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オレ様の世界に異世界転生とか転移してくる奴ら、マジ全員ぶっ潰す!

読了目安時間:4分

第1章:レベル999とかいうクソ荒らし

閃光の貴公子とネガティブ方向に荒れる神1

 アルカナ大陸の東部に位置する、フューネルの街。街はいい意味で騒がしく、中央のメインストリートは活気に満ち溢れていた。街の外を徘徊する魔物は比較的大人しく、駆け出しの冒険者達が世界への門出を叩くにはもってこいの街と言える。    いつしか『はじまりの街』なんて呼ばれたフューネルの街で、1番大きなギルドに併設している酒場で、私は今日もバーテンダーとしてお酒を作り、グラスを磨く。    冒険者と依頼者を繋ぐ仲介業者『ギルド』が運営している酒場では、色々な冒険者がやってきます。彼らの冒険譚を聞き、笑みを溢すこの仕事は、私にとってはやりがいと楽しさを抱き合わせた、まさに天職と言える仕事でした。    ……しかし、最近は仕事で頭を抱える悩みがあります。それは――。   「ぬぅぁぁぁんでワンコなんだよぉぉぃぃぉぃぃぉぃ!!!」  ワインボトルを片手に、カウンターに突っ伏し泣きながら愚痴を溢す、黒いスーツに大きめの真紅のマントを纏った奇妙な恰好をした小柄な青年。彼はつい1か月ほど前からギルドの酒場に出没し始め、今ではこの酒場の名物となりつつある青年だった。ギルドに現れた当初は、ギルドに訪れる冒険者達を朝から晩まで、血走った目つきで観察していたのだが、最近はその奇行も止め酒場で朝から晩まで泣きながらお酒をチビチビと飲むのが日課となっていた。    背後の厨房から料理長が覗きこみ、「そろそろ追い出せ」の意味を介したジェスチャーを受け取ると、私は彼の名を呼びながら、肩を揺らす。   「ほら、ニコッチさん。もうそろそろお店閉めますよ」  ガバっと顔を上げ、赤く目を腫らしたニコッチは手に収まっているワインに口を付けながら口を開いた。 「エミちゃん違うんだよエミちゃん。オレ様はちょっと前までは天下無敵というか、もはや天だったんだよエミちゃん。でもエミちゃんあいつらが勝手にやってきて、オレ様の大事な物を滅茶苦茶にして……でもエミちゃんオレ様もやりかえそうとしたけど、気が付いたら一般人レベルまで落ちてしまってて仕返しができない! ……オレ様はどうしたらいいエミちゃん?」  私の名をしきりに連呼して、よく意味がわからない相談をもちかけられた私こそが「どうしたらいい?」と彼に言いたい。  私はカウンターに溜息をつき、彼の持っていたワインを奪おうと手を伸ばした。   「い、嫌だぁ! エミちゃん! 君までもオレ様から奪おうと言うのか!? あああああああああ! この世界には神も仏もいないぃぃぃ!!」  ニコッチは私の伸ばした手から逃れるようにワインボトルを抱きかかえ、狼狽する。 「大丈夫ですよ、奪いませんから! ちゃんと名前入れてお店で取って置きますので、また明日来てください!」 「うわあああああぁぁぁぁ!! なんでだよぉぉぉぉぅ!!」  ここから後30分は彼と格闘するだろうと考えると、私の口から本日何度目かの溜息が自然とカウンターに零れた。    ……これが私の最近の悩みの種、このニコッチという酒癖が悪い青年のせいでカウンターで冒険譚を語る冒険者は数が減り、ロマンも夢も何もないネガティブな愚痴を延々と聞かされる仕事となりつつあります。たまになら、そういうお客さんの愚痴を聞くのもいいですが、毎日となると流石にストレスと疲労が蓄積してきます。……枝毛も最近増えた気がしますし……。   「さて、まだ冒険者さんがチラホラと居るうちに協力してもらわないと……」  私は彼を店の外へと追い出すため、エプロンをきつく結びカウンターの中から外へと出ようとする。そんな時、ギルドの入り口である木の扉が開いた。中に入ってきた男は純白の薄い鎧を身に纏い、長い黄金の髪を靡かせ酒場のカウンターの方へと足を進めた。    ギルドにまだ数人程度残っていた冒険者は彼の端整な顔立ちと、気品溢れるいで立ちにたちまち魅了され、彼をただただ見つめていた。その内の1人に私も入っていた。    男はそのままカウンターのイスに座り、綺麗な声で私に尋ねる。   「ちょっと月が僕と一緒に飲みたいって騒いで眠れなくてね……まだ飲めるかい?」 「はいっ!」  「思わず言ってしまった」と一瞬後悔したが、彼の溢れ出る気品とオーラに胸を高鳴らせていた私はすぐに考えなおした。彼と席を1つ開けたニコッチは私の対応に「なんでだよぉぉぉぉぅ!」と吠えるが、私の耳には入れないようにする。    足早にメニューを取り出し、彼の目の前に差し出した。  メニューを受け取った男は、「ふむ……どれが僕にふさわしいかな……」とニヒルな笑みを浮かべる。その瞬間、彼を見ていた冒険者の1人が叫んだ。   「その白銀の鎧と黄金の髪! そして、その天もが羨むようなルックス! まさかあなたは『閃光の貴公子』ローレイでは!?」  ギルドに残っていた人数は少なかったが、1人の冒険者のその言葉をきっかけに騒がしくなる。

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