在は主張されてきました。  しかしそれも近代ではこれを創作にのネタに用いる方が圧倒的に多いと言えます。少なくともこれを信じている人々は、オカルト信者などと呼ばれるようですしね。  ですがそのようになった理由こそ、科学の進歩によって「存在しないことが明らかになってきた」からなのは間違いないでしょう。 *** ②ムー大陸  ムー大陸は現在の太平洋にあったとされる超大陸です。  この大陸が語られるようになった理由は実に単純明快です。  『誤訳』です。  19世紀半ば、中南米地域ではスペインによる侵略が進んでおり、その中でとある聖職者がマヤ文字とスペイン語の対比表を作って本国に持ち帰りました。  それを別の聖職者が見つけてマヤ文明の古写本を解読した結果、ムー大陸にあるムー王国が海に沈んだという怪文書が出来上がったわけです。  そもそも単純な文字の対比のみで訳など出来るわけが無いのですが、当時の人々は聖職者ですらそれが出来ると信じていたのでしょう。  言語の変遷はある程度のルーツがあり、特にヨーロッパはほぼ同じ文字を使って近い地域では若干の違いしかない場合もあります。それ故に全く違う文字体系の文明というのに対して、そのような考えで挑んでしまったのかもしれませんね。  ちなみにこのムー大陸の伝説ですが、実は日本とは割りかし繋がりがあります。つまりはムー大陸から逃げ延びた人々が、アメリカの先住民や日本などの極東アジアの人々の祖先となったという主張があるわけです。  現在の科学では海底調査によって発見されたレアアースなどの層から、少なくとも1億年前から太平洋は海だったとされており、そのことからムー大陸の存在は科学上では否定されているようです。  またムー大陸は存在しなくても、ムー文明は存在したという主張もあるようです。つまりは海洋国家という形で太平洋の島々と海に巨大な文明を築いたという説です。  個人的にはこの説は面白いなと感じているので、いつか何かの題材に出来たらいいなと思っています。 *** ③レムリア大陸  最後に紹介するのはレムリア大陸です。  なおオカルトの世界で出没する”レムリア大陸”と、ここで語るレムリア大陸は全くの別物なのでご注意ください (前述のアトランティス大陸やムー大陸をレムリア大陸と呼ぶ場合もあるようです)。  ここで語るレムリア大陸はインド洋に存在したとされている超大陸で、前述2つと比べて極めて科学的根拠に基づいています。  この大陸が初めて登場したのは19世紀半ばとムー大陸とほぼ同じ時期です。  主張の根拠となったのは、マダガスカル島にのみ生息するキツネザルの化石がインドで見つかったこと、近縁種がマレー半島やインドネシアに生息していたことでした。  これを知った当時の動物学者は論理的な説明を付けようとした結果、アフリカ南部からインド、更にはマレー半島までを地続きとする超巨大大陸が過去に存在したのではないかという説が浮上したわけです。  そしてその際にキツネザルの英語名 (Lemur)から、沈んだ超大陸をレムリア大陸と名付けました。  更にこの説を元に調査をした結果、インド沿岸部の地層にも共通点が見られたことから、この説はとても有力視されたそうです。  しかしある程度の知識がある方はもう理解しているかと思いますが、これはプレートテクトニクスによる陸地の移動によって生じたものです。  つまり大昔はこれらの土地が地続きだったのは事実ですが、それは沈んだ超大陸によるものではなく、どこか別の場所で地続きだったのが分断して今の場所に収まったというだけです。  ですが。こう考えてみてはどうでしょうか?  もしプレートテクトニクスなどの科学的な知見が何も無い中で、この3つの場所が超大陸によって地続きだった説と、元々同じ場所にあった陸地が移動して今の位置に収まった説があった場合、確実に後者を信じれる自信はあるでしょうか? 私はありません。  現在ではこの説は根拠を覆されたため、科学的には誤りです。しかしながら少なくとも当時は有力な学説だったわけです。  正しければ科学、間違っていればオカルト。或いは間違いだったとわかった後もそれを信じ続けることがオカルトでしょうか。いずれにせよ、科学とオカルトは紙一重のようにも感じられます。  さて、このレムリア大陸ですが、これまでの2つと比べると非常に大きな違いがあります。  それは「レムリア大陸には文明があったとはされていない」という点です。  このため創作においては、アトランティス大陸やムー大陸では一定の縛りが出てきますが、レムリア大陸は好きなように舞台設定が出来るわけです。  その中でも特に有名な作品となると「クトゥルフ神話」が挙げられるでしょう。  これを語り始めると話が終わらなくなってしまうので、今回はここで終わりとさせていただきます。

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