思出怪談

人形

メイコさんは人形を集めたり作ったりするのが趣味だという。 そのメイコさんから面白いものが手に入ったので見にこないかと誘われた。 謂わゆる呪いの人形だということであった。 「もともと私の知り合いが持ってたものなんだけどね。髪は伸びるわ夜中動くわ捨てても戻ってくるわって話でね」 「はあ、それは凄いですね。お祓いとかされたんですか?」 「え、してないよ。だって勿体無いじゃん」 「は?」 「本物の生きてる人形だよ? 勿体ないじゃん」 「え、でも危ないんじゃ……」 「なんで? 髪が伸びて動くだけだよ? チャッキーみたいに殺しにくるわけじゃないんだよ?」 「それはそうかもしれないですけど、怖くないんですか?」 「最初は怖かったんだけどねえ。デザインも好みじゃなかったし」 「デザイン?」 「あ、その子がうちに来たときの写真ね」 そう言ってメイコさんが一枚の写真を差し出す。 「あーいかにもな市松人形ですねえ」 「で、今がこれ」 メイコさんは実物を持ってきてテーブルの上に置いた。 「あ、なんかアニメキャラみたいになってる」 どうやったのかは知らないが写真ではゴワッとした印象だった髪がサラサラになっていてクルクル縦ロールに変わっている。顔にもしっかりとメイクが施され、古めかしい着物ではなくゴシック調の派手なドレスを着せられていた。 これはもう魔改造と言っていいレベルだ。 もはや呪いの市松人形の面影はどこにもない。 いいのかこんなことして。 「動くから怖いんじゃないの。可愛くないから怖いのよ。可愛ければ問題なしよ。ていうかむしろ動け」 「そんなもんですかねえ」 「あー早く動かないかなあ」 メイコさんは愛おしそうに人形の頭を撫でていた。 なんだか私には腑に落ちなかったが、本人がそれでいいと言っているのだからまあ別にいいか。 しかしメイコさんの家に来てから、というか魔改造されてからその人形は髪が伸びることも動き回ることもないという。 メイコさんはたいそう残念がっていた。

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