Chapter:69 「腕がぽーっとする……っ」

 景は走っていた。  自分の右腕がこのようなことになってしまった以上、戦いが長引くことは自分にとってかなり不利であることを、彼は知っていた。ならば、クラヴィーリの魔法をまともにくらったという博希と五月を先に探すべきである。凍りついた右腕をかかえながら、景は鎧装着を解くこともなく、走り続けた。 「博希……サン、五月サン……どこですかっ!」  びしびしと右腕が悲鳴を上げる。額に脂汗を浮かべながら、しかし、彼は多少、冷静になっていた。――久々に大ピンチですね。――こんな時にそんなことを考えてしまう。人は大変な時ほど妙に冷静になるというが、今の景にはそれがあきれるくらいにぴったりと当てはまっていた。  が、そうしている間にも、街は氷に閉ざされてゆく。多分クラヴィーリは街を攻撃しながら、景を捜しているのだ。今も、目の前の電柱が蒼く透明な光の中に閉じ込められてしまった。見つけられるのは時間の問題である。その前に、なんとかしなくては。見つけるのが先か、見つけられるのが先か。  ――その時、目の前に、見慣れた自転車が通りすがった。 「景兄ちゃん!」 「茜サン……危ないですよ! こんなところを!」 「だってみんなが心配なんだもの、……景兄ちゃん!! その、右腕!」 「あぁ、これ……不覚をとりましたが、これくらい、なんでもありません。それよりも、どうしたんですか」 「あのね、お兄ちゃんと五月兄ちゃんが、大変なの!!」 「え……どこですかっ!?」 「こっち!」 「乗せてください!」  本当なら自転車の二人乗りは道路交通法違反である。そして、景はそういったことにはうんとうるさいタチの人間であった。しかし、今はそんなことを言っている場合ではない。彼は今、一生一度の大犯罪を――とはいえ傍から見ればただの二人乗りにすぎないのだろうけれど、景にとってはそのくらいの重みがあった――犯そうとしていた。が。 「景兄ちゃん、これ、乗ってって。二人乗り、嫌いでしょ」 「しかし、茜サンは?」 「あたしは大丈夫。中学じゃ陸上部よ、この足で走るわ。早く行って。ね!」 「――。――ありがとうございます!」 「公園の、藤棚のところにいるわ、二人とも。全身氷づけになってるの!」 「! 全身!?」  景は思わず己の右腕を見た。右腕にくらった自分でさえ、こうなのである。そういえば、博希も五月もあの魔法をまともにくらった、とクラヴィーリは言っていた。だとしたら、そうなっていてもなんら奇妙な話ではない。しかし――全身。復活の手立てはあるのだろうか……!? 「お借りします」 「うん」  はやる心をなんとか抑え、景は茜の自転車に飛び乗り、右ハンドルに申し訳程度に右手を添えると、勢いよくこぎだした。茜がなぜかクラウチングスタートで、そのあとを追った。 ≪楽しんでいるようだな≫  クラヴィーリは手のひらに蒼をためながら、その声を聞いた。 「誰だ? その声はレドルアビデか……?」 ≪生憎だが、違うな≫ 「ほう。全く退屈させないところだな、アイルッシュというのは――」 ≪気に入ったか≫ 「気に入ったね。遊んでも遊び足りない」 ≪遊ぶのは構わぬが――やり過ぎるな≫  その声に、クラヴィーリはニコリともせず応える。 「解らんな。俺はいまひとつやり過ぎるきらいがあるもんでな」 ≪その時はお前が消えるだけだ≫ 「お前が消すというのか? この俺を?」 ≪……ああ……≫ 「面白い奴め。消せるものならやってみればいい」 ≪……俺はレドルアビデに近しい、否、奴よりも力を持つ者。『あの男』と言えば、お前には解るだろう≫ 「あの男……ほう、お前、まさか」 ≪奴とも話はつけてある。脅かし程度に破壊しておけ。それから……≫ 「それから?」 ≪【伝説の勇士】殺すな。