ルキファナス・オンライン-素早さ極振り暗殺者は正義の味方!?

読了目安時間:4分

7話 裏道

 どんよりとした気持ちでセバスさんの前に立つ。  俺は全てを話しました。  一角ウサギ、紫森蛇(ヴィオラ・フォレスネーク)、PKされたこと、初心者ナイフが盗まれたことなど。 「素晴らしいではないですか、紫森蛇を倒せるとは思いませんでした」 「でも、初心者ナイフを盗まれた上にPKまでされたんですよ」 「クロツキ様はどうされたいんですか?」 「仕返しはしたいとは思ってますが、手立てがありません。とりあえずレベルを上げようかと思います」  セバスさんは俺が殺されたというのにどことなく嬉しそうだ。 「しかし、それはいけませんな。一度殺された程度ではカルマ値の悪性が三日ほどで消えてしまいます。殺るならすぐに準備に取り掛からねばいけません」 「えっ……!?」  驚いたのはNPCのセバスさんからカルマ値の話が出たからだ。  ということは隠れステータスのカルマ値は実在するで確定だ。  俺はセバスさんにカルマ値について詳しく聞くことにした。  概ね、まとめサイトで見た情報と一致している。  新たな発見はカルマ値が時間経過で減少していくということ。  殺されて、三日程度で忘れられるとはなんてシステムなんだ。  しかし、文句を言ってる暇などない。  俺はセバスさんに再び指導を受ける。  暗器使いの本来の戦い方を。 -転職クエスト- 『執事の嗜み2』をクリアしました。 暗器使い(仮)を暗器使いへと転職します。 「クロツキ様、おめでとうございます」 「ありがとうございます」 「貸していたダガーナイフなんですが……」  そういえばダガーナイフを返してしまうと俺は武器がなくなってしまう。 「お譲りします。そのままお使いくださいませ」 「いいんですか」 「えぇ、武器がなくては困るでしょう。復讐の成功率を上げるためにも良い武器が必要ですから」 「ありがとうございます」  これはリオンに感謝しなければいけないな。  ダガーナイフが手に入ってしまった。  次こそは盗られないようにしなければ。 「それからここに行ってみてください。私も時々使用する情報屋です。相手の場所を教えてくれるかもしれません。それに教えた暗器術の武器の調達もここならできるでしょう」  これは願ったり叶ったりの店じゃないか。  そもそもPKしたプレイヤーを期限内に探すのが最も難しい。  どこにいるかの情報は非常に有用だ。 §  セバスさん、本当にここで合ってますか?  俺はセバスさんに教えられた店へ向かっている。  マップに記された店へ行くにはここを通るしかない。  しかし、この道へ近づく人間はいなかった。  なのに、この通りは賑わっている。  堅気ではないであろう裏の住人達が跋扈している。  スキンヘッドで片目が潰れた人や、腕に刺青を入れてるが傷だらけでなんの模様か分からない人など。  女性は妖艶すぎて目のやり場に困るな。  目が合うたびに睨まれる。  肉食獣の檻に羊一匹の気分だ。  早足で目的地へと向かう。  その時はとうとうやってきた。 「おいおい、誰の許可を得てここを通ってんだ?」  なんだこの男の格好は。  男の後ろからもゾロゾロとこちらへ近づいてきてる。  肩口が破られていて、肩にトゲトゲが乗っかっている。  全員が剣やナイフで武装しているのにイマイチ緊張感がない。 「ちょっと用事がありまして……」 「そうか、ここを堅気が通りたけりゃ通行料がいるんだよ」  男はサーベルを振り下ろしてくる。  しかし、随分とゆっくりした攻撃だ。  俺は軽く躱して首元にナイフを当てる。 「ひっ、いつのまに」  男に俺の動きは見えなかったようだ。  こんな奴、殺してもいい気がするがここで殺して全員から敵対するのは厳しい。  目の前の変な格好の奴らは弱そうだが、見物してる人間の中に俺よりも格上そうなのが何人もいる。  所詮、俺はまだレベル10の初心者なのだ。 「あんたら何を騒いでんのさ」  店の中から魔女みたいな老婆が出てきた。  後ろにヤバそうなクマみたいな体格の男を連れている。 「セン婆さん、俺は堅気がウロウロしてたから注意しただけだぜ」 「小銭稼ぎで殺されたら世話ないね、あんた悪いが離してやってくれないか」  俺は突きつけたダガーナイフを下ろした。 「なんの用があってこんなとこにやってきたんだい? ここはそいつが言うように堅気が気軽に通っていい道じゃないさね」 「情報屋に用があってきました」 「ここに情報屋は一軒しかないよ。それに表向きは情報屋じゃない。誰に聞いて来たんだい」  セバスさんのことを話してもいいのか?  でも、何かあったら名前を出してもいいって言ってたしな。 「セバスチャンという人に聞いてきました」 「ハッハッハッ、執事のセバスかい?」  どうやら知り合いのようだ。 「げっ、兄さん悪かったな、じゃあな」  さっきまでの男たちは逃げるように何処かへ行ってしまった。  見物人達までも蜘蛛の子を散らすように消えていく。  セバスさんとは一体何者なのだ。

