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産業革命から芽生えた科学文明は次世代へ次世代へと問題を先送りした末、21世紀末とうとう崩壊した。 しかし一世代をかけ、科学文明は復活した。 その復興前の数十年間を人々は「大崩壊後」と呼んだ。 「大崩壊後」の世界は人類にはあらゆるものが足りなかった。 とりわけ深刻だったのが食糧であった。 有機物は殆ど再生されて食糧になった。 必要最低限の栄養素とカロリーを摂取する行為、それが「食事」だった。 「大崩壊後」の世界では人は生きるために食べ、食べるために生きた。 現在、空腹を知らない無邪気な子供たちの歴史の学習において「大崩壊後」の食糧難の事情はそう語られている。 特にその画像は嘲笑の的である。 画像には「カタストロフ飯(カタスト飯)を食べる人々」とのキャプションがふられている。 豊かな文明が、文化が再度花開き、所謂、「カタスト飯」は消え去ったかに見えた。 しかし、「古き良きカタスト飯」を密やかに愛する人々が存在した…。
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