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「BOYSFANコン」参加作品。募集テーマ①『リーマン』 こんな自分は知らない。まさかこの俺が男に惚れるとは…。あいつと出逢った事は偶然なのか運命なのか…? 大手企業に勤務する高柳陽介は恋人に振られて人間不信になりかけていた。繁華街の裏通りにひっそりと佇むBARに偶然たどり着き、そこのオーナー須崎龍一と出会った事で人生を変えられて行く。 何かを抱え込んで思い詰めたような陽介の様子を見かねて、初対面にも関わらずズケズケと踏み込んで来る龍一の言葉に戸惑いながら反発してみても、どこか余裕のあるその態度に苛つくばかり。2度と来ないと言い放って店を後にしたはずなのに不思議な偶然が重なって気がつけば何度も龍一と顔を合わせてしまう。 周りの空気を読み、当たり障りのない言葉を並べ、自分の感情を押し殺し、ポーカーフェイスを纏うことが当たり前になっていた陽介は過去の出来事に縛られて本当の自分を曝け出す事を怖がって無意識に封印していた。 同期の七瀬啓に誘われて飲みに行った先で惚気られた事をきっかけに恋人との別れを告白する羽目になり、それでも肝心な事を言わない陽介に業を煮やした啓が無理矢理連れて行った場所は龍一の店。二度と来ないと言ったはずの店に連れて来られて焦る陽介を引き止めたのは店員の藤川拓也と七瀬啓。大学時代からの知り合いという言葉に啓の恋人の事を聞いてみようかと思った矢先、2人のただならぬ様子が気になって仕方がない。酔った啓を送っていく拓也を見て2人の関係を龍一に尋ねようとするうちに陽介の様子がおかしくなった。 仕事柄たくさんの人と関わる事はあっても本当に深い所で人と繋がる事を避けていた龍一が、どうしてか陽介の事が気になって仕方がない。些細な口論を繰り返しながらも頑なにポーカーフェイスを保とうとする陽介が見せたほんの少しの翳りに引き寄せられるように思わず唇を重ねた龍一も自身の感情に戸惑っていた。そんなある日街中で男に絡まれる陽介を見かけた龍一は咄嗟に助けるがどうも陽介の様子がおかしい。後日その理由を知る事になった龍一はますます陽介のことが気になっていく。 拓也と啓の関係が気になって仕方ない陽介は龍一が不在と聞いて再び店に行く機会を得るが、そこで龍一の過去に意外な一面があった事を知って急速に意識し始めてしまう。
読了目安時間:1時間24分