俺が『使う』……≫ 「はっ……その保障はできないな、とっくに死んでる可能性だってある」 ≪どうかな、奴らがそう簡単に死ぬタマと思うか≫ 「さあね」 ≪もしも生きていたなら――殺すことはまかりならぬぞ≫  クラヴィーリはくっ、と笑うと、言った。 「解ったよ。お前がそう言うならな」  その返事をきっかけにしたかのように、声と気配がふいと消えた。 「……くく……ははははは!」  クラヴィーリはひととき、楽しそうに笑うと、全身に、蛇のような蒼い光をまとい始めた。 「――五月サン……」 「お兄ちゃんっ」  景と茜が公園についた時、博希と五月は応答しなかった。ただ虚空を見つめ、立ち尽くすだけ。 「……………………」  二人は、氷柱の中に入ってしまったかのように、全身がぱっきり凍りついてしまっていたのである。 「――そんな」  景は、右腕を押さえてうめいた。いつかの――そう、ヴォルシガのスライムにとらわれた時のように、せめて会話ができるなら、まだ手の打ちようもあったろう。しかし、これではどうすることもできない。二人とも魚の死んだような瞳で、動かないのだから。 「どうしよう、どうしたらいいの……!?」  茜も困惑している。どうしたらいいか、それくらいは景も考えている。だがこの場合、いくら考えても、最良の方法など浮かびはしない。  右腕が、きしいと音を立てる。 「つう……っ」  まずい。自分の、しかも右腕だけでもこんなにきしんでいるのに、全身となると、すでに骨までもがきしきし音を立てていておかしくない。景は今日何度目になるのか、焦った。自分には至極珍しいことだった。 「五月サンっ、博希サンっ!!」  叫ぶしかない。それくらいしか、できない。  だが――打開策は、存外早く、それも景のすぐ目の前で、実行された。 「…………?」  しゅうしゅうと、どこからか柔らかな音がする。 「この音、なに?」  茜も不思議そうに、辺りを見回す。――と、 「五月……サン!?」  景は一瞬、絶句した。  音は五月の氷柱からしている。そして、当の五月はといえば――淡いが鮮やかなピンク色の光を、まるで綿か――あるいはなにか、動物の柔らかな毛のようにまといながら、ふるり、ふるりと身動ぎしている。 「な……な……」  【伝説の勇士】となってから、景は、様々な経験をしてきた。するはずのない鎧装着、魔法、科学的に有り得ぬ現象との遭遇。女装もやったし牢屋にも入った。もう、たいがいのことに驚くつもりはなかったし、驚かないだろうと思っていた。しかし、まだ驚くだけのことが残っていたことに、景は感心した。まったくこの夏はどこまでも予断を許さないらしい。 「――て、そんなことを考えている場合じゃありませんね」  景は考えをめぐらす方向を、五月に戻した。五月はさっきよりも身動ぎを増やして、もぐもぐともがきながら、少しずつ目を開き始めていた。まるでそれは、繭から出てくる昆虫のようだった。   一体、目の前で何が起きているのか、茜はもちろん、景にも、解らなかった。だが二人が様々な思いを、考えをめぐらす間に、五月の氷柱が溶けていっているのは誰が見ても明らかだった。蒼い氷が、ピンクの光に押され、消えてゆく……時間はそう、長くなかった。景と茜は、息を飲んで、その一部始終を見守っていた。  やがて、氷がすべて溶けてしまうと――五月は、そのまま、ぐらりと景のほうへ倒れ込んだ。 「わっ」  胸の中で抱きとめて、様子をうかがう。 「五月サン。五月サン!」 「……うー……カーくん……?」 「あぁ、よかった。そうです、僕ですよ。大丈夫ですか?」 「んー……少し……ぼーっとする……、ぼく……なに、してたの……?」 「――覚えてないの!? 五月兄ちゃん、ピンクの光出して、氷、溶かしちゃって、」 「――茜サン」  景は、興奮する茜を優しく制して、それから、言った。 