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昔から、人とは違うことを自覚していた。 人としておかしいと思えるほどの身体能力。 視力も聴力も嗅覚も、人間とは思えないほどのもの。 早く、早くといつだって体を動かしたくて仕方のない日々。 ただ、だからこそ、私は異端として、家族からも、他の人達からも嫌われていた。 『化け物』という言葉だけが、私を指す呼び名。本当の名前なんて、一度だって呼ばれた記憶はない。 妹が居て、弟が居て……しかし、彼らと私が、まともに話したことは一度もない。 父親や母親という存在は、衣食住さえ与えておけば、後は何もしないで無視すれば良いとでも思ったのか、昔、罵られた記憶以外で話した記憶はない。 どこに行っても、異端を見る目、目、目。孤独で、安らぎなどどこにもないその世界で、私は、ある日、原因不明の病に陥った。 『動きたい、走りたい』 それなのに、皆、安静にするようにとしか言わない。それが、私を拘束する口実でもあったから。 『外に、出たい……』 病院という名の牢獄。どんなにもがいても、そこから抜け出すことは許されない。 私が苦しんでいても、誰も手を差し伸べてはくれない。 『助、けて……』 救いを求めながら、病に侵された体は衰弱して、そのまま……………。 「ほぎゃあ、おぎゃあっ」 目が覚めると、私は、赤子になっていた。しかも……。 「まぁ、可愛らしい豹の獣人ですわねぇ」 聞いたことのないはずの言葉で告げられた内容。 どうやら私は、異世界に転生したらしかった。
読了目安時間:1時間6分
その日は、遠くに住む娘夫婦と息子夫婦が帰ってきていた。 『おめでとう』と祝うために……。 いや、最近ホラー作品を読むことが多くて、触発されて……。 一話で完結の短いお話です。
読了目安時間:2分
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