「出席番号36番。四月一日です。所属は家庭部。趣味は筋トレ。前にいた世界では、魔王討伐のために勇者たちと旅をしていました。できればこちらの世界でも悪を滅ぼしたいと思っています。よろしくお願いします」 ここは魔法あふれるファンタジーの世界。ではなく科学あふれるただの日本だ。魔王とか勇者とかいない。しかしおかしな自己紹介をぶちかました彼はふざけるでもなく、ただただ真面目に、まっすぐと前だけを見つめていた。いやどこ見てるんだよ。 これは、そんな四月一日くんと過ごす高校生活。最後の一年のお話である。 (この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています)
読了目安時間:6時間33分
幸せな結末を目指した悪役令嬢は、しかし結局どうすることもできませんでした。 敗因は、他にも転生者がいるという可能性に思い至らなかったこと。 高校が燃えた。気づくと異世界で赤ちゃんになっていた。 そうだ。ここは、大好きな彼がプレイしていた乙女ゲームの世界だ。 どうやら私が転生したのは悪役令嬢のようだが、幸いゲーム知識は持っている。 この知識を駆使すれば最悪の事態を回避できるし、推しとの結婚だって夢じゃないよね! でも、どうしてだろう。 私は貴族令嬢として完璧に振る舞っているはずなのに、なぜだかゲームと同じ結末に向かっている。 どうして私がヒロインを嫌い、貶めようとしていることになっているの。 どうして愛しの彼は、冷たい目で私を見るの。 「悪いな。お前が邪魔なんだ。消えてくれ……」 私が結婚を狙った攻略対象は、ゲームの世界の人間ならば知るはずがない、生前の私の名字をそっと囁いた。 ※この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています
読了目安時間:4時間36分