「覚えていない――そうだろうとは思いました。けれど、五月サンの身体から出ていた光がこの氷を溶かしたのは事実です。なんとかして、博希サンの氷も、僕の氷も、溶かせないでしょうか――」 「五月兄ちゃん、本当に、なにも覚えていないの?」  茜からそう聞かれて、五月はまだぼうっとするらしい頭を、左右に振りながら、ぽんぽんと叩いた。 「ううんと。目の前が蒼くなって、それから、動けなくなったのね。でも、ここから出なくっちゃ、カーくんやヒロくんが大変だと思って、それで、うんとがんばってたら、ここのところが熱くなって、で、気がついたら、氷が溶けてた」  ここのところ、と言いながら、五月は自らの胸と、それから両腕を指してみせた。  どういうことでしょう――と景は思った。さっきの自分の、腕が凍る直前に起こったことに、似ているような気がした。跳ね返したか、無にしたか、の違いはあるけれども。  しかし、今は、考えるよりもしなくてはならないことがある。 「もう一度、できませんか、五月サン」 「えっ?」 「ひょっとして気がついていないかもしれませんが、博希サンも、僕も、凍っているのですよ」  言われて初めて、五月はうつろな目の博希と、右腕凍りっ放しの景に気がついた。 「わああっ。カーくん、大丈夫なの? ヒロくんも、なんだか彫刻みたいになっちゃってるようっ」 「大丈夫じゃないからお願いしているのですけれどね。まだ、仮定の域を出ませんが、理屈からいくなら、もう一度、あるいは何度でもできるはずなのです。思い出して、やってみてくれませんか」 「そしたら、ヒロくんもカーくんも助かる?」 「助かるはずです」 「解った。やってみる!」  いったきり、五月は眉根にシワを寄せて、静かになった。多分、さっきの気分を思い出して、少しずつ力をためているのだろう。 「ん……う。なんか……腕がぽーっとする……っ」 「!」  そのつぶやきの直後、五月の目の前に、フェンシングソードが召喚された! 「えっ!!??」  その光景をほとんど初めて見る茜はもちろんびっくりしたが、当の五月と、そして景は、間違いなくその三倍はびっくりした。 「…………声…………出してないよ…………?」  景が驚いた理由も、無論それである。武器召喚のキーコードとなる『声』を――そう、五月の場合は「ブキヨデロー」であるが――五月は、出していないのに。  あの時と同じではないですか……  五月サンが『爆発』したときと……  景は自分の中で、そう、つぶやいた。そして、わずかに、戦慄した。  五月の手のひらの中にはピンク色の柔らかな光が生まれ、フェンシングソードごと包みこんだ。 「さっきと同じだよ。胸も腕も、熱いよ、カーくん!」 「解るんですね。では、そのまま、僕と博希サンの氷を溶かしてください!」  わずかな動悸を押さえつつ、景はそう言った。自分がここで動揺してはいけないと思った。 「うんっ」  五月がフェンシングソードを握ると、光はより一層大きくなった。その光を浴びて、景の氷はすぐに溶けた。 「ああ――――」  腕に鋭い痛みがきりっと走る。外の熱い空気に触れたせいですね、景はそうつぶやくと、「ありがとうございます」と言って五月の頭をなでた。ただし、左手で。それから、彼は右腕をゆっくり温めつつ五月に言った。 「博希サンの氷は光を浴びたぐらいでは溶けないようですね……五月サン、お願いします」 「解った」  五月はうなずいて、フェンシングソードを博希に近づけたが、――なにも、起きない。 「アレ?」 「五月サン――『声』が、必要なのでは」 「あ、そっか。えーと、とーけろっ」  その『声』を漢字変換するのに、景はたっぷり二秒かけた。しかし、変換し終わる前に、博希の氷は大部分溶けていた。 「博希サン」 「お兄ちゃんっ!」 