コメント

コメント投稿

スタンプ投稿


このエピソードには、
まだコメントがありません。

読者のおすすめ作品

もっと見る

  • リア充爆ぜろ委員会

    女以外は虫けらだ

    96,100

    100


    2021年5月11日更新

    カップルを見たら、どんな手を使っても別れさせろ。 この春、最上級のお嬢様学校の私立慶蘭《けいらん》女子高等学校に入学した真面目な由宇と、自由人の理亞。 部活に入らなければならない校則で、軽音部に入りたかった由宇。しかし、理亞は、面白そうと言う理由だけで、由宇を無理矢理「リア充爆《は》ぜろ委員会」へ引きずり込む。

    • 暴力描写あり

    読了目安時間:4時間10分

    この作品を読む

  • 蒼空世界のメカ娘~レミエと神とあの空の話

    生意気最強メカ娘と往く空中都市の冒険譚

    694,520

    3,668


    2021年5月9日更新

    機械の四肢で空を駆けるメカ娘『奉姫』が人を支える空中世界『カエルム』 空の底、野盗に捕えられた奉姫商社の一人娘『アリエム・レイラプス』を助けたのは奇妙なAIと奉姫のコンビだった。 『奉姫の神』を名乗るタブレット、カミ。 『第一世代』と呼ばれた戦艦級パワーの奉姫、レミエ。 陰謀により肉体を失ったというカミに『今』を案内する契約から、アリエムの冒険が始まる。 カエルムと奉姫のルーツ、第一世代の奉姫とは? 欲する心が世界の秘密を露わにする、蒼空世界の冒険譚。 ・強いて言えばSFですが、頭にハードはつきません。むしろSF(スカイファンタジー) ・メカ娘を率いて進む冒険バトル、合間に日常もの。味方はチート、敵も大概チート。基本は相性、機転の勝負。 ・基本まったり進行ですが、味方の犠牲も出る時は出ます ・手足武装はよく飛びますが、大体メカ娘だ。メカバレで問題ない。 ※2020.3.14 たのの様(https://twitter.com/tanonosan)に表紙およびキャラクターデザインを依頼・作成いただきました。この場を借りて感謝申し上げます ※2020.8.19 takaegusanta様(https://twitter.com/tkegsanta)にメカニックデザイン(小型飛空艇)を依頼・作成いただきました。この場を借りて感謝申し上げます

    • 暴力描写あり

    読了目安時間:19時間44分

    この作品を読む

同じジャンルの新着・更新作品

もっと見る

  • 不正破壊者の我侭姫

    それは、もう一つのリアルなのかもしれない

    2,400

    10


    2021年5月15日更新

    西暦2019年、様々なARゲームが稼働している中、『アーケードリバース』と言う名のARゲームを巡り、コンテンツ流通を独占しようと言う勢力とゲーマーが激突する――そんな物語。 そのフィールドで戦う事になる、我侭姫ことデンドロビウムは――チートがはびこるゲーム業界に何を思うのか? そして、SNS炎上、コンテンツ業界……様々な要素が、この世界を変えようとしている。 ※この作品はフィクションです。実在する地名などとは関係ありません。 ※本作で言及されているふるさと納税に関しては、現実に存在する同名の物とは全くの別物になります。 ※小説家になろう、カクヨムでも掲載していますが、細部は若干異なります。 ※本作の二次創作を段階的に許可しております。詳細は、カクヨムかピクシブにて公開中のガイドラインをご覧ください。(リンクはピクシブの物です)https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=12408308

    読了目安時間:8時間44分

    この作品を読む

  • 夕日の空に一粒の光が輝いて。

    思いつきで書いた軽いSFの読み切りです。

    200

    0


    2021年5月15日更新

    いつもと変わらない夕日の空に一粒の光が……。

    • 暴力描写あり
    • 性的表現あり

    読了目安時間:11分

    この作品を読む