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2020年9月3日更新
私の兄、新藤マコトはグローバル企業の天才経営者だった。 コンビニに行くときに大型のトラックに轢かれるという、どこかのライトノベルのテンプレのような方法で短い生涯を終えた。だが、私は彼が天国で安らかに私たちを見守ってくれると信じている。 異世界転生? そんなのは飽き飽きだ。 いい加減、大人になろうよ。そんなものは存在しない。 トラックに轢かれようが、誰かに殺されようが、コンビニの帰りに突然異世界転生していたとか、あり得るわけがない。そんなのはフィクション、偽物、作り物なのである。 株主たちはカリスマ的経営者である兄を失ったことに嘆き、兄のファンたちはまるでジャ〇ーズが電撃結婚したかのように狂乱し、世界は大不況に慌てふためいていた。 それほど、兄の存在は偉大だったし、世界は兄に依存していた。 でも、それも一時だ。 私にとっては、最愛の兄を失った悲しみと、心の重荷は一生続く。 強くなるのよ、コトミ。 これから私はこの苦しみを背負いながら人生を歩んでいかなきゃ。 そう。 天使に私も道連れに殺されて、兄と一緒に異世界に転生し、異世界転生費用として膨大な借金を負うなんて展開、絶対に、絶対に、ぜっっっっっっっったいにないんだから。 ないよね? ないよね? もぐらさん?
2020年7月12日更新
社会のルールに従って、社会が敷いたレールを歩くという極めて機械的な行動をいかにそつなくこなせるかというのが人間的な生き方であり、最早一種の矛盾ではないかと疑ってしまうが、この矛盾を疑わない人ほど『世渡り上手』と呼ばれるのだろう。 しかし、そんなコピーアンドペーストしたような日常の中でも楽しみはあるもので、僕は通学の電車が嫌いではなかった。 それは僕が毎朝転校生である神崎渚(かんざきなぎさ)と毎朝同じ電車に乗って通学することが出来たからであり、白黒なサラリーマン群衆の中でもひときわ美しいルックスの彼女を毎朝眺めることが出来るのは、日常の中でのささやかな幸せだった。 しかし、その幸せも単純なものではなく、僕も不思議と思うことがあった。 なぜなら、――神崎渚が毎日違う車両に乗っていたからだ。 これは僕がふと感じた謎に関する物語。 美しいものを目で追ってしまう男子高生のささやかな幸せに関する物語。
2020年6月19日更新
ヘンゼルは盗賊の家系に生まれた生粋の盗賊だった。しかし、ある日、盗みに失敗し商人にリンチされてしまう。忌み嫌われる職業である盗賊は、社会で差別され続け、牢屋で死ぬか道端で殺されて死ぬかしかないといわれるほど、酷い扱いを受けていた。 商人は積年の恨みと差別による憎悪を晴らすかのごとくヘンゼルを瀕死になるまで殴りつけるが、突如現れた一人の冒険者によってヘンゼルはその身を救われる。 「――世界で一番強く、優しい盗賊になれ」。 冒険者から授かったその言葉を胸に、ヘンゼルは最強の盗賊になることを誓う。伝説の盗賊である親のもとで毎日厳しい訓練を重ね、盗賊として高みに上り詰めたヘンゼルはどんな難易度のクエストでもこなせる最強の盗賊に生まれ代わった。 盗賊が認められる社会にするために、ヘンゼルは今日も金持ちの屋敷に忍び込み、貧しい人へ配るための宝飾品を探すが、そこで彼が出会ったものは――。 ※毎日更新予定
2020年5月14日更新
世界的に天才な経済学者であった上村隆一郎は、ある日信頼していた助手に刺され、突然命を落としてしまう。死後、天使に導かれ、転生することになったリュウは転生特典なし、魔法もほぼ使えないという、人間のありのままの姿で転生することとなった。 転生に当たって天使がリュウに課したミッションは「人間として普通の生活を送り、異世界の文明を発展させること」……。 天使から無理難題を押し付けられたリュウは、道中、奴隷のエルフであるメルルと出会い、行動を共にするが、メルルはリュウに自分の町を救う代わりにリュウに市民権を与えるという取引を持ち掛ける。 戦うことが出来ないリュウは並外れた頭脳と経済経営の知識で、数々と無理難題に立ち向かい解決していく。――新感覚の異世界経済ファンタジーコメディである。 ※毎日更新予定
転生したら借金とかふざけんなマジで