「ヒロくうん」 「……うあ、俺……? ……ッわあ、なんじゃこりゃア!?」  博希がビビるのも無理からぬところである。タフな博希は、五月のように氷が溶けきったところで倒れるのではなく、まだ氷を下半身分残したところではっきりと目を覚ましたのだ。つまり上半身は博希だが下半身は氷の彫刻である。これは気持ちが悪い。 「実はかくかく」  景が前に立って説明しかける。その間、五月には溶かし続けていてもらうのだ。 「かくかくで解るワケねえだろよ」 「こういうことがあったんですよと説明したいんじゃないですか! ニュアンス解ってくださいよ。無駄に時間を使いたくないんですよ」 「あーあー解ったよ。で?」 「しかじか」 「……そういうことかあ……」 「さっぱり会話になってませんねえ」 「うるさいな、こういう会話にしたのお前だろ! ここまでの会話で俺はこれまでの事情をお前から全部聞いたことになったの。それでいいんだろ。お前こそニュアンス理解しろ」 「博希サンにそういうことを言われるとは思いませんでしたよ」 「なにをう」 「二人ともやめてよ! やめないとつま先だけ残してぼく帰るよ」 「えっ……」  足の部分がまだ氷の博希と、それから景はややもって引きつった。五月がそんなツッコミをする時がくるなんて思ってもいなかった、というのが正直な気持ちである。 「解った解った。悪かったよ」 「反省してますから、博希サンの足、溶かしてあげてください」 「ぷーん」  言いつつも、五月は博希の氷をすべて溶かした。  くだらない言い合いをしつつ、博希も、五月も、そして景も、実は嬉しかった。つい数時間前まで、妙な気まずさがあったのが、やっといつもの状態に戻ることができた、ということが。これなのだ。これこそが博希たちであり、【伝説の勇士】なのだ。それが実感できた。三人は、少し、笑った。 「それより、お兄ちゃん」  三人の平和な笑いを、この状況下で景の数倍は現実主義だった茜が遮る。 「街、このままじゃ、」 「あ」 「行こうよ! 夏だから涼しいのはいいけど、凍り過ぎだよ」  うまいことを言うなあ、博希はそう言って五月にちょっと拍手してみせた。もっとも景は(そうでしょうか)と思ったけれど。  そして、博希は五月の言に応えるかのように、空を見た。 「――ああ。クラヴィーリの野郎への氷づけの礼がまだだな……!」  危険な笑い。ケンカマシーンが動く! 五月と景は、はっきりそう感じた。 「茜、お前はもう家に帰ってろ」 「お兄ちゃん」 「大丈夫だ。三人そろいさえすりゃ、怖いモンなんてねぇよ」  ニッ、と、笑ってみせる。その笑顔! 茜は一生分にも等しい勇気を、博希の笑顔からもらった気がした。 「……うん! がんばって!」 「ええ……もう、クラヴィーリの好き勝手にはさせません!」 「氷、溶かさなきゃね!」  三人はもといた所へ――クラヴィーリの所へ戻るつもりで、走り出した。茜は自転車が凍りついてしまわないうちに、競輪選手も裸足で逃げ出すかと思うほどのスピードで、家に戻った。 「クラヴィーリ! どこだっ!」  瞬間、身体に蒼い光をまとわりつかせたブラックレザーの青年が、楽しそうに微笑しながら、博希たちの背後に現れた。 「俺に用か。……む、貴様、【伝説の勇士】……」  博希はその気配を感知するのが、わずかコンマ三秒ほど遅れた。 「てめぇッ……」  景と五月も振り返り、二、三歩後ずさる。 「……ほう! 俺の魔法をくらって生きている奴など、初めて見る……」 「あいにくと僕は嘘つきではありませんからね。今すぐこの街にかけた魔法を解きなさい!」  景の強い物言いに、クラヴィーリはにやあ、と笑った。博希も、五月も、景も、その笑いに、胃に重たいものがのしかかるのを感じずにはいられなかった。 