一覧
2020年5月13日更新
現実の世界で生きることに物足りなさを感じている社会人の青年、牧真司。彼はある晩、夢の中でキャレスリーと名乗る漆黒に包まれた大男に出会う。 その日から毎晩のように現れる夢と、それに呼応するように展開していく現実世界。 夢が現実に影響を与え、現実が夢に反映された先に待っているのはどんな世界か。 現実と空想の意味を考える現代ファンタジー。
2020年5月6日更新
一面に広がる大草原は、僕の鼻にふんわりとした柔らかな香りを届ける。空は透き通った水色をしており、そこにところどころ浮かぶ雲は白く、そのふかふかな感触が手に届くようだった。 深い岩の谷間を抜けた僕たちは、乗っていた馬を降りた。足を下ろすと、草の生い茂った大地のふわりとした感触が、ブーツ越しにも感じられた。 「ここはまだ、生きている」 叔父が大地に跪き、その草を手に取って語った。
2020年5月6日更新
わたしは、暗く、どこまでも続く通路の真ん中に立っていた。見えるのは赤地と黄色の装飾が美しいタイル張りの床と、左右に聳え立つ本棚、そしてその一段一段にぎっしりと詰め込まれた重たそうな本だった。 それらが見えたのは、わたしが小さな蝋燭の灯ったランプを手に持っていたからだ。ランプを持つ手にはほのかな温もりが感じられる。もっとも、ここは決してひんやりと冷えているわけではなかった。でも、このランプがあるとないとでは、感じる温度が違ったろうとわたしは思った。 どうしてわたしがここにいるのか。その理由はわたしにもわからなかった。ただ、わかったのは、わたしは望んでここに来たのだということだった。孤独で、暗くて、ただ本が立ち並ぶこの空間……わたしは天井を見上げた。本棚は、わたしが手に持っているランプの明かりが届かないところまで高く伸びていて、終わりが見えなかった。
一覧
ネタバレ
あなたに逢えてよかった2
2021/1/24 10:20
一覧
2021年2月24日更新
新米探偵(なんでも屋)で生計を立てる亘。 浮気調査やペットの捜索、草むしり、孤独死の後の荷物の片付け。頼まれれば何でもやる。そんな中で事件に巻き込まれることもあり…。 第一章は『ライターの秘密』 馴染みの店の爺さんが、昨晩スナックにライターを忘れてきた。それを取ってきて欲しいと頼まれて…。 爺さんはわざと忘れたのか?どうして俺に取ってきて欲しいと頼んだのか…? 第二章は『いろんな絆』 不動産屋の親父に喧嘩した本屋を営む息子の様子を見てきて欲しいと頼まれる。息子とは高校の同級生だったが、行ってみるとどうやら様子がおかしくて…。 日常のちょっとした事件を短編〜中編でお届けします。
心身解放の物語