忘却のアイオーン

読了目安時間:4分

ビデオ:電気信号を用いた映像 ビデオカメラ:人物など実像を撮影して電子記号に変更して保存 今更ですが、普段使っている技術ってよく分かってないモノ多いですよね。

映像の仕組み

「藍沢さん? どういうことでしょうか?」 「私の学校の先生と友達の宏香が見えていたんです。オクタと朔斗君を」 「もう少し詳しくお願いします」 「え、ええっとですね。私が奏さん達と始めて出会った時、動画を撮っていたじゃないですか」 「そうね。事務所にもコピーしたモノがあるわ」 「あれのマスターというか撮っていたカメラを学校に持っていったら持ち物検査で没収されまして。なんとか返してもらったんですけど、その時、先生が中身を確認したらしくて……なんか映画撮影の動画と勘違いしてて、たぶん、朔斗君達と『デミウルゴス』の戦っていた映像のこと言ってたと思うんです。その後に宏香も同じような事言っていました。二人には撮った映像のオクタ達、そして『デミウルゴス』が見えていたんだと思います」 「!?」  絵里奈の発言に一番驚いたのはオクタだった。耳と尻尾をピンと天井に向けて伸ばして目を見開いていた。 「それは本当か?」 「こんな時に冗談でも嘘は言わないから」 「そうだが……その二人が『デミウルゴス』の被害者だった可能性は?」 「……それは分からないけど、もし前に『デミウルゴス』と遭遇していたら映像見た時に何かしら他の反応があると思うの。特にそういうのはなくて映画撮影と勘違いしてたし……」  オクタに変わるように今度は元近が質問を投げてくる。 「藍沢さん、その他の誰かに映像を見せましたか?」 「いいえ、一度没収されてからは家にずっと置いてますから」 「奏さんは?」 「見せるわけないでしょ。この事務所に来る人間は限られてるし」 「もう少し確証が欲しいですね……オクタはどう思いますか?」 「ここ最近の科学には詳しくないのだが、カメラが映像が撮れる仕組みはどのようなものだ?」 「仕組みですか……詳しくはないので確か撮ったモノを電気信号に変換していると読んだ記憶がありますね」 「電気信号か……以前も話したが私達とそして『デミウルゴス』も電磁波を身に纏っている。カメラで我々の放つ電磁波を一般の人々にも認識できるように変換された結果が映像として残るのなら絵里奈の言葉は真実だろう」 「なら多数の人に朔斗君の姿を見せることが出来ますね」  オクタの言葉で確証をより得た元近の声が明るくなり、絵里奈も自分の気付きがきっかけで状況が好転していくのを感じて笑顔になった。 「ただ見せるだけじゃ駄目なんでしょ。朔斗君だって認識してもらわないといけないんだから。それに見せる方法はどうするの? MMPSAのホームページにでも上げる? どのくらいアクセスあるか分からないけど。って考えてみたら大勢に見せても映像が本当だとも誰も思わないでしょ」 「そう……ですね。藍沢さんのお友達や学校の先生のように映画の一部と思われてしまうのが関の山。本物の映像だと言った所で信じる人はいないでしょうね」  事態が好転しそうになりかけたが奏と元近が冷静に状況を確認していくとまた壁に突き当たってしまった。 「……まずは藍沢さんの言う通り撮った映像なら誰でも朔斗君達を見れるかどうか確認しましょう。事務スタッフの誰かに連絡して動画を見てもらいましょうか」 「そうね。うちのスタッフなら『デミウルゴス』の被害者かどうかは分かってるから確認がすぐね」 「ええ、ですが時間も時間ですし連絡は取ってみますが今日中に出来るかどうか……藍沢さん、今日の所は家に戻ってもよいかと思いますよ」 「え、でも……まだ私」  絵里奈は死んだように眠っている朔斗に視線を向けて、まだここに居たいと態度で訴えた。 「今、これ以上は朔斗君にしてあげられることはありません。状況が変わり次第、私達からご連絡はいたします。時間もだいぶ遅くなっていますし、帰らないと家族が心配しますよ」  絵里奈が時計を確認すると既に夜九時を過ぎていた。 (お母さんもそろそろパートから帰ってくる時間だよね……そういえば家の鍵締めたっけ? 慌てて出たから締めてないよね。キッチンとか大丈夫だよね……うん、火は消していたはず、たぶん)  一端、事態が落ち着いた事で他の事を考えられる余裕が出来てきた絵里奈はいろいろな事が心配になってきた。 (鍵空いてるのに私がいないのはお母さん絶対心配するよね)  母親に余計な心配をさせるのを避けたい絵里奈は自宅に戻ることにした。 「今日は戻りますけど、明日もまた来ますね。学校が終わってからになりますけど。もし何かあったら昼間でも連絡は下さい」 「分かりました。奏さん、すいませんが藍沢さんを送ってもらえませんか」 「当然よ。連れてきたんだもの。責任をもって送っていくわ」  絵里奈は名残惜しそうにもう一度朔斗とオクタに視線を向けてから事務所を後にした。

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