心へと伝える言葉

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あなたはいつも優しい。君がいつも笑ってくれるから。

 どこにでもあるような街のカフェに座る二人。  仲睦まじい、どこにでもいるカップルに見える。 「良い天気で良かったね」  彼女は僕の声の響きを楽しむように、顔に触れながらミキは言った。 「サトルのことホントだいすき」  彼女の顔を見つめながら、サトルも答える。 「もちろん僕もだよ」  優しく笑みを浮かべながら、ミキへと伝える。  サトルがミキへと質問をする。 「今日はどこへ行きたいか決めてきた?」  ミキはプルプルと首を振った。 「なにもきめれてないの」 「大丈夫。ゆっくり決めよう」  ミキも微笑み、サトルに催促するよう手を伸ばす。  優しく手を受け取る。 「そういえば図書館に、あの写真集が入荷したってメールが来てたよ」  目を輝かせるミキを見てサトルは嬉しく思った。 「みにいきたい」 「分かった。今日はそうしよう」  てぷてぷと手を繋ぎ歩く。  ときより風がミキの髪を乱す。  歩を止め、ミキの顔を見ながら言った。 「だいぶ伸びたね!」 「でしょ! かわいい?」 「うん、可愛いよ。でもどんなミキでも好きだよ」  ミキは軽く頬を染めサトルをバシバシ叩いてくる。  図書館に着くと、待ちきれないのか階段を一段飛ばしに駆け上がって行く。 「気を付けて!」  ミキに僕の声は届いていない。  案の定よろめいた所を、後ろから駆け上がったサトルが受け止めた。 「気を付けて。危ないでしょ!」  ミキの顔を見つめながら真剣に言う。 「ごめんなさい。たのしみで……」   しょんぼりしながら答える。  頭を両手で包み込み伝える。 「じゃあ、気を付けていこうね」 ミキの手を取り、笑顔で伝える。 「うん、わかった」  うってかわって笑顔に戻ったミキを見て、思わず吹いてしまったが見られていなかったようだ。  受付に着くと、予約の件を伝え、本を出してもらう。とても大きくて、二人は見つめ合い驚いた。  サトルがテーブルに運び、二人並んで座る。  ミキの顔を見て伝える。 「自分の好きなペースで見ていくと良いよ」  ミキは笑顔で大きく頷いた。  ミキはひとつずつひとつずつを、こちらを向きながら、手話や口の形を見せたりと、ゆっくり丁寧に感想を伝えてくれる。    その度にうん、うんと僕は笑顔で答える。    ちゃんと聞こえているよ。  ちゃんと君の声は僕の心に響いて届いてくるよ。

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