「……リテアルフィ……」  博希がつぶやく。博希たちが現在時点で唯一倒せていない、オレンジファイの子供総統。彼の笑いに、それは似ていた。 「残念ながら俺はリテアルフィではないな。『似ている』だけさ」 「似ている……」  本当にそれだけですか――景はそう言いかけたが、どんどん本題から話がずれていくのはよろしくないし、なにより、それで最初の要求を流されるわけにはいかない。景はもう一度、言った。 「この街にかけた氷づけの魔法を、解いていただきましょう」 「嫌だと言ったら?」 「その時は――以一簣障江河、武器招来!!」  弓が構えられる。景の瞳には真剣さを通り越したなにかが宿っていた。 「あなたを……ここで倒すだけです!」 「目の色が違うな。遊びではない、ということか」 「僕は最初から、あなたと遊ぶ気などありません! 僕には大切な人を守るという使命があります! それだけは――壊させない!!」  五月が、一瞬、ぶるりと震えた。景の勢いに気圧された、博希は一瞬でそれを見抜いた。普段激することが少ない景がここまで熱くなっている。しかし、それは間違った激し方でもなんでもない。多分、自分たちの戦っていた時に、家で何かがあったのだ。景を変える何かが。博希は珍しくそこまで察した。 「カーくん」  つぶやく五月の肩を叩いて、博希が言う。 「大切な人を守りたい気持ちは、俺たちだって負けちゃいないだろ? あれが浦場景なんだ。他の誰でもない」 「……うん。カーくんは、カーくんだよね。ヒロくんも、ヒロくんだよね」 「そうだ。さあ、俺たちもいくぜ! スタンバイ・マイウェポン!!」 「ブキヨデロー!!」  博希と五月も、かしゃん! と武器を構えた。景になにかあったら許さない。あくまで後方支援に回りながら、二人はいつでも攻撃に移れるように、クラヴィーリをにらみつけつつその場に立っていた。 「楽しいよ。俺が遊びたくなってきた」  クラヴィーリはまた、にやあと笑う。その微笑を見て、――そうっ。と、五月の背中に冷たい風が吹いた。 「なにを言っても、ぼくたち、遊ばないよ!」  少しだけ強がった発言。しかし、クラヴィーリの放つ蒼い光は、五月を一発で黙らせた。 「本来ならばおまえたちを串刺しにするために――用意したものなのだがな……考えが変わった……」  クラヴィーリの身体を蛇のように取り巻くその蒼き光が、ほんの少し色を変え、うねうねと彼の身体を巡りながら三つに分かたれる。 「…………!!」  三人は一斉に武器を構えた。特に、さっきクラヴィーリの光を大部分はじき返すことのできた景は、弓を持つ手に一層力をこめた。 「そう鯱張るな。俺からの贈り物だ……!」  言うなり、クラヴィーリの身体から、蒼い蛇が三匹まとめて離れ、博希たちに牙をむいた。 「これで『贈り物』とは……冗談がきつすぎますね、クラヴィーリ!」  景はすばやく矢をつがえた。博希と五月も構える。場合によってはこの蛇を真っ二つにする場合もありえる、そう考えてのことだった。  だが―― 「乾……、!」  キーコードと同時に矢を放とうとした景は、その先に光る蒼い蛇の姿を見た。 「早い!?」 「きゃああああんっ」  五月のフェンシングソードに絡みつく蒼い蛇。 「うっわ、早すぎだろこれ!!」  蛇は博希の剣にもうねうねと絡みつき、そのまま、三人の口の中に飛び込んだ!! 「ぐええええっ!?」 「@★#%※……!!??(声にならない声)」 「うあがあああっ」  喉のあたりから肺のほうにかけて、まるで何かがはりついたような冷たさが、三人を支配する。なにか喉のところで、間違いなく生き物のような感触を持つものが、うごめいていた。 「……なんだ……これ